蒲公英草紙
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蒲公英草紙_1
「千五十八!千五十九!千六十!!千六十一!千六十二!千六十三!」
「よォ、邪魔するぜ!」
「きゃあっ!!…う、宇随さん!もう!いらっしゃる時は屋根からではなく、門からお願いしますといつも言っておりますのに!」
「面倒なんだもんョ。」
「私ももう若くないのです!いつか驚きすぎて心の臓が止まります!!」
「千百!!千百一!千百二!千百三!」
「おー今日はチビも在宅だな。」
「聞いてますか!?宇随さん!」
「ごめんくださーいっ!」
「お?この声は」
「そう!このように!!門からまずは声を掛けるのが常識で」
「澪さんはご在宅ですかーっ?入りますー!」
「…家人からの応えがある前に入ってくんのは常識なのかい?」
「っ…炭治郎さんっ!(怒)」
「わぁっ!澪さんこんにちは!お元気そうで何よりです!(ニコニコ)」
「…もうっ!(←爽やかな笑顔にそれ以上怒れない)」
「よ!久しいな、炭治郎。」
「わ!宇随さん!お久しぶりです!いらっしゃってたんですね!澪さんのお宅でお会いする機会が多いですね!」
「はっは!よく、嫁たちが来たがるからなぁ~」
「今日は、まきをさんたちは?」
「あいつらとは一昨日来たばかりだからな。さすがに須磨もそろそろ遠出は控えた方が良い時期なんで今日は留守番だ。」
「あぁ、そういえばもうすぐ臨月でしたね。須磨さんのご体調はいかがですか?」
「今朝も派手に喧嘩してたくらい元気だよ、ありがとな。」
「宇随さん、炭治郎くん。はい…お茶が入りましたよ。」
「あ、ありがとうございます。澪さん!」
「おぅ、頂くぜ。」
「それで…宇随さん、一昨日も来たばかりと言うのに、今日のご用向きは何でしょう?」
「そうだった、今日はこれを届けに来た!」
「これは…甘蕉ですか?」
「うわぁすごい、良い房ぶりですね!」
「こんな高価な物をこのようにたくさん…」
「たまたま昨日手に入ってな!ガキは好きだろう?こういう甘いのは!」
「宇随さん…あなたまだ諦めていないのですか?」
「?」
「物は試しってやつだ!」
「どういうことです?」
「こういう派手な色の物をたくさん食べたら、チビの髪も派手に変わるかもしれないだろ?甘露寺みたいにな!」
「!!なるほど…(甘蕉、海老天、蒲公英…)」
「炭治郎くん!なるほどじゃありません!黄色い食べ物を探さなくてよろしい!!」
「っ!す、すみません。つい…」
「はーっはっはっ!今の色も精悍に見えて良いけどな!やっぱりあの顔には煉獄の色の方が合うよな?」
「いや、あの…まぁ、えーと…」
「いい加減、諦めて下さいな。そんなことをしなくても、近いうちに宇随さんのお好きな派手色の赤ん坊が生まれますよ。」
「…あ!そうだ!千寿郎君の祝言が決まったと聞きました!本当におめでとうございます!今日はそれをお伝えに参りました!」
「そういえばそんな知らせがあったな。この春のうちに、だったか。」
「えぇ。早いものですね、あの千寿郎が…。」
「千寿郎君からは長かった、と聞きましたよ?」
「…。」
「あん?どういうことだ?」
「祝言の話は昨年の秋から出ていたようなのですが…千寿郎君曰く『義姉上がようやく折れてくれましたので』と。」
「なんだ、澪は反対なのか?相手が良くねぇのか?」
「まさか…しっかりとした娘さんです。千寿郎によく似合いの。」
「言うことねぇじゃねぇか。なら、何だってんだ。」
「その…澪さんが祝言に列席するのを拒んでいらっしゃったので、千寿郎君が『義姉上が参列しないと言うのであれば祝言は致しませぬ』と、ここ数ヶ月お二人の間で長らく攻防があったようで…」
「何でだよ、せっかくの祝いの席じゃねぇか。四の五の言わずに見届けてやれよ。義理の弟だろう?」
「私はもうとうに煉獄の家を出た身だからと固辞したのですよ。」
「そうは言っても、チビにとっちゃ千寿郎は歴とした叔父だろうが。」
「ですから、あの子はもちろん参列させるつもりでした。」
