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港に戻って、そうっと船の甲板に降りる。
甲板を歩いて女子部屋へ行こうとした、その時。
後ろから声をかけられる。
「遅かったな。」
「びっっっくりした……!!」
私は肩をびくりと揺らした。
「ドレーク……!! こんな時間まで何してるの!?」
「船の見張りだ。」
船長が見張りを買って出るなんて、彼らしいと思った。
「そうだったの……。あ、そうだ。はい、これお土産のおはぎ!」
「あぁ、ありがとう。」
彼はそう言っておはぎを受け取る。
「それより、まさかこんな時間まで飲んでたのか?」
「うん、さっきまでゾロとブルックと3人で飲んでたの。」
「………そう、か。」
ドレークは少し悲しそうに瞼を伏せた。
「……どうしたの?」
「今日、ワノ国の将軍に、君が、その……抱擁されているのを仲間が見たと言うのだが……。」
「ほうよう……?」
一瞬、言われた言葉の意味を考える。
そしてそれがハグのことを指していると気づく。
「あぁ、うん。されたけど、子供に抱きつかれたようなもんだよ。」
「君にとってはそうでも、向こうはそうじゃないかもしれない。」
「え?」
「つまり、君の事を異性として見ているかもしれないだろう。」
「え、いやいや、ないない。全然そういう感じゃないから。」
「君に分かるのか? 男が心の底でどんな事を考えているか。」
ドレークは私の方に一歩踏み出して距離を縮める。
「そ、りゃあ、何となくは分かるよ。」
彼は至極真面目な顔で私に問いかける。
「では、俺の考えている事は分かるか?」
その瞳には、熱が込められている。
「そ、それ、は……。」
私はその熱っぽい視線に思わず後退りするも、ドレークはどんどん距離を詰めてくる。
私はとうとう甲板の端っこに追い詰められた。
両側をドレークの腕に閉じ込められる。
「俺は……君のことが好きなんだ。ずっと前から、何年も。」
絞り出すように言ったドレークに、私は言葉を失う。
「だから帰りが遅いと心配になるし、他の男と飲んでいただの抱きつかれただのと聞けば嫉妬もする。」
「そ、っか。私のこと……。」
薄々勘づいてはいた。
しかしいざ言葉にされると、とても恥ずかしい。
「そんな俺は、みっとも、ないだろうか。」
彼はやや顔を赤くして私にそう問いかける。
「みっともなくなんてない。すごく、嬉しいよ。でも……私は……私には、秘密があるから……。」
彼の思いに応えることが出来ない。
「そんなことは気にしない。俺だって今は無職で金もないが、そんな俺でも良ければ、付き合って欲しい。君でなきゃ、ダメなんだ。」
「……ドレーク。……少し……考えさせて。」
私は俯きながら言った。
彼は私の言葉に少しだけ残念そうな気配を醸し出す。
「……分かった。」
そう言った彼の腕の中から出て、女子部屋へ向かった。
ひばりちゃんを起こさないように、静かに扉を閉めてベッドに腰掛ける。
正直嬉しい。かなり嬉しい。
でも。
「……どうしよう。」
暗い部屋の中、ポツリと私の声だけが静かに響くのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
私たちがワノ国を出航した日から、3週間が経った。
その間、ドレスローザなどの島々に寄り、ドレークの誘いでお昼を一緒にとったり、買い物に付き合って貰ったりした。
今までより少し近い距離感に、どこか2人ともぎこちない。
私が彼を完全に意識してしまっているからそう感じるのかもしれないが。
今だってそうだ。
向かい合って朝食を摂っているが、目が合うとサッと逸らされているように感じる。
「つ、次の島はウォーターセブンで、今日の午後着く予定だ。」
「うん、そっか。」
私は私で、緊張してなかなか自然に会話が出来ない。
「ウォーターセブンには、確か仲間が居ると言っていなかったか?」
「え? あぁ、うん。いるいる。」
「名前は確か……ニコ・ロビンと……。」
「フランキーね。あとジンベエもいま偶然ウォーターセブンにいるらしいの。」
3人とはもちろん会う予定だ。
「海峡のジンベエか。なかなかのメンツだな。」
「ふふ、そう?」
「その、今日も夜は遅くなるのか?」
おずおずと聞いてきた彼に、私は今日の予定を思い出した。
「あ、今日はロビンの家に泊めてもらう予定なの。明日の夜は一旦船に戻るつもり。」
