約束の日々
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約束の恋人_約束の日々
そうして、中等部卒業までの期間限定の恋人となった2人は、
この次の日の朝、朝練を終えた杏寿郎が教室に入り澪と目が合うなり
「澪!おはよう!!」
と教室中に響く大声で約束通り挨拶をして、それに澪が
「おはよう、杏寿郎くん」
と答えたことであっさりと周りに付き合い始めたのだと認知されるようになった。
また、約束通り忠実に互いの感じたことを伝え合ったため
「千寿郎が算盤で昇級したんだ!」
「園芸部で育てていた花がきれいに咲いたのよ。」
「日曜に父につけてもらった稽古では父から1本も取ることが出来なかったんだ…不甲斐ない!もっと精進しないとな!」
「前回のテストより英語の点が20点も上がったの!でもその代わり、社会の点が平均点ギリギリになっちゃって…」
お互いの好きなもの、得意なこと、苦手なもの、家族のこと、趣味…を分かち合うことが出来、
自然と共通の話題が多くなっていったことで、
話す機会も、メッセージを送り合う回数も自然と多くなっていった。
普段から、部活動の話を聞いているため
自然な流れで澪が杏寿郎の試合へ応援に訪れるようになり、
杏寿郎の弟の千寿郎や両親とも顔見知りになった。
次第に応援の際は、
杏寿郎の家族と待ち合わせて会場に出向き一緒に応援するようになり、
試合ではない休日も杏寿郎の家の道場で稽古を見学するようにもなった。
テスト前には、部活動が休みになるため
澪の苦手な社会を杏寿郎が教え、
逆に澪が杏寿郎の苦手な英語を教えるということが習慣になった。
2人が付き合いだしたと周りに認識されてから約半年間は、
澪にも杏寿郎にも相変わらず想いを告げる生徒が少なからず存在していて、
特に1学年上の代が卒業するシーズンになった時の澪への告白ラッシュは驚くべき程の量だったが
澪も杏寿郎も必ず「彼氏/彼女がいるので」と断るので、
2人が3学年に上がる頃には
想いを告げようとする者はほとんどゼロの状態になった。
2人は期間限定の恋人であったが、
期間限定であろうが恋人になるということを承知し、
澪ときちんと向き合おうと決意していた杏寿郎は
澪のことを「彼女」だと称することに躊躇いは無かった。
もし、誰かから「瀬尾澪のことを恋人として好きなのか?」と問われていたら
きっと彼は正直に「分からない」と答えたかも知れない。
だが、彼は少なくとも友人として澪のことを好ましく思っていたし、
話す機会がこれまで以上に増えたことで、
澪の穏やかな優しさ、思いやり、柔らかな声や話し方、
それでいてきちんと自分の意見を述べるところ
集中すると周りが見えなくなってしまうくらい努力を惜しまないところ等々、
彼女の良い部分をたくさん知ることが出来ていたため、
「瀬尾澪のことが好きなのか?」
「瀬尾澪のどこが好きなのか?」
といった質問に対しても嘘偽りなく肯定的な返答をしていた。
もちろん澪の方は言わずもがな、だ。
自ら積極的に言い回ることはなかったが、
彼女は問われれば正直に杏寿郎への恋心を周囲にも打ち明けていた。
そんな彼らに割って入ろうという強者はおらず、
ごくたまに想いを告げようとする者は周囲から“猛者”と呼ばれ、
やがて澪や杏寿郎に告白をするのは度胸試し、
といった様相を呈するようになった。
澪と付き合っていようが、いなかろうが、
”断る”という選択肢しか持たない杏寿郎は
格段に呼び出される回数が少なくなったことを嬉しく思ったし、
益々部活動に勉学にと打ち込み、
充足感溢れる学園生活を送ることが出来るようになった。
3学年になって2人は初めてクラスが離れたが、
これも約束通り、
移動教室や廊下などで見かけるたびに互いに声を掛け合うものだから
調理実習で澪が作ったクッキーは当たり前のように杏寿郎の手に渡ることになった。
文武両道のキメツ学園は当然のように、
球技大会も体育祭も生徒たちは本気で取り組むため非常に盛り上がるのだが、
澪と杏寿郎がにこやかに互いに「頑張れ/頑張ってね」と声を掛け合うので、
互いのクラスメイトに「敵を応援するな!!」と叱られる始末だった。
そうして2人は、その仲良しぶりと中等部生らしからぬ落ち着き具合から、
『キメツ学園のおしどり夫婦』と呼ばれるようになり
中等部最後の文化祭では、
澪がミス中等部に選ばれるだけでなく
圧倒的な得票を集めてベストカップル賞を受賞することになったのだった。
******************************
「まさかあの2人が別れるなんてね…」
「私は未だに信じてない節があるよ、だってあの2人だよ!?」
「いや、まぁ気持ちは分かるけど本人たちがそう言ってるんだし。嘘つくような子たちじゃないじゃん。」
「それはそうだけど…」
「…ねぇねぇ、聞いた!?この前例の2人が話しているとこたまたま見掛けたんだけど、澪、煉獄くんのこと『煉獄くん』って呼んでたの!!」
「うわっ、やっぱり別れたってマジだったんだぁ…!」
「澪は結構皆に名前で呼ばれてるけど、澪が名前で呼ぶ男子って煉獄くんだけだったもんね。」
「話してる様子は普通に仲良さそうだったんだけどなぁ~本当に何で別れちゃったんだろうね。すごい謎…。」
