アングレカム
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
コンコンと船長室の扉をノックする。
すると中からドレークの声が聞こえた。
「入っていいぞ。」
その言葉に甘えて、ガチャリと扉を開く。
部屋に足を踏み入れれば、目を見開いたドレークと視線が合う。
「鳴海か…、ど、どうしたんだこんな時間に。」
彼は扉をノックしたのが、まさか私だとは思っていなかったようだ。
それに申し訳なく思いながらも、私は口を開く。
「ちょっと、ドレークと話したくて。その……前に言ってくれた、ことについて。」
少しだけ顔に熱が集まるのを感じる。
チラリとドレークを見れば、彼も似たようなものだった。
「そ、そうか。良かったらかけてくれ。」
そう言いながら、彼はテーブルの手前の椅子を引いた。
「うん、ありがとう。」
私はそれに素直に頷き、腰掛ける。
彼も私の目の前にある椅子に座った。
その瞳をじっと見つめてみるが、彼は私と視線を合わせようとしない。
「ドレーク。」
名前を呼んでみる。
「どうした?」
しかしその瞳はテーブルの上で組まれた手をじっと見つめていた。
もしかしたら、これから私が言う事を恐れているのかもしれない。
そう思い、無理にその視線をこちらに向けなくてもいいと判断し、私は話出す。
「これから私の秘密について話す。」
そう言えば、弾かれたように私の方を見るドレーク。
「い、いいのか? 仲間以外には言っていない秘密なんだろう?」
「そう。だから、私の秘密を知っても一緒に居たいと思ってくれるなら、付き合おう。私もドレークのこと、好きだから。」
私の言葉に一瞬息を呑むドレーク。
しかし次の瞬間その顔はカァっと赤くなった。
「だけど。私の秘密を知って、重いとか、無理とか思ったら私は船を降りる。そして秘密も含めて私のことは金輪際、忘れて。」
その言葉に彼はグッと口をへの字にする。
まるで百面相を見ているようだ。
「分かった。話してくれ。」
姿勢を正して言うドレークに少しだけ笑い、私は話し出した。
「私ね……。……この世界の人間じゃないの。異世界から、こっちに来た。」
ドレークは目を見開く。
「元の世界で、私は忍だった。第四次忍界大戦ていう忍の大きな戦争の中で、敵にチャクラ……生命力をごっそり奪われて死んだ。そう、死んだはずだった。あの感覚は確実に"死"だった。」
私は一呼吸おき、また話出す。
「だけど、気付いたらルフィ達の船の上に居た。元の世界で習得した忍術を使えるままね。初めてドレークに会った時にした治療も、医療忍術なの。」
ドレークは顎に手を当てて何かを考えながら私の話を聞いている。
「なぜ私がこの世界に来たのか、どうやって来たのかも分からない。ただ、この事が政府に知られたら私は人体実験の研究材料になるかも。いくら政府が新政府に変わったといっても、私が異質なことに変わりはないから。だからもしそうなった時は、私の事はーー」
見捨てて良いから、という言葉はドレークに遮られた。
「そんな事にはならない。」
彼は自信たっぷりに言う。
「現時点でこの事を知っているのは麦わらの一味と俺だけだ。自分で言うのもなんだが、外部へ君の秘密を漏らすような人間は1人もいないはずだ。万が一のため、この船の仲間にはこのまま秘密にしておこう。」
「……うん。ありがとう。」
彼の言葉に、心が温まっていくのを感じる。身体の力も抜けていく。
そこで初めて、自分が相当緊張していたことに気づく。
「それで、だ。君の秘密には確かに驚かされた。だが、だからと言って重いだとか無理だとかは全く思わん。」
緊張が緩んだところに、ドレークの答えを聞かされ、私は涙腺まで緩み出した。
震えた声と潤んだ瞳でなんとか言葉を紡ぐ。
「私、この世界の人間じゃないんだよ? もしかしたら、何かの拍子でまた、どこか別の世界に行っちゃうかもしれない。」
「そうなったら、俺も君を追いかけてその世界まで行くさ。君を探しに。そして必ず見つけてみせる。」
ドレークは私をまっすぐ見つめて言った。
しかし私は首を横に振る。
「そんなの、出来るわけない……。異世界に行く方法なんて……ーー」
「そんな事は関係ない。どんな手を使っても君を探し出してみせる。もちろん政府にも渡さない。もしも仮に、万が一、政府に君のことがバレたとしても、君を死ぬまで守ると誓う。世界を敵にまわしてでも。だからもう、安心していいんだ、鳴海。」
"安心していい"。私に言い聞かせるように言われたその言葉に、ついに私の瞳からポロリと涙が溢れた。
