彼女だけが知る笑顔
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彼女だけが知る笑顔
「煉獄クンって今月末の球技大会、何に出るつもりなの?」
「ん?山田か!俺はドッジボールだ!」
「えぇっ!?ドッジボールぅう!?!?」
昼休み
昼食を食べ終わり、友人と談笑していると
山田から声を掛けられた。
内容は今月末に予定されている球技大会の種目の件で、
そう言えば午後のHRで各自の参加種目を決定すると、
朝担任が言っていたなと杏寿郎は思い出した。
問われるまま、参加しようと思っている競技を答えたら
教室中に響く声で山田が叫んだため、
教室の数ヶ所で机を寄せ合い、まだお昼を食べていた女子生徒たちも含め
皆が一様にこちらへ注目した。
「ドッジボールってあのドッジボール!?え、バスケとかサッカーじゃなくてっ!?モテる男子はフツーそっちでしょうがっ!…っは!もしや澪ちゃんもドッジボールだからなのか!?一緒の種目に出ようってそういう約束だってことかぁ!?」
教室中の注目を浴びていることなどに頓着しない山田は
滝のような勢いで叫びながら俺の胸ぐらを掴み
ブンブンと揺らした。
少し離れたところでは、まだ友人たちとお弁当を食べている澪が
急に出てきた自分の名前に小さく目を見張っている様子が視界の端に見えた。
「ハハハッ!何で山田はそんなに興奮しているんだ!君は相変わらず面白いヤツだな!それと澪はたぶんドッジボールでなくバレーボールだと思うぞ!」
「何だよ、山田~。お前、煉獄が何の種目に出るか聞いて、同じ種目に出たいってそういうことかぁ?」
「ッ違う!逆だよ、逆!あの不名誉な噂をこれ以上助長させないよう、煉獄クンとは違う種目にしようと思ってるんだよ!!」
あぁ、例の件でまた山田が騒いでいるだけか…と
クラスの生徒たちは慣れたように各々の会話に戻っていった。
彼は去年からずっと澪のことを好きだと公言していたのに
何故か去年の秋くらいから、本当は俺のことが好きなのにそれを隠しているのだと
噂されるようになったようだ。
それ以降は本人が否定すれば否定するほど噂の信憑性が増すという
山田曰く八方ふさがりの状態だということだ。難儀なことだな!
その噂が出た当初、山田本人に
『好意を持ってもらえるのは嬉しいが、あいにく俺には恋人がいるのでな!』
と伝えたら、物凄い勢いで掴みかかられそうになったという騒動もあった。
その時の山田は驚くほどの瞬発力で思わず、剣道部にスカウトしてしまったほどだ。
「あぁ、そういうことか…。山田お前転入生だったもんな、つい忘れがちだけど。」
「うん?どういう意味?」
「今年の球技大会の種目見りゃ煉獄はドッジボールだろうなってお前以外は皆分かってんだよ。」
俺が去年の騒動を思い起こしている間に、
友人と山田が俺がなぜ今年の参加競技をドッジボールだと答えたのかという話を始めた。
キメツ学園の球技大会は中高一貫校であるがゆえに毎年、その種目が変わる。
中高の6年間基本的に変わらないメンバーで実施するため、
同じ競技だけだと大体誰のいるクラスが勝ち残るか分かってしまうためだということだ。
そして、今年のキメツ学園球技大会の種目は
男女混合のドッジボール
男子はサッカー、バスケットボール
女子はバレーボール、ソフトボール
と決まっていた。
その種目が発表された時、
自身も今年はドッジボールだな!と思ったし
どうやら友人をはじめ、周囲の生徒たちも俺がドッジボールを選択するだろうことは
暗黙の了解だったようだ。
俺は澪がどの競技を選択するかは、何となく推測できるが
澪以外、誰が何の協議に参加するかなど検討もつかないのに
皆の推測力はすごいんだな!と思っていると、
「煉獄な、サッカーもバスケットボールも壊滅的だから。」
と、何やら不名誉なことを言われた。
「…え!?そうなの!?!?」
「む。壊滅的というほど酷くない!はずだ!!」
「いや、まぁ確かに壊滅的は言い過ぎか…人並み程度だな、人並み。」
「えぇ…そんな…煉獄クン、君苦手なものあったんだね…何でも出来るスーパーマンみたいな男かと思ってたよ…。」
「そんなわけないだろう!」