「…面倒臭せぇヤツだな。」
「煉獄さん亡き後も、澪さんは陰ながら千寿郎君を支えてこられたのですから堂々とご列席するべきですよ。見届けることをきっと煉獄さんも望んでいるはずです!」
「もうその話は決着が付いておりますので、このお話はこれでお終いにしましょう!」
「っていう似たようなやり取りを千寿郎ともやって、やっと折れて祝言に出席することにしたってことか。」
「はい、それでこの春のうちにということに相成ったと聞きました!」
「まったく…半年も義弟の祝言を先延ばしにするなんて悪い義姉だな。相手に逃げられないで良かったってもんだ。」
「ふふっ最後の決め手はその辺りだったみたいですよ。澪さんがこれ以上先延ばしにするな、お相手に失礼だ、断られることになってしまうと説いた際に千寿郎君が『それならそれで仕方ありません。縁が無かったと諦めます。』と答えたことでついに澪さんが折れた、と。」
「炭治郎くん!もうこのお話はお終いと申しました!!」
「千五百十一!千五百十二!千五百十三!千五百十四!千五百十五!」
「精が出ますね。今日はいくつまで?」
「…五千までやると言っていましたね。」
「では、まだまだ挨拶はかないそうにないですね。」
「ごめんなさいね、始めると少しも話を聞きやしないんだからあの子ってば。」
「鍛錬馬鹿なところも煉獄そっくりだぜ。」
「千五百五十!千五百五十一!千五百五十二!」
「その…千寿郎君のところへお祝いに言った時に聞いたのですが、澪さん。とある家の跡継ぎから後添えにと求められているというのは本当ですか?」
「あぁ…その話ですか。」
「お?何だ、そういった話は久方ぶりだな。それこそ、チビがもっとチビの頃は山ほど縁談持ち込まれていたもんなぁ。」
「その話でしたら、もうお断りしました。」
「おいおい、あいつに操立ててんのか?もう良いんじゃねぇか、お前が幸せならあいつだって喜ぶだろうよ。そういうヤツだろ、煉獄は。」
「そうですよ、俺もそう思います!」
「あら。別に絶対再婚しない心算というわけではないのよ。杏寿郎さんより良い男がいればいつだって。」
「…それ、もう結婚はしねぇって言ってるようなもんじゃねぇか…?」
「…宇随さん、あなたどれだけ杏寿郎さんのことお好きなんです?ふふっ宇随さん自身が杏寿郎さん以上の男はいないと仰っていると同じですよ?」
「いやでも!宇随さんの仰る通りです!煉獄さんより良い男でなければ…ということであれば、もう再婚なさらないと言っているも同然なのでは!」
「そんなことないわ。ちなみに1番の有力候補はあなただったのよ、炭治郎くん。」
「…。…えぇっ!?い、いや…えっ!?/////」
「ふふふっ!顔真っ赤よ?」
「そ、からかわないで下さいよ!/////」
「からかってなんかいないわ。本気よ。他に良い人がいるって知ったからとうに諦めましたけどね。」
「そっ…/////」
「…おぅおぅ、派手に待ちやがれ!聞き捨てならねぇな!!この祭りの神、宇随様を差し置いて1番の有力候補が炭治郎だっただと!?どう見たって俺の方が良い男だろーが!」
「クスクス…そりゃあ宇随さんだって良い男ですけど。趣味じゃないんです。(ニッコリ)」
「あぁ!?(怒)」
「う、ううう宇随さん落ち着いて!!殺気がすごいです!!」
「っ母上!ご無事ですかっ!?…うずい殿!かまど殿!いらしてたのですか!!」
「あぁ、こんにちは。久しぶりだね。」
「お久しゅうございます!何やらすごい殺気を感じたのですが、お二人がいらっしゃるのなら安心ですね!たんれんが途中でしたので失礼します!!」
「…千六百二十三!千六百二十四!」
「ッチ!別に趣味じゃねぇのは良いんだけどよ。コイツより下というのは気に入らねぇな。」
ブスブスッ
「いたっ痛いです!宇随さん!指で頬を突くの止めて下さい!穴が開きそうです!」