「そうだったのか。楽しんでくるといい。」
「うん、ありがとう。」
会話はそこで一旦途切れ、沈黙が2人を包んだ。
食堂自体はガヤガヤと騒がしい。
私よりひと足先に食事を終えたドレークが私に再び声をかける。
「俺は先に船長室へ戻る。ゆっくり食べると良い。」
「うん、そうするね。」
私がそう言ったのを見届けて、彼はマントの裾を翻した。
そんな仕草まで格好良く見えてしまうあたり、私もなかなか重症かもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーー
その日の夕方、私達はウォーターセブンに着いた。
私は今、ロビンとフランキー、ジンベエの3人に再会していた。
場所は以前より豪華になってるフランキーハウスだ。
皆でお酒を飲みながら、ロビンが私の方を見て言う。
「それにしても、ブルックから貴方が彼氏連れで来ると聞いた時はビックリしたけど、彼の嘘だったなんて、残念だわ。しかも、あのソードの元隊長さんだって言うから。」
「ブルックのやつ、何言ってくれてんの……。」
私は顔を赤らめながら呟く。
「あら、でもその顔。もしかして、彼のこと好きなのは本当なんじゃない?」
鋭いロビンに、グッと言葉を詰まらせる。
「……まぁ、そうだけど。」
「まぁそうだけどぉ?? 何だよそのスーパーに煮え切られねぇ答えは。好きならさっさと当たって砕けちまえ!」
フランキーはコーラを飲みながら言う。
「砕ける前提で話すな!!……ドレークだって、私の事、好きって言ってくれたし……。」
私がポツリ、ポツリと言えば、その場に沈黙が流れた。
三人の頭に疑問符が浮かんでいるのが見える。
「???……じゃあお前さんら、何で付き合うてないんじゃ??」
"意味がわからない"といった雰囲気のジンベエ。
私は頬杖をつき拗ねたように言う。
「……皆も知ってるでしょ。私がこの世界の人間じゃないこと。こんな私が、この世界で恋人なんか作っていいのかな…って。だから、彼に告白はして貰ったけど、"考えさせて"って保留にしてあるの。」
その場に少しの沈黙が流れた。
それを破ったのはロビン。
「なるほど。ねぇ鳴海。確かに貴方は、異世界から来たかもしれない。でも、だからっていつまでも自分をこの世界の異分子として見ないでいいのよ。」
「……そう、かな。」
俯く私に、ジンベエが私の肩に手をやり言う。
「ロビンの言う通りじゃ。お前さんはわしらと共に冒険し、ちゃんとここで生きておる。紛れもなく、お前さんはこの世界の住人じゃ。」
「アウ! 思い合ってんだったら、グダグダ考えてないで、サクッと付き合っちまえば良いんだよ! そういうのは、考えるな、感じろ、ってな!」
常に軽いノリのフランキーに少しだけ救われる。
「そうね。でも、私が思うに、貴方達は大丈夫な気がするわ。」
「え、どうして?」
謎の自信を持って言うロビンに、私は問いかけた。
「ふふふ。貴方、気付いてないようだけど。鳴海が"考えさせて"って言う時は、大抵もう答えが決まっている時よ。」
「!!」
確かにそうかもしれない。
現に、私はもうドレークに対する気持ちを隠そうともしていない。
思えば、今までも私が"考える"と言う時は、だいたい出した答えに覚悟を伴わせるための時間稼ぎみたいなものだった。
今回も、そうなのだ。
まだ覚悟ができていない。それだけなのだ。
そう考えると、なんだか頭がスッキリした。
「ふふ。どうやら、ブレイクスルーできたみたいね。」
「うん。自分がどうすべきがわかった気がする。ありがとう、ロビン。それにフランキーとジンベエも。」
その日の夜はロビンの家に泊まらせてもらい、良い年して恋バナに花を咲かせた。
そしてロビンが寝静まってから、私はソファの上で横になりながらドレークとのことを考えた。
そして、ついに覚悟を決めるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次の日。ロビンの家を出て、ドレークの仲間達と船の物資調達を手伝っていたらあっという間に夜になった。
夜は船に戻って皆で夕食をとる。
その後は宿に行く者もいれば、船で夜を明かす者もいる。
ドレークは自室にちゃんとしたベッドがあったから、おそらく後者だろう。
そう考えた私は、彼のいるであろう船長室へと向かった。
甲板を歩いて女子部屋へ行こうとした、その時。
