行方知れずの日常
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約束の恋人_行方知れずの日常
「お?お帰り~待ってたぞ、煉獄。ここっ!ここ、教えてくれ!」
「…そこは昨日も教えたはずの箇所だが!」
「え?あれ、そうだっけ??」
「…お前、もう諦めれば?ただでさえ時間ない煉獄の勉強時間を、これ以上お前を教えるという無駄な時間として奪ってやるなよ。」
「ひでぇ!」
「うむ、確かに俺もそろそろ自分の勉強を進めたい!」
「煉獄、お前まで!!」
「いやぁ~改めて本当モテるよなぁ煉獄って。今は大変そうで全く羨ましくないけど(笑)」
6月下旬
期末考査が近付き、文武両道を謳うキメツ学園も
全部活動が休みに入った。
先月の連休に行われた剣道部の新人戦、
競う相手が同学年に限定されていることもあり
杏寿郎は圧倒的な力で優勝した。
しかし、杏寿郎が優勝した話より、
その会場に澪がいなかったこと、
そして、同じ日の陸上部の会場に澪がいたという話が、
連休明けまたしても学年中を駆け巡った。
それと共に、それまでいくら本人たちが別れたと言っていても
半信半疑だった者たちも含め、
ようやく周囲は2人が別れたことを真実だと認識するようになった。
そうなると当然、彼の、彼女の次の相手に自分がなれないか…
と夢を見る者たちが出てくる。
普段は誰よりも早く朝練に励み、
誰よりも遅くまで熱心に部活動に邁進する杏寿郎であるため、
部活動がテスト休みに入る今の期間は彼を捕まえて
想いを告げるには絶好のチャンスだ。
そのおかげで放課後、杏寿郎が校内でテスト勉強をしていると、
呼び出されてしまうこともしばしばで
今もまさに杏寿郎は告白されて帰ってきたところであった。
「で?」
「ん?なんだ!」
「今日は1個下の女子バレー部の子だったろ?わざわざ中等部から来てご苦労なことだよな。」
「…あぁ、あの子か!ショートカット似合ってて明るくて可愛い子だよな!」
「付き合うのか?」
「いや、断った!」
「え~なんで!?結構人気ある子なのに!!」
「そりゃあ澪に比べたら…まぁ…って感じだけどさー!もったいない!!」
「失礼だな!俺は誰かと比べたりはしていない!」
「だったらどうして断ったんだよ~。」
「今は部活と勉強と…学校生活に集中したいからな!」
「ふぅん。…なぁお前、澪のこともそう言って振ったのか?」
「そのことは秘密だと言っただろう?それに俺は今もまさにテスト勉強に集中したいところなんだが!」
「え!煉獄が澪を振ったのか!?オレてっきり澪が煉獄を振ったんだと思ってたんだけど!」
「え、何でなんで?何でそう思ったの?」
「だって、最近の様子見てると煉獄は変わらず澪に声かけてるけど、澪から煉獄に声かけてるの見たことなくない?」
「…。」
「えっそうなの!?気付かなかった!てか、お前よく見てるなぁ。」
「いや、普通に気付くだろうよ(笑)気付いてないのお前くらいだよ。」
「マジか!え、どうなのどうなの!?結局どっちが振ったの?れんごk…っ」
「…。」
「…っひ!」
「ご、ごごごめん、悪かったよ煉獄!」
「べ、勉強しよう、なっ!もう邪魔しねぇから!!」
「だから笑顔のまま無言で青筋立てるの止めろって!!マジで怖えぇから!!」
「…ここにいても勉強に集中できないから俺は帰る!」
「!ま、待って待って!ここと、ここ、それだけ教えて帰って!お願いだから!ずっと待ってたんだから、お前戻ってくるの!」
頼み込まれた杏寿郎は、
その日は約束通り友人に問題を教えて帰ったが
次の日からは絶対に学校に残らず、
自宅で勉強しようと決意した。
これまでテスト勉強と言うと、
澪と2人互いの苦手科目を教え合いながらしていた。
澪も杏寿郎も真面目な性格なので、
勉強をしている間、余計な無駄話はしなかったし、
2人で勉強をしているとそれを同級生に邪魔されることも、
告白の呼び出しをされることも無かったので、
友人とのテスト勉強がこれほど捗らないのだということを
杏寿郎は初めて知った。
澪に教えてもらえなくなった分、
中間考査の英語の点が悲惨な状態だったのだが、
その点を見た母の顔が忘れられない。
期末考査こそその分を取り返さなくてはならないのだから、
これ以上集中できない事態は避けなければならない。
そういえば、いつも「年号が全然覚えられない…」と
涙目で途方にくれていた澪の方は、
日本史のテストは大丈夫だったのだろうか?
テスト期間中であるから勉強の邪魔になってはいけないし、
わざわざメッセージを送って聞くほどのことではない。
今度会った時にでも聞いてみよう、と杏寿郎は心に留めたが、
(今度会う時…とは、いつだ?)