「趣味の問題なのですから上とか下とかではないでしょう。…私は、時折腹が立つほどに自分や身内以外のために動く優しさを持つ人が好きなようでして。本当に腹立たしく思う時もあるんですけどね!宇随さんのように雛鶴さんたちとそれ以外、と明確に区別して大切にしてくれる人ならそんな腹を立てることもないのでしょうけど。頭ではそう思うのに、心が動かないのですから趣味嗜好というのは厄介なものです。」
「…フン、だからそんな趣味のヤツがあいつ以上に良い男探そうなんて土台無理な話だっつってんだ。」
「…それなら来世に期待します。」
「ばーか、来世だってお前は早々に煉獄に取っ捕まってるだろうよ。」
「…ふふっ」
「でも…言いにくいですが少し、安心しました。もちろん、澪さんが幸せになれるのであればそれが1番ですが、澪さんが再婚なさって、こうして…気軽にお会いできなくなるのはやっぱり寂しいので。…千寿郎君も同じように言っていました。」
「あら、気軽に会えなくなるだなんて、どうして?」
「そりゃあお前、新しい亭主の気分が良くねぇだろうよ。前の夫の弟やら知り合いやらがわんさか気軽に遊びに来られちゃあな。」
「まぁ…そんなことを思うような、狭量な男なんてこちらから願い下げよ。」
「…はははっ!そうですね、煉獄さんは懐の広い御仁ですもんね!」
「イヤ待てヲイ、炭治郎…あいつ澪のことになると大概狭量なやつだったぞ!?」
「そうなんですか…?」
「そうだ、お前あいつはなぁ」
…バンッ
「うずい殿!かまど殿!先ほどはきちんと挨拶ができず失礼しました!!」
「あら、鍛錬は?」
「終わりました!!」
「…今日は、五千までやると言っていませんでしたか?」
「…終わりました!!!」
「いや、派手に嘘ついてんじゃねぇチビ、てめぇさっきまでデケェ声で千七百云々って言ってただろーが!!」
「終わりましたっ!!!!!」
「ちょっと宇随さん!小さい子どもの前でてめぇだなんて言葉を使わないで下さい!」
「炭治郎、突っ込むところはソコじゃねぇ!!」
**************************
父親(杏寿郎)の良くない噂に敏感な息子←
のちに宇随さんは「コイツまさかあいつの生まれ変わりなんじゃねぇだろうな…」と疑い出す。
「千五十八!千五十九!千六十!!千六十一!千六十二!千六十三!」
「よォ、邪魔するぜ!」
「きゃあっ!!…う、宇随さん!もう!いらっしゃる時は屋根からではなく、門からお願いしますといつも言っておりますのに!」
「面倒なんだもんョ。」
「私ももう若くないのです!いつか驚きすぎて心の臓が止まります!!」
「千百!!千百一!千百二!千百三!」
「おー今日はチビも在宅だな。」
「聞いてますか!?宇随さん!」
「ごめんくださーいっ!」
「お?この声は」
「そう!このように!!門からまずは声を掛けるのが常識で」
「澪さんはご在宅ですかーっ?入りますー!」
「…家人からの応えがある前に入ってくんのは常識なのかい?」
「っ…炭治郎さんっ!(怒)」
「わぁっ!澪さんこんにちは!お元気そうで何よりです!(ニコニコ)」
「…もうっ!(←爽やかな笑顔にそれ以上怒れない)」
「よ!久しいな、炭治郎。」
「わ!宇随さん!お久しぶりです!いらっしゃってたんですね!澪さんのお宅でお会いする機会が多いですね!」
「はっは!よく、嫁たちが来たがるからなぁ~」
「今日は、まきをさんたちは?」
「あいつらとは一昨日来たばかりだからな。さすがに須磨もそろそろ遠出は控えた方が良い時期なんで今日は留守番だ。」
「あぁ、そういえばもうすぐ臨月でしたね。須磨さんのご体調はいかがですか?」
「今朝も派手に喧嘩してたくらい元気だよ、ありがとな。」
「宇随さん、炭治郎くん。はい…お茶が入りましたよ。」
「あ、ありがとうございます。澪さん!」
「おぅ、頂くぜ。」
「それで…宇随さん、一昨日も来たばかりと言うのに、今日のご用向きは何でしょう?」
「そうだった、今日はこれを届けに来た!」
「これは…甘蕉ですか?」
「うわぁすごい、良い房ぶりですね!」
「こんな高価な物をこのようにたくさん…」
「たまたま昨日手に入ってな!ガキは好きだろう?こういう甘いのは!」
