赤錆の連繋
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「えっ!千寿郎君にも槇寿郎さんにもまだ伝えていないんですか!?!?」
またしばらく、俺が涙で言葉が出ない間に
澪さんが淹れなおして下さったお茶を、ようやく落ち着いて頂きながら
もう今日何度目になるか分からない驚きを表す。
「そんな、どうして!」
「聞かれなかったもの。」
「そっそういう問題では無いのでは!!それに、聞かれたこと(居場所)だって答えてあげていないじゃないですか!」
「あら、鋭いわね。炭治郎さん。」
「知らせてあげて下さい!!今、すぐに!!!」
「うーん…そうねぇ。考えておくわ。」
「知らせる気が!感じられません!!」
「あの…もしやお怒りなんですか?家を出されたことを…それだったら槇寿郎さんは今もうっ」
「そんな、違いますよ。千寿郎にも言って聞かせておりますが、家を出された等とは思っておりませんし、それゆえお義父様に怒りも恨みつらみも何一つありません。」
「でも、煉獄さんの葬儀の後に、出て行けと言われてすぐに出て行ってしまったと千寿郎君が…」
「お義父様に言われずとも元よりその心算でした。杏寿郎さん亡き後、あの家を繋いでいくのは、千寿郎です。千寿郎が嫁をとるとき、小姑はいない方が良いでしょう。」
「小姑だなんて…千寿郎君は澪さんのことを本当の姉のように思っているんですよ。今でも。」
「だからこその小姑でしょう?(笑)それに…お義父様のお気持ちも分かりますから。」
「槇寿郎さんのお気持ち、ですか?」
「えぇ。あの時も、言葉はきついお言葉でしたけど。幼き頃より、とても可愛がってくれた義父です。家に縛られず自由に生きて欲しい、と願って下さった。だから出されたのです。」
確かにそうだろう。槇寿郎さんはとても情が深い方なのだと今は分かっている。
だからこそ、妻に先立たれ、情熱をかけてきた道にも絶望し自暴自棄になってしまった。
そして、ご子息からの思い、ご子息への思いによってまた立ち上がった。
今では、千寿郎君ともよく話すようになったようだ。
「煉獄の家は、私が居なくとも、この子が居なくとも、繋がっていきます。お義父様と、千寿郎がいるのですから。」
「ですが…」
「それに…杏寿郎さんの想いは、あなたが繋いで下さっているでしょう?炭治郎さん。」
「…っ、」
煉獄さん…、煉獄さんっ…。
日輪刀を握りしめて、呼びかける。
ずっと探してきた、澪さんに、今この時に会わせて下さったのは…
澪さんの元へ導いて下さったのはっ…
煉獄さん…っ、俺は、本当にまだまだ未熟で、これからもっともっと強くならないといけない。
…だけど!
義勇さんにも伝えなければ。…この言葉を絶対に!
「…また来たのか。言ったはずだ、炭治郎。時間の無駄だ。」
「義勇さん!義勇さんは、錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか!?」
赤錆の連繋