菜の花の温もり
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菜の花の温もり
「せんにじゅうろく!せんにじゅうななっ!!」
ん~…っ!よく眠れたなぁ…
布団の中で腰かけたまま、両手をあげて伸びをする。
お庭に面した襖からはすでに柔らかな光が薄っすらと入ってきていた。
「せんさんじゅうご!せんさんじゅうろく!」
「…あれ?」
せんさんじゅうろく…千三十六!?
「あわわ!寝坊してしまった!!」
杏寿郎兄さまの朝の鍛錬がもうすでに千を超えているだなんて!
いつもは五百を数える前には起きて、身支度を整えているのに…
慌てて、寝衣から着替えて布団を畳む。
髪はうしろでささっとひとつ結びに。
そうしてすぐに廊下側の襖から廊下に飛び出す。
パタパタパタッ
「る、…っぉ、お義母様!遅くなってすみません!」
台所に駆け込むと、千寿郎を背中に負ぶった瑠火様が振り返る。
「おはよう、澪。よく眠れたようですね。」
「おはようございます!申し訳ありません…眠りすぎてしまいました…。」
「?ほとんどいつも通りの時間ですよ?」
「へ!?…あ、あれっ?」
言われて、台所続きの居間に置いてある煉獄家唯一の時計を確認すると
確かにいつもと同じくらいの時刻だった。
「でも杏寿郎兄さまの素振りの数がもう千を超えていました…」
「…ふふ、なるほど。確かに杏寿郎は今日いつもより早く起きていたようですね。」
「!?え、杏寿郎兄さま、鍛錬のお時間にはすごく正確なのに…」
「ふふふっ、それほど今日が楽しみだったのでしょう。」
「瑠火様、今日は何かあるのですか…?」
「秘密です。」
「えっ!」
「秘密です。…それより、澪。また呼び方が戻っています。」
「!す、すみません。お義母様…。」
「はい。それと、庭でいつもより早く鍛錬をしている子は?」
「き、きょうじゅろうさん…////」
煉獄家で暮らすようになってから、まだひと月も経っていない。
その間、早いうちに慣れるように…と呼び方を変えたのだけれど、
まだまだ慣れずに意識をしないとつい間違えてしまって、今のように
るk、…もといお義母様からご指摘が入る。
特に、杏寿郎兄さまのことを「杏寿郎さん」と呼ぶのが何だかとても恥ずかしくて
いまだに顔が熱くなってしまう。
「だっ!ねーぇ!ねーぇ、いく!」
「義姉上の元へ行きたいのですか?千寿郎?」
「ぁいっ!」
「あ、お義母様代わります!…さぁおいで、千寿郎。」
千寿郎はあっさりと私のことを義姉と呼んでくれているのになぁ…。
と言っても、義姉上(あねうえ)とはまだ言えずに「ねーぇ」になってしまうのだけど。
ちなみに杏寿郎兄さまのことは兄上(あにうえ)が言えずに「にーぇ」だ。
「千寿郎、もうお前は体が大きいのですから。そろそろ負うのは終いですよ?」
「しまいぃ?」
「そう、終いです。…澪、負わずとも良いので居間で千寿郎を見ていてもらえますか?」
「え?でも、朝食のお仕度を手伝います。」
「今日は良いのです。」
「?どうしてですか?」
「それも秘密です。」
それも秘密!?
何だろう…先ほどからる、お義母様は握り飯を作っていらっしゃるようだけど、
汁物などは用意されていないようだ。
「う~ん…、千寿郎、お前は何か知ってる?」
「う~?」
「っ可愛い!(ぎゅー!!)」
「っきゃー、」
知っていたとしてもまだ単語くらいしか話せない千寿郎からは何も教えてもらえないと分かっていても、
手持無沙汰なので千寿郎に話しかけたら
私の真似をして首を横に傾げる千寿郎が可愛すぎてっ
思い切り抱きしめると千寿郎も楽しそうに笑った。
「なんだなんだ!楽しそうだな、二人とも!」
「!杏寿郎にい、っ…おはようございます、杏寿郎さん。」
「うん、おはよう!澪!千寿郎も!」
「おあようごじゃいま、にーぇ!」
「ははっ千寿郎はご機嫌だな!」
「ご機嫌なのはあなたの方でしょう、杏寿郎。」
「っ母上!おはようございます!!」
「もう鍛錬が終わったのなら、汗を流して支度をなさい。じきに出発します。」
「!そうでした!すぐに行ってまいります!…では、また後でな!千寿郎、澪!」
バタバタと杏寿郎兄さまは、来たと思ったら嵐のように去っていった。
「えーと…お義母様、出発…というのは、どちらへ…?」
「秘密です。(にこっ)」
…ですよね。教えてもらえるとは思っていませんでしたとも。
その後、杏寿郎兄さまの身支度が終わり、
実は明け方に任務からお戻りだった槇、お義父様、が仮眠からお目覚めになるまでの間、
お義母様は大量の握り飯を拵え続け、私は訳が分からないまま千寿郎と遊び続けたのだった。
「せんにじゅうろく!せんにじゅうななっ!!」
ん~…っ!よく眠れたなぁ…
布団の中で腰かけたまま、両手をあげて伸びをする。
お庭に面した襖からはすでに柔らかな光が薄っすらと入ってきていた。
「せんさんじゅうご!せんさんじゅうろく!」
「…あれ?」
せんさんじゅうろく…千三十六!?