そういえば、中等部時代も
同級生たちにいちいち驚かれたな…と懐かしく思い出す。
「煉獄クンって今月末の球技大会、何に出るつもりなの?」
「ん?山田か!俺はドッジボールだ!」
「えぇっ!?ドッジボールぅう!?!?」
昼休み
昼食を食べ終わり、友人と談笑していると
山田から声を掛けられた。
内容は今月末に予定されている球技大会の種目の件で、
そう言えば午後のHRで各自の参加種目を決定すると、
朝担任が言っていたなと杏寿郎は思い出した。
問われるまま、参加しようと思っている競技を答えたら
教室中に響く声で山田が叫んだため、
教室の数ヶ所で机を寄せ合い、まだお昼を食べていた女子生徒たちも含め
皆が一様にこちらへ注目した。
「ドッジボールってあのドッジボール!?え、バスケとかサッカーじゃなくてっ!?モテる男子はフツーそっちでしょうがっ!…っは!もしや澪ちゃんもドッジボールだからなのか!?一緒の種目に出ようってそういう約束だってことかぁ!?」
教室中の注目を浴びていることなどに頓着しない山田は
滝のような勢いで叫びながら俺の胸ぐらを掴み
ブンブンと揺らした。
少し離れたところでは、まだ友人たちとお弁当を食べている澪が
急に出てきた自分の名前に小さく目を見張っている様子が視界の端に見えた。
「ハハハッ!何で山田はそんなに興奮しているんだ!君は相変わらず面白いヤツだな!それと澪はたぶんドッジボールでなくバレーボールだと思うぞ!」
「何だよ、山田~。お前、煉獄が何の種目に出るか聞いて、同じ種目に出たいってそういうことかぁ?」
「ッ違う!逆だよ、逆!あの不名誉な噂をこれ以上助長させないよう、煉獄クンとは違う種目にしようと思ってるんだよ!!」
あぁ、例の件でまた山田が騒いでいるだけか…と
クラスの生徒たちは慣れたように各々の会話に戻っていった。
彼は去年からずっと澪のことを好きだと公言していたのに
何故か去年の秋くらいから、本当は俺のことが好きなのにそれを隠しているのだと
噂されるようになったようだ。
それ以降は本人が否定すれば否定するほど噂の信憑性が増すという
山田曰く八方ふさがりの状態だということだ。難儀なことだな!
その噂が出た当初、山田本人に
『好意を持ってもらえるのは嬉しいが、あいにく俺には恋人がいるのでな!』
と伝えたら、物凄い勢いで掴みかかられそうになったという騒動もあった。
その時の山田は驚くほどの瞬発力で思わず、剣道部にスカウトしてしまったほどだ。
「あぁ、そういうことか…。山田お前転入生だったもんな、つい忘れがちだけど。」
「うん?どういう意味?」
「今年の球技大会の種目見りゃ煉獄はドッジボールだろうなってお前以外は皆分かってんだよ。」
俺が去年の騒動を思い起こしている間に、
友人と山田が俺がなぜ今年の参加競技をドッジボールだと答えたのかという話を始めた。
キメツ学園の球技大会は中高一貫校であるがゆえに毎年、その種目が変わる。
中高の6年間基本的に変わらないメンバーで実施するため、
同じ競技だけだと大体誰のいるクラスが勝ち残るか分かってしまうためだということだ。
そして、今年のキメツ学園球技大会の種目は
男女混合のドッジボール
男子はサッカー、バスケットボール
女子はバレーボール、ソフトボール
と決まっていた。
その種目が発表された時、
自身も今年はドッジボールだな!と思ったし
どうやら友人をはじめ、周囲の生徒たちも俺がドッジボールを選択するだろうことは
暗黙の了解だったようだ。
俺は澪がどの競技を選択するかは、何となく推測できるが
澪以外、誰が何の協議に参加するかなど検討もつかないのに
皆の推測力はすごいんだな!と思っていると、
「煉獄な、サッカーもバスケットボールも壊滅的だから。」
と、何やら不名誉なことを言われた。
「…え!?そうなの!?!?」
「む。壊滅的というほど酷くない!はずだ!!」
「いや、まぁ確かに壊滅的は言い過ぎか…人並み程度だな、人並み。」
「えぇ…そんな…煉獄クン、君苦手なものあったんだね…何でも出来るスーパーマンみたいな男かと思ってたよ…。」
「そんなわけないだろう!」
そういえば、中等部時代も
同級生たちにいちいち驚かれたな…と懐かしく思い出す。