それを誤魔化すように、私は勢いよく椅子から立ち上がってドレークの元へ駆け寄り、その太い首に抱きついた。
「なっ、鳴海! これは、その! なんというか近すぎる! というか、あ、当たっている!!」
「ドレークがっ、悪いっ……!」
私はえぐえぐと流れる涙をそのままに彼にしがみつく。
観念したらしいドレークも、おずおずと私の背中にその手を回した。
そして私が泣き止むまで、ぎこちなく私の背中をさすってくれるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
俺は、彼女に何か秘密があるという事はとうの昔から知っていた。
それが彼女の能力に関係するのだろうことも。
いつから知っていたかと言えば、初めて会った日からと言っても過言ではない。
"「これは悪魔の実の能力じゃない。とだけ言っておく。」"
あの日のあの言葉から、彼女が何か特別な力を持っていることは容易く想像できた。
あの日以降、彼女とは度々、事件の渦中で会うようになった。
いつからだろうか、俺が彼女を意識するようになったのは。
明確には覚えていないが、彼女には何度か人目を避けて傷を治してもらった事がある。
そんな事を繰り返すうち鳴海の優しさに触れて、彼女をただの海賊とは思えなくなっている自分がいた。
その頃にはもうただ気になるだけの存在ではなくなっていた。
もっと笑顔が見たい、涙を流す時はそばにいたい、そして彼女に触れてみたい。
そんな気持ちが押し寄せるようになった。
麦わらの一味が解散して一味の行方が不明になった時は焦った。
もう会えないものと思った。
だから、あの島で再会できたのは運命だとすら思えた。
しかし彼女を船に誘った時、何か違和感を感じた。
コビーとひばりが誘った時もそうだった。
俺にはまるで、鳴海が何かを恐れているかのように見えた。
だから船に乗るのを躊躇っているのだと。
彼女から秘密を聞かされて、俺はようやく合点がいった。
鳴海は、異世界から来たということを知られる事を恐れていたのだ。ずっと。
もしかしたら、異世界から来たと言う事実すら、彼女は恐れているのかもしれない。
だから言ったのだ。
もう安心して良いのだと。
まさかそれで泣かれるとは思ってもみなかったが。
いまだ泣き止まない彼女の背中を撫でながら、俺は鳴海の温もりを感じるのだった。
すると中からドレークの声が聞こえた。
「入っていいぞ。」
その言葉に甘えて、ガチャリと扉を開く。
部屋に足を踏み入れれば、目を見開いたドレークと視線が合う。
「鳴海か…、ど、どうしたんだこんな時間に。」
彼は扉をノックしたのが、まさか私だとは思っていなかったようだ。
それに申し訳なく思いながらも、私は口を開く。
「ちょっと、ドレークと話したくて。その……前に言ってくれた、ことについて。」
少しだけ顔に熱が集まるのを感じる。
チラリとドレークを見れば、彼も似たようなものだった。
「そ、そうか。良かったらかけてくれ。」
そう言いながら、彼はテーブルの手前の椅子を引いた。
「うん、ありがとう。」
私はそれに素直に頷き、腰掛ける。
彼も私の目の前にある椅子に座った。
その瞳をじっと見つめてみるが、彼は私と視線を合わせようとしない。
「ドレーク。」
名前を呼んでみる。
「どうした?」
しかしその瞳はテーブルの上で組まれた手をじっと見つめていた。
もしかしたら、これから私が言う事を恐れているのかもしれない。
そう思い、無理にその視線をこちらに向けなくてもいいと判断し、私は話出す。
「これから私の秘密について話す。」
そう言えば、弾かれたように私の方を見るドレーク。
「い、いいのか? 仲間以外には言っていない秘密なんだろう?」
「そう。だから、私の秘密を知っても一緒に居たいと思ってくれるなら、付き合おう。私もドレークのこと、好きだから。」
私の言葉に一瞬息を呑むドレーク。
しかし次の瞬間その顔はカァっと赤くなった。
「だけど。私の秘密を知って、重いとか、無理とか思ったら私は船を降りる。そして秘密も含めて私のことは金輪際、忘れて。」
その言葉に彼はグッと口をへの字にする。
まるで百面相を見ているようだ。
「分かった。話してくれ。」
姿勢を正して言うドレークに少しだけ笑い、私は話し出した。
「私ね……。……この世界の人間じゃないの。異世界から、こっちに来た。」
ドレークは目を見開く。
「元の世界で、私は忍だった。第四次忍界大戦ていう忍の大きな戦争の中で、敵にチャクラ……生命力をごっそり奪われて死んだ。そう、死んだはずだった。あの感覚は確実に"死"だった。」
