赤錆の連繋
お名前の設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
到着したのは、大きくも小さくもなく綺麗に整えられたお宅だった。
「ありがとう。ごめんなさいね、お怪我をなさっているのに運ばせてしまって。」
「いえ、本当にこのくらい全然余裕です!」
「お茶を入れるから、そちらに座っていて下さいな。…竈門炭治郎さん。」
「俺のことをご存知で!?」
「えぇ。千寿郎から文で貴方のことはよく聞いておりますから。」
そう言いながら、澪さんが目を向けた先は、俺の腰元…
「…お久しぶりね。杏寿郎さん。」
『しばらくぶりだな!澪!』
澄んだ瞳で呟いた澪さんに、応える煉獄さんの声が聞こえた気がした。
「もう落ち着きました?」
「は、はい…本当に申し訳ございません…」
「クスクス…顔を上げて下さいな。」
顔を真っ赤に、汗をダラダラとかきながら澪さんに土下座する。
あの後、言葉も出せないくらい号泣してしまった。恥ずかしい!顔から火が出そうだ!
ようやく落ち着いて話が出来る。まずは、煉獄さんの最後を…
「大体の話は、千寿郎から聞いております。煉獄の家に居る時は知らなかったことだけれど、あの子は本当に筆まめね。三日と開けずに文を寄こすのですよ。…任務に出向いたら終わるまで一切便りを寄こさない杏寿郎さんとは大違いだわ。ふふふっ」
その顔は、とても愛情に満ちている。見ただけで、澪さんが煉獄さんを夫として心から愛し、
千寿郎君を義弟として慈しんでいることがよく分かる。
「あの…どうして居場所を千寿郎君に伝えないのでしょうか?…その、もうその子のお父上と再婚を…?」
「え…?」
「あぁ!いや、すみません!!いきなり立ち入ったことを!忘れて下さい!!」
バカ!初対面なのにいきなりそんなことを聞くやつがあるか!?
ずっと気にはなってしまっているけど!
そして、煉獄さんのことを想うと、少し切ない気もするけど!!
澪さんが幸せに暮らしているのであれば、それでいいじゃないか!
「本当に申し訳ありません…。」
再び畳に額をこすりつけるように頭を下げる。
「クスクス…あのね。炭治郎さん。もう来週には臨月なのですよ。もうひと月ほどで、産まれてくるんです。」
「それは楽しみですね!!
…ん?」
来週には臨月…?
赤ん坊が生まれるのはとつき十日だから…
「!?ではっ…ち、父親は!」
煉獄さんが亡くなってから、まだ季節は二つしか巡っていない。もうすぐ三つ目の季節が巡る頃合だ。
なんてことだ…澪さんのお腹に宿っている命は…煉獄さんの…。
「…あらあら。またしばらく時間が必要かしら?(笑)」
「す゛、すみ゛ませんん…っ(泣)」
「そんなに泣いてしまったら…本当に目が溶けてしまいそうね…」
「ふぐっ…うっ(泣)」