若草の決意
お名前の設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「これ以上やるなら、まとめて叩き潰してやるぞ、小童ども。」
「…ぅ、」
「ぉ、おいっ行こうぜ!」
バタバタバタッ
少年たちが我先に、と逃げていく。
「…澪!大丈夫か!?」
「…うん、澪はへいきよ!」
「まったく…二人とも無茶をする。…杏寿郎、澪がいたのだからもう少し考えて行動しろ。」
「はい…すみません、父上。」
「ち、ちがうの!澪が兄さまの言いつけを守らなかったのよ、しんじゅろうおじ様!」
「違わない。その時に一番優先すべきことを見極めることは大切だぞ、杏寿郎。」
「…はい!」
「澪も。危険なことはしないように。」
「…。」
「…澪。」
「(びくっ)…澪、わるいことしてないもん…」
「間違えば怪我をしていたかも知れないんだぞ!」
「それでも、いいもの!猫さん見なかったことにしたり、兄さまだけがけがをするよりも、その方がずっといいの!!」
「!?澪…、お前…」
「…はぁ。(ため息)全く…血縁はないはずなのに…どうしてこうもお前は似ているのだろうな…。…帰るぞ。」
何やらぶつぶつと呟く父上の後について、澪ともう一度手をつないで歩く。
「きょうじゅろう兄さま、猫さん守ってくれてありがとう!」
「いや、でも…あやうく澪にけがをさせてしまうところだったんだ。父上がいなければ…不甲斐ないな、俺は。」
「いいの、澪は澪がけがをしても猫さんを助けてあげたかったから!」
そう言って笑う澪を見て、
そう言えば、店では母上の言いつけだからと言ってかたくなに手を離そうとしなかったのに、あの時はあっさりと離したな…ということに気付く。
「それに、きょうじゅろう兄さまはとっても格好良かったわ!」
「あぁそういえば…ありがとうな、澪!俺や父上のために言い返してくれて。」
この小さな体で、俺よりも大きい体の少年に向かっていくのは
それは怖かっただろう。
そう思ってそう言ったのに、澪はきょとんとした顔で俺を見返す。
「どうして兄さまがありがとうって言うの?澪は、澪がいやだったから怒ったのよ!だって、澪はきょうじゅろう兄さまの髪も目も優しいところもみーんなだいすきなんだもの!だから、それをあの人たちに言わなくちゃって思ったのよ!」
「っ…そうか、澪は優しくて勇敢なんだな!」
澪はこんなに小さな手をしているのに、
ちゃんと自分で考えて、何が大切か考えて
それを行動に移すことが出来るんだな。すごい子だ!
そんな澪に、大好きと、優しくて格好良いと
これからもずっとずっと言ってもらえるような自分で在れるように
俺も頑張らなくてはな!
澪の小さな温かい手をきゅっとにぎって、決意した。
若草の決意