「あわわ!寝坊してしまった!!」
杏寿郎兄さまの朝の鍛錬がもうすでに千を超えているだなんて!
いつもは五百を数える前には起きて、身支度を整えているのに…
慌てて、寝衣から着替えて布団を畳む。
髪はうしろでささっとひとつ結びに。
そうしてすぐに廊下側の襖から廊下に飛び出す。
パタパタパタッ
「る、…っぉ、お義母様!遅くなってすみません!」
台所に駆け込むと、千寿郎を背中に負ぶった瑠火様が振り返る。
「おはよう、澪。よく眠れたようですね。」
「おはようございます!申し訳ありません…眠りすぎてしまいました…。」
「?ほとんどいつも通りの時間ですよ?」
「へ!?…あ、あれっ?」
言われて、台所続きの居間に置いてある煉獄家唯一の時計を確認すると
確かにいつもと同じくらいの時刻だった。
「でも杏寿郎兄さまの素振りの数がもう千を超えていました…」
「…ふふ、なるほど。確かに杏寿郎は今日いつもより早く起きていたようですね。」
「!?え、杏寿郎兄さま、鍛錬のお時間にはすごく正確なのに…」
「ふふふっ、それほど今日が楽しみだったのでしょう。」
「瑠火様、今日は何かあるのですか…?」
「秘密です。」
「えっ!」
「秘密です。…それより、澪。また呼び方が戻っています。」
「!す、すみません。お義母様…。」
「はい。それと、庭でいつもより早く鍛錬をしている子は?」
「き、きょうじゅろうさん…////」
煉獄家で暮らすようになってから、まだひと月も経っていない。
その間、早いうちに慣れるように…と呼び方を変えたのだけれど、
まだまだ慣れずに意識をしないとつい間違えてしまって、今のように
るk、…もといお義母様からご指摘が入る。
特に、杏寿郎兄さまのことを「杏寿郎さん」と呼ぶのが何だかとても恥ずかしくて
いまだに顔が熱くなってしまう。
「だっ!ねーぇ!ねーぇ、いく!」
「義姉上の元へ行きたいのですか?千寿郎?」
「ぁいっ!」
「あ、お義母様代わります!…さぁおいで、千寿郎。」
千寿郎はあっさりと私のことを義姉と呼んでくれているのになぁ…。
と言っても、義姉上(あねうえ)とはまだ言えずに「ねーぇ」になってしまうのだけど。
ちなみに杏寿郎兄さまのことは兄上(あにうえ)が言えずに「にーぇ」だ。
「千寿郎、もうお前は体が大きいのですから。そろそろ負うのは終いですよ?」
「しまいぃ?」
「そう、終いです。…澪、負わずとも良いので居間で千寿郎を見ていてもらえますか?」
「え?でも、朝食のお仕度を手伝います。」
「今日は良いのです。」
「?どうしてですか?」
「それも秘密です。」
それも秘密!?
何だろう…先ほどからる、お義母様は握り飯を作っていらっしゃるようだけど、
汁物などは用意されていないようだ。
「う~ん…、千寿郎、お前は何か知ってる?」
「う~?」
「っ可愛い!(ぎゅー!!)」
「っきゃー、」
知っていたとしてもまだ単語くらいしか話せない千寿郎からは何も教えてもらえないと分かっていても、
手持無沙汰なので千寿郎に話しかけたら
私の真似をして首を横に傾げる千寿郎が可愛すぎてっ
思い切り抱きしめると千寿郎も楽しそうに笑った。
「なんだなんだ!楽しそうだな、二人とも!」
「!杏寿郎にい、っ…おはようございます、杏寿郎さん。」
「うん、おはよう!澪!千寿郎も!」
「おあようごじゃいま、にーぇ!」
「ははっ千寿郎はご機嫌だな!」
「ご機嫌なのはあなたの方でしょう、杏寿郎。」
「っ母上!おはようございます!!」
「もう鍛錬が終わったのなら、汗を流して支度をなさい。じきに出発します。」
「!そうでした!すぐに行ってまいります!…では、また後でな!千寿郎、澪!」
バタバタと杏寿郎兄さまは、来たと思ったら嵐のように去っていった。
「えーと…お義母様、出発…というのは、どちらへ…?」
「秘密です。(にこっ)」
…ですよね。教えてもらえるとは思っていませんでしたとも。
その後、杏寿郎兄さまの身支度が終わり、
実は明け方に任務からお戻りだった槇、お義父様、が仮眠からお目覚めになるまでの間、
お義母様は大量の握り飯を拵え続け、私は訳が分からないまま千寿郎と遊び続けたのだった。