私は一呼吸おき、また話出す。
「だけど、気付いたらルフィ達の船の上に居た。元の世界で習得した忍術を使えるままね。初めてドレークに会った時にした治療も、医療忍術なの。」
ドレークは顎に手を当てて何かを考えながら私の話を聞いている。
「なぜ私がこの世界に来たのか、どうやって来たのかも分からない。ただ、この事が政府に知られたら私は人体実験の研究材料になるかも。いくら政府が新政府に変わったといっても、私が異質なことに変わりはないから。だからもしそうなった時は、私の事はーー」
見捨てて良いから、という言葉はドレークに遮られた。
「そんな事にはならない。」
彼は自信たっぷりに言う。
「現時点でこの事を知っているのは麦わらの一味と俺だけだ。自分で言うのもなんだが、外部へ君の秘密を漏らすような人間は1人もいないはずだ。万が一のため、この船の仲間にはこのまま秘密にしておこう。」
「……うん。ありがとう。」
彼の言葉に、心が温まっていくのを感じる。身体の力も抜けていく。
そこで初めて、自分が相当緊張していたことに気づく。
「それで、だ。君の秘密には確かに驚かされた。だが、だからと言って重いだとか無理だとかは全く思わん。」
緊張が緩んだところに、ドレークの答えを聞かされ、私は涙腺まで緩み出した。
震えた声と潤んだ瞳でなんとか言葉を紡ぐ。
「私、この世界の人間じゃないんだよ? もしかしたら、何かの拍子でまた、どこか別の世界に行っちゃうかもしれない。」
「そうなったら、俺も君を追いかけてその世界まで行くさ。君を探しに。そして必ず見つけてみせる。」
ドレークは私をまっすぐ見つめて言った。
しかし私は首を横に振る。
「そんなの、出来るわけない……。異世界に行く方法なんて……ーー」
「そんな事は関係ない。どんな手を使っても君を探し出してみせる。もちろん政府にも渡さない。もしも仮に、万が一、政府に君のことがバレたとしても、君を死ぬまで守ると誓う。世界を敵にまわしてでも。だからもう、安心していいんだ、鳴海。」
"安心していい"。私に言い聞かせるように言われたその言葉に、ついに私の瞳からポロリと涙が溢れた。
それを誤魔化すように、私は勢いよく椅子から立ち上がってドレークの元へ駆け寄り、その太い首に抱きついた。
「なっ、鳴海! これは、その! なんというか近すぎる! というか、あ、当たっている!!」
「ドレークがっ、悪いっ……!」
私はえぐえぐと流れる涙をそのままに彼にしがみつく。
観念したらしいドレークも、おずおずと私の背中にその手を回した。
そして私が泣き止むまで、ぎこちなく私の背中をさすってくれるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
俺は、彼女に何か秘密があるという事はとうの昔から知っていた。
それが彼女の能力に関係するのだろうことも。
いつから知っていたかと言えば、初めて会った日からと言っても過言ではない。
"「これは悪魔の実の能力じゃない。とだけ言っておく。」"
あの日のあの言葉から、彼女が何か特別な力を持っていることは容易く想像できた。
あの日以降、彼女とは度々、事件の渦中で会うようになった。
いつからだろうか、俺が彼女を意識するようになったのは。
明確には覚えていないが、彼女には何度か人目を避けて傷を治してもらった事がある。
そんな事を繰り返すうち鳴海の優しさに触れて、彼女をただの海賊とは思えなくなっている自分がいた。
その頃にはもうただ気になるだけの存在ではなくなっていた。
もっと笑顔が見たい、涙を流す時はそばにいたい、そして彼女に触れてみたい。
そんな気持ちが押し寄せるようになった。
麦わらの一味が解散して一味の行方が不明になった時は焦った。
もう会えないものと思った。
だから、あの島で再会できたのは運命だとすら思えた。
しかし彼女を船に誘った時、何か違和感を感じた。
コビーとひばりが誘った時もそうだった。
俺にはまるで、鳴海が何かを恐れているかのように見えた。
だから船に乗るのを躊躇っているのだと。
彼女から秘密を聞かされて、俺はようやく合点がいった。
鳴海は、異世界から来たということを知られる事を恐れていたのだ。ずっと。
もしかしたら、異世界から来たと言う事実すら、彼女は恐れているのかもしれない。
だから言ったのだ。
もう安心して良いのだと。
まさかそれで泣かれるとは思ってもみなかったが。
いまだ泣き止まない彼女の背中を撫でながら、俺は鳴海の温もりを感じるのだった。