「宇随さん…あなたまだ諦めていないのですか?」
「?」
「物は試しってやつだ!」
「どういうことです?」
「こういう派手な色の物をたくさん食べたら、チビの髪も派手に変わるかもしれないだろ?甘露寺みたいにな!」
「!!なるほど…(甘蕉、海老天、蒲公英…)」
「炭治郎くん!なるほどじゃありません!黄色い食べ物を探さなくてよろしい!!」
「っ!す、すみません。つい…」
「はーっはっはっ!今の色も精悍に見えて良いけどな!やっぱりあの顔には煉獄の色の方が合うよな?」
「いや、あの…まぁ、えーと…」
「いい加減、諦めて下さいな。そんなことをしなくても、近いうちに宇随さんのお好きな派手色の赤ん坊が生まれますよ。」
「…あ!そうだ!千寿郎君の祝言が決まったと聞きました!本当におめでとうございます!今日はそれをお伝えに参りました!」
「そういえばそんな知らせがあったな。この春のうちに、だったか。」
「えぇ。早いものですね、あの千寿郎が…。」
「千寿郎君からは長かった、と聞きましたよ?」
「…。」
「あん?どういうことだ?」
「祝言の話は昨年の秋から出ていたようなのですが…千寿郎君曰く『義姉上がようやく折れてくれましたので』と。」
「なんだ、澪は反対なのか?相手が良くねぇのか?」
「まさか…しっかりとした娘さんです。千寿郎によく似合いの。」
「言うことねぇじゃねぇか。なら、何だってんだ。」
「その…澪さんが祝言に列席するのを拒んでいらっしゃったので、千寿郎君が『義姉上が参列しないと言うのであれば祝言は致しませぬ』と、ここ数ヶ月お二人の間で長らく攻防があったようで…」
「何でだよ、せっかくの祝いの席じゃねぇか。四の五の言わずに見届けてやれよ。義理の弟だろう?」
「私はもうとうに煉獄の家を出た身だからと固辞したのですよ。」
「そうは言っても、チビにとっちゃ千寿郎は歴とした叔父だろうが。」
「ですから、あの子はもちろん参列させるつもりでした。」
「…面倒臭せぇヤツだな。」
「煉獄さん亡き後も、澪さんは陰ながら千寿郎君を支えてこられたのですから堂々とご列席するべきですよ。見届けることをきっと煉獄さんも望んでいるはずです!」
「もうその話は決着が付いておりますので、このお話はこれでお終いにしましょう!」
「っていう似たようなやり取りを千寿郎ともやって、やっと折れて祝言に出席することにしたってことか。」
「はい、それでこの春のうちにということに相成ったと聞きました!」
「まったく…半年も義弟の祝言を先延ばしにするなんて悪い義姉だな。相手に逃げられないで良かったってもんだ。」
「ふふっ最後の決め手はその辺りだったみたいですよ。澪さんがこれ以上先延ばしにするな、お相手に失礼だ、断られることになってしまうと説いた際に千寿郎君が『それならそれで仕方ありません。縁が無かったと諦めます。』と答えたことでついに澪さんが折れた、と。」
「炭治郎くん!もうこのお話はお終いと申しました!!」
「千五百十一!千五百十二!千五百十三!千五百十四!千五百十五!」
「精が出ますね。今日はいくつまで?」
「…五千までやると言っていましたね。」
「では、まだまだ挨拶はかないそうにないですね。」
「ごめんなさいね、始めると少しも話を聞きやしないんだからあの子ってば。」
「鍛錬馬鹿なところも煉獄そっくりだぜ。」
「千五百五十!千五百五十一!千五百五十二!」
「その…千寿郎君のところへお祝いに言った時に聞いたのですが、澪さん。とある家の跡継ぎから後添えにと求められているというのは本当ですか?」
「あぁ…その話ですか。」
「お?何だ、そういった話は久方ぶりだな。それこそ、チビがもっとチビの頃は山ほど縁談持ち込まれていたもんなぁ。」
「その話でしたら、もうお断りしました。」
「おいおい、あいつに操立ててんのか?もう良いんじゃねぇか、お前が幸せならあいつだって喜ぶだろうよ。そういうヤツだろ、煉獄は。」
「そうですよ、俺もそう思います!」
「あら。別に絶対再婚しない心算というわけではないのよ。杏寿郎さんより良い男がいればいつだって。」
