【後編】café ampleでお夜食をどうぞ
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café ampleでお夜食をどうぞ
チリンチリーンッ
「澪!もう限界だっ、何か食べさせてくれ!」
「あれ?杏ちゃん、1人?」
キメツ学園試験最終日 **時
裏門通りにあるcafé ampleのドアを開いたのは、
キメツ学園高等部の歴史教師、煉獄杏寿郎だ。
「うむ!まだ他の先生たちは血走った目で机に向かっていたので、声は掛けずに1人で来た!」
「あらま…相変わらず大変そうね。」
「まぁこの時期ばかりは致し方ないな!…それより澪!何度も言っているが“杏ちゃん”は止めてくれ!生徒に聞かれたら示しがつかん!」
「…今はいないんだからいいじゃない。杏ちゃんのけち。」
「澪!」
「っさ!ご飯の準備してくるね。今日は、金曜だからニラたっぷりのレバニラ炒めよ。」
澪と杏寿郎は、家が隣同士の幼馴染である。
自分より1歳年下の杏寿郎のことを澪はずっと“杏ちゃん”と呼んでいたが
いつの頃からか杏寿郎には“杏ちゃん”ではなく“杏寿郎”と呼ぶように言われ続けている。
幼馴染であるのに、距離を置かれているように感じて
澪は呼び方を変える気を全く持っていなかったが。
だが、杏寿郎が頑なに呼び方を改めるように望んでいるのは
澪が思っている理由とは真逆だ。
彼は澪が1年先に中学生となり一緒の学校に通うということが出来なくなって初めて、
1歳という歳の差を痛感すると同時に
自分が澪に対して幼馴染以上の気持ちを抱いていることを自覚した。
以来、15年もの間、弟でも幼馴染でも年下の男の子でもなく
1人の男として見てもらおうと必死になっているのである。
呼び方を“杏ちゃん”から改めるよう望んでいるのも、そのためだ。
悲しいことに、彼のその想いは同僚どころか生徒にも筒抜けにも関わらず
彼の幼馴染にだけは伝わらない。
逃げるようにキッチンへ引っ込んだ澪を見送り、
杏寿郎は小さくため息を吐いた。
チリンチリーンッ
「澪!もう限界だっ、何か食べさせてくれ!」
「あれ?杏ちゃん、1人?」
キメツ学園試験最終日 **時
裏門通りにあるcafé ampleのドアを開いたのは、
キメツ学園高等部の歴史教師、煉獄杏寿郎だ。
「うむ!まだ他の先生たちは血走った目で机に向かっていたので、声は掛けずに1人で来た!」
「あらま…相変わらず大変そうね。」
「まぁこの時期ばかりは致し方ないな!…それより澪!何度も言っているが“杏ちゃん”は止めてくれ!生徒に聞かれたら示しがつかん!」
「…今はいないんだからいいじゃない。杏ちゃんのけち。」
「澪!」
「っさ!ご飯の準備してくるね。今日は、金曜だからニラたっぷりのレバニラ炒めよ。」
澪と杏寿郎は、家が隣同士の幼馴染である。
自分より1歳年下の杏寿郎のことを澪はずっと“杏ちゃん”と呼んでいたが
いつの頃からか杏寿郎には“杏ちゃん”ではなく“杏寿郎”と呼ぶように言われ続けている。
幼馴染であるのに、距離を置かれているように感じて
澪は呼び方を変える気を全く持っていなかったが。
だが、杏寿郎が頑なに呼び方を改めるように望んでいるのは
澪が思っている理由とは真逆だ。
彼は澪が1年先に中学生となり一緒の学校に通うということが出来なくなって初めて、
1歳という歳の差を痛感すると同時に
自分が澪に対して幼馴染以上の気持ちを抱いていることを自覚した。
以来、15年もの間、弟でも幼馴染でも年下の男の子でもなく
1人の男として見てもらおうと必死になっているのである。
呼び方を“杏ちゃん”から改めるよう望んでいるのも、そのためだ。
悲しいことに、彼のその想いは同僚どころか生徒にも筒抜けにも関わらず
彼の幼馴染にだけは伝わらない。
逃げるようにキッチンへ引っ込んだ澪を見送り、
杏寿郎は小さくため息を吐いた。