という心の声には気付かないふりをした。
「お?お帰り~待ってたぞ、煉獄。ここっ!ここ、教えてくれ!」
「…そこは昨日も教えたはずの箇所だが!」
「え?あれ、そうだっけ??」
「…お前、もう諦めれば?ただでさえ時間ない煉獄の勉強時間を、これ以上お前を教えるという無駄な時間として奪ってやるなよ。」
「ひでぇ!」
「うむ、確かに俺もそろそろ自分の勉強を進めたい!」
「煉獄、お前まで!!」
「いやぁ~改めて本当モテるよなぁ煉獄って。今は大変そうで全く羨ましくないけど(笑)」
6月下旬
期末考査が近付き、文武両道を謳うキメツ学園も
全部活動が休みに入った。
先月の連休に行われた剣道部の新人戦、
競う相手が同学年に限定されていることもあり
杏寿郎は圧倒的な力で優勝した。
しかし、杏寿郎が優勝した話より、
その会場に澪がいなかったこと、
そして、同じ日の陸上部の会場に澪がいたという話が、
連休明けまたしても学年中を駆け巡った。
それと共に、それまでいくら本人たちが別れたと言っていても
半信半疑だった者たちも含め、
ようやく周囲は2人が別れたことを真実だと認識するようになった。
そうなると当然、彼の、彼女の次の相手に自分がなれないか…
と夢を見る者たちが出てくる。
普段は誰よりも早く朝練に励み、
誰よりも遅くまで熱心に部活動に邁進する杏寿郎であるため、
部活動がテスト休みに入る今の期間は彼を捕まえて
想いを告げるには絶好のチャンスだ。
そのおかげで放課後、杏寿郎が校内でテスト勉強をしていると、
呼び出されてしまうこともしばしばで
今もまさに杏寿郎は告白されて帰ってきたところであった。
「で?」
「ん?なんだ!」
「今日は1個下の女子バレー部の子だったろ?わざわざ中等部から来てご苦労なことだよな。」
「…あぁ、あの子か!ショートカット似合ってて明るくて可愛い子だよな!」
「付き合うのか?」
「いや、断った!」
「え~なんで!?結構人気ある子なのに!!」
「そりゃあ澪に比べたら…まぁ…って感じだけどさー!もったいない!!」
「失礼だな!俺は誰かと比べたりはしていない!」
「だったらどうして断ったんだよ~。」
「今は部活と勉強と…学校生活に集中したいからな!」
「ふぅん。…なぁお前、澪のこともそう言って振ったのか?」
「そのことは秘密だと言っただろう?それに俺は今もまさにテスト勉強に集中したいところなんだが!」
「え!煉獄が澪を振ったのか!?オレてっきり澪が煉獄を振ったんだと思ってたんだけど!」
「え、何でなんで?何でそう思ったの?」
「だって、最近の様子見てると煉獄は変わらず澪に声かけてるけど、澪から煉獄に声かけてるの見たことなくない?」
「…。」
「えっそうなの!?気付かなかった!てか、お前よく見てるなぁ。」
「いや、普通に気付くだろうよ(笑)気付いてないのお前くらいだよ。」
「マジか!え、どうなのどうなの!?結局どっちが振ったの?れんごk…っ」
「…。」
「…っひ!」
「ご、ごごごめん、悪かったよ煉獄!」
「べ、勉強しよう、なっ!もう邪魔しねぇから!!」
「だから笑顔のまま無言で青筋立てるの止めろって!!マジで怖えぇから!!」
「…ここにいても勉強に集中できないから俺は帰る!」
「!ま、待って待って!ここと、ここ、それだけ教えて帰って!お願いだから!ずっと待ってたんだから、お前戻ってくるの!」
頼み込まれた杏寿郎は、
その日は約束通り友人に問題を教えて帰ったが
次の日からは絶対に学校に残らず、
自宅で勉強しようと決意した。
これまでテスト勉強と言うと、
澪と2人互いの苦手科目を教え合いながらしていた。
澪も杏寿郎も真面目な性格なので、
勉強をしている間、余計な無駄話はしなかったし、
2人で勉強をしているとそれを同級生に邪魔されることも、
告白の呼び出しをされることも無かったので、
友人とのテスト勉強がこれほど捗らないのだということを
杏寿郎は初めて知った。
澪に教えてもらえなくなった分、
中間考査の英語の点が悲惨な状態だったのだが、
その点を見た母の顔が忘れられない。
期末考査こそその分を取り返さなくてはならないのだから、
これ以上集中できない事態は避けなければならない。
そういえば、いつも「年号が全然覚えられない…」と
涙目で途方にくれていた澪の方は、
日本史のテストは大丈夫だったのだろうか?
テスト期間中であるから勉強の邪魔になってはいけないし、
わざわざメッセージを送って聞くほどのことではない。
今度会った時にでも聞いてみよう、と杏寿郎は心に留めたが、
(今度会う時…とは、いつだ?)
という心の声には気付かないふりをした。