そうして、中等部卒業までの期間限定の恋人となった2人は、
この次の日の朝、朝練を終えた杏寿郎が教室に入り澪と目が合うなり
「澪!おはよう!!」
と教室中に響く大声で約束通り挨拶をして、それに澪が
「おはよう、杏寿郎くん」
と答えたことであっさりと周りに付き合い始めたのだと認知されるようになった。
また、約束通り忠実に互いの感じたことを伝え合ったため
「千寿郎が算盤で昇級したんだ!」
「園芸部で育てていた花がきれいに咲いたのよ。」
「日曜に父につけてもらった稽古では父から1本も取ることが出来なかったんだ…不甲斐ない!もっと精進しないとな!」
「前回のテストより英語の点が20点も上がったの!でもその代わり、社会の点が平均点ギリギリになっちゃって…」
お互いの好きなもの、得意なこと、苦手なもの、家族のこと、趣味…を分かち合うことが出来、
自然と共通の話題が多くなっていったことで、
話す機会も、メッセージを送り合う回数も自然と多くなっていった。
普段から、部活動の話を聞いているため
自然な流れで澪が杏寿郎の試合へ応援に訪れるようになり、
杏寿郎の弟の千寿郎や両親とも顔見知りになった。
次第に応援の際は、
杏寿郎の家族と待ち合わせて会場に出向き一緒に応援するようになり、
試合ではない休日も杏寿郎の家の道場で稽古を見学するようにもなった。
テスト前には、部活動が休みになるため
澪の苦手な社会を杏寿郎が教え、
逆に澪が杏寿郎の苦手な英語を教えるということが習慣になった。
2人が付き合いだしたと周りに認識されてから約半年間は、
澪にも杏寿郎にも相変わらず想いを告げる生徒が少なからず存在していて、
特に1学年上の代が卒業するシーズンになった時の澪への告白ラッシュは驚くべき程の量だったが
澪も杏寿郎も必ず「彼氏/彼女がいるので」と断るので、
2人が3学年に上がる頃には
想いを告げようとする者はほとんどゼロの状態になった。
2人は期間限定の恋人であったが、
期間限定であろうが恋人になるということを承知し、
澪ときちんと向き合おうと決意していた杏寿郎は
澪のことを「彼女」だと称することに躊躇いは無かった。
もし、誰かから「瀬尾澪のことを恋人として好きなのか?」と問われていたら
きっと彼は正直に「分からない」と答えたかも知れない。
だが、彼は少なくとも友人として澪のことを好ましく思っていたし、
話す機会がこれまで以上に増えたことで、
澪の穏やかな優しさ、思いやり、柔らかな声や話し方、
それでいてきちんと自分の意見を述べるところ
集中すると周りが見えなくなってしまうくらい努力を惜しまないところ等々、
彼女の良い部分をたくさん知ることが出来ていたため、
「瀬尾澪のことが好きなのか?」
「瀬尾澪のどこが好きなのか?」
といった質問に対しても嘘偽りなく肯定的な返答をしていた。
もちろん澪の方は言わずもがな、だ。
自ら積極的に言い回ることはなかったが、
彼女は問われれば正直に杏寿郎への恋心を周囲にも打ち明けていた。
そんな彼らに割って入ろうという強者はおらず、
ごくたまに想いを告げようとする者は周囲から“猛者”と呼ばれ、
やがて澪や杏寿郎に告白をするのは度胸試し、
といった様相を呈するようになった。
澪と付き合っていようが、いなかろうが、
”断る”という選択肢しか持たない杏寿郎は
格段に呼び出される回数が少なくなったことを嬉しく思ったし、
益々部活動に勉学にと打ち込み、
充足感溢れる学園生活を送ることが出来るようになった。
3学年になって2人は初めてクラスが離れたが、
これも約束通り、
移動教室や廊下などで見かけるたびに互いに声を掛け合うものだから
調理実習で澪が作ったクッキーは当たり前のように杏寿郎の手に渡ることになった。
文武両道のキメツ学園は当然のように、
球技大会も体育祭も生徒たちは本気で取り組むため非常に盛り上がるのだが、
澪と杏寿郎がにこやかに互いに「頑張れ/頑張ってね」と声を掛け合うので、
互いのクラスメイトに「敵を応援するな!!」と叱られる始末だった。
そうして2人は、その仲良しぶりと中等部生らしからぬ落ち着き具合から、
『キメツ学園のおしどり夫婦』と呼ばれるようになり
中等部最後の文化祭では、
澪がミス中等部に選ばれるだけでなく
圧倒的な得票を集めてベストカップル賞を受賞することになったのだった。
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「まさかあの2人が別れるなんてね…」
「私は未だに信じてない節があるよ、だってあの2人だよ!?」
「いや、まぁ気持ちは分かるけど本人たちがそう言ってるんだし。嘘つくような子たちじゃないじゃん。」
「それはそうだけど…」
「…ねぇねぇ、聞いた!?この前例の2人が話しているとこたまたま見掛けたんだけど、澪、煉獄くんのこと『煉獄くん』って呼んでたの!!」
「うわっ、やっぱり別れたってマジだったんだぁ…!」
「澪は結構皆に名前で呼ばれてるけど、澪が名前で呼ぶ男子って煉獄くんだけだったもんね。」
「話してる様子は普通に仲良さそうだったんだけどなぁ~本当に何で別れちゃったんだろうね。すごい謎…。」