「…それ、もう結婚はしねぇって言ってるようなもんじゃねぇか…?」
「…宇随さん、あなたどれだけ杏寿郎さんのことお好きなんです?ふふっ宇随さん自身が杏寿郎さん以上の男はいないと仰っていると同じですよ?」
「いやでも!宇随さんの仰る通りです!煉獄さんより良い男でなければ…ということであれば、もう再婚なさらないと言っているも同然なのでは!」
「そんなことないわ。ちなみに1番の有力候補はあなただったのよ、炭治郎くん。」
「…。…えぇっ!?い、いや…えっ!?/////」
「ふふふっ!顔真っ赤よ?」
「そ、からかわないで下さいよ!/////」
「からかってなんかいないわ。本気よ。他に良い人がいるって知ったからとうに諦めましたけどね。」
「そっ…/////」
「…おぅおぅ、派手に待ちやがれ!聞き捨てならねぇな!!この祭りの神、宇随様を差し置いて1番の有力候補が炭治郎だっただと!?どう見たって俺の方が良い男だろーが!」
「クスクス…そりゃあ宇随さんだって良い男ですけど。趣味じゃないんです。(ニッコリ)」
「あぁ!?(怒)」
「う、ううう宇随さん落ち着いて!!殺気がすごいです!!」
「っ母上!ご無事ですかっ!?…うずい殿!かまど殿!いらしてたのですか!!」
「あぁ、こんにちは。久しぶりだね。」
「お久しゅうございます!何やらすごい殺気を感じたのですが、お二人がいらっしゃるのなら安心ですね!たんれんが途中でしたので失礼します!!」
「…千六百二十三!千六百二十四!」
「ッチ!別に趣味じゃねぇのは良いんだけどよ。コイツより下というのは気に入らねぇな。」
ブスブスッ
「いたっ痛いです!宇随さん!指で頬を突くの止めて下さい!穴が開きそうです!」
「趣味の問題なのですから上とか下とかではないでしょう。…私は、時折腹が立つほどに自分や身内以外のために動く優しさを持つ人が好きなようでして。本当に腹立たしく思う時もあるんですけどね!宇随さんのように雛鶴さんたちとそれ以外、と明確に区別して大切にしてくれる人ならそんな腹を立てることもないのでしょうけど。頭ではそう思うのに、心が動かないのですから趣味嗜好というのは厄介なものです。」
「…フン、だからそんな趣味のヤツがあいつ以上に良い男探そうなんて土台無理な話だっつってんだ。」
「…それなら来世に期待します。」
「ばーか、来世だってお前は早々に煉獄に取っ捕まってるだろうよ。」
「…ふふっ」
「でも…言いにくいですが少し、安心しました。もちろん、澪さんが幸せになれるのであればそれが1番ですが、澪さんが再婚なさって、こうして…気軽にお会いできなくなるのはやっぱり寂しいので。…千寿郎君も同じように言っていました。」
「あら、気軽に会えなくなるだなんて、どうして?」
「そりゃあお前、新しい亭主の気分が良くねぇだろうよ。前の夫の弟やら知り合いやらがわんさか気軽に遊びに来られちゃあな。」
「まぁ…そんなことを思うような、狭量な男なんてこちらから願い下げよ。」
「…はははっ!そうですね、煉獄さんは懐の広い御仁ですもんね!」
「イヤ待てヲイ、炭治郎…あいつ澪のことになると大概狭量なやつだったぞ!?」
「そうなんですか…?」
「そうだ、お前あいつはなぁ」
…バンッ
「うずい殿!かまど殿!先ほどはきちんと挨拶ができず失礼しました!!」
「あら、鍛錬は?」
「終わりました!!」
「…今日は、五千までやると言っていませんでしたか?」
「…終わりました!!!」
「いや、派手に嘘ついてんじゃねぇチビ、てめぇさっきまでデケェ声で千七百云々って言ってただろーが!!」
「終わりましたっ!!!!!」
「ちょっと宇随さん!小さい子どもの前でてめぇだなんて言葉を使わないで下さい!」
「炭治郎、突っ込むところはソコじゃねぇ!!」
**************************
父親(杏寿郎)の良くない噂に敏感な息子←
のちに宇随さんは「コイツまさかあいつの生まれ変わりなんじゃねぇだろうな…」と疑い出す。