後ろから声をかけられる。
「遅かったな。」
「びっっっくりした……!!」
私は肩をびくりと揺らした。
「ドレーク……!! こんな時間まで何してるの!?」
「船の見張りだ。」
船長が見張りを買って出るなんて、彼らしいと思った。
「そうだったの……。あ、そうだ。はい、これお土産のおはぎ!」
「あぁ、ありがとう。」
彼はそう言っておはぎを受け取る。
「それより、まさかこんな時間まで飲んでたのか?」
「うん、さっきまでゾロとブルックと3人で飲んでたの。」
「………そう、か。」
ドレークは少し悲しそうに瞼を伏せた。
「……どうしたの?」
「今日、ワノ国の将軍に、君が、その……抱擁されているのを仲間が見たと言うのだが……。」
「ほうよう……?」
一瞬、言われた言葉の意味を考える。
そしてそれがハグのことを指していると気づく。
「あぁ、うん。されたけど、子供に抱きつかれたようなもんだよ。」
「君にとってはそうでも、向こうはそうじゃないかもしれない。」
「え?」
「つまり、君の事を異性として見ているかもしれないだろう。」
「え、いやいや、ないない。全然そういう感じゃないから。」
「君に分かるのか? 男が心の底でどんな事を考えているか。」
ドレークは私の方に一歩踏み出して距離を縮める。
「そ、りゃあ、何となくは分かるよ。」
彼は至極真面目な顔で私に問いかける。
「では、俺の考えている事は分かるか?」
その瞳には、熱が込められている。
「そ、それ、は……。」
私はその熱っぽい視線に思わず後退りするも、ドレークはどんどん距離を詰めてくる。
私はとうとう甲板の端っこに追い詰められた。
両側をドレークの腕に閉じ込められる。
「俺は……君のことが好きなんだ。ずっと前から、何年も。」
絞り出すように言ったドレークに、私は言葉を失う。
「だから帰りが遅いと心配になるし、他の男と飲んでいただの抱きつかれただのと聞けば嫉妬もする。」
「そ、っか。私のこと……。」
薄々勘づいてはいた。
しかしいざ言葉にされると、とても恥ずかしい。
「そんな俺は、みっとも、ないだろうか。」
彼はやや顔を赤くして私にそう問いかける。
「みっともなくなんてない。すごく、嬉しいよ。でも……私は……私には、秘密があるから……。」
彼の思いに応えることが出来ない。
「そんなことは気にしない。俺だって今は無職で金もないが、そんな俺でも良ければ、付き合って欲しい。君でなきゃ、ダメなんだ。」
「……ドレーク。……少し……考えさせて。」
私は俯きながら言った。
彼は私の言葉に少しだけ残念そうな気配を醸し出す。
「……分かった。」
そう言った彼の腕の中から出て、女子部屋へ向かった。
ひばりちゃんを起こさないように、静かに扉を閉めてベッドに腰掛ける。
正直嬉しい。かなり嬉しい。
でも。
「……どうしよう。」
暗い部屋の中、ポツリと私の声だけが静かに響くのだった。
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私たちがワノ国を出航した日から、3週間が経った。
その間、ドレスローザなどの島々に寄り、ドレークの誘いでお昼を一緒にとったり、買い物に付き合って貰ったりした。
今までより少し近い距離感に、どこか2人ともぎこちない。
私が彼を完全に意識してしまっているからそう感じるのかもしれないが。
今だってそうだ。
向かい合って朝食を摂っているが、目が合うとサッと逸らされているように感じる。
「つ、次の島はウォーターセブンで、今日の午後着く予定だ。」
「うん、そっか。」
私は私で、緊張してなかなか自然に会話が出来ない。
「ウォーターセブンには、確か仲間が居ると言っていなかったか?」
「え? あぁ、うん。いるいる。」
「名前は確か……ニコ・ロビンと……。」
「フランキーね。あとジンベエもいま偶然ウォーターセブンにいるらしいの。」
3人とはもちろん会う予定だ。
「海峡のジンベエか。なかなかのメンツだな。」
「ふふ、そう?」
「その、今日も夜は遅くなるのか?」
おずおずと聞いてきた彼に、私は今日の予定を思い出した。
「あ、今日はロビンの家に泊めてもらう予定なの。明日の夜は一旦船に戻るつもり。」
「そうだったのか。楽しんでくるといい。」
「うん、ありがとう。」
会話はそこで一旦途切れ、沈黙が2人を包んだ。
食堂自体はガヤガヤと騒がしい。
私よりひと足先に食事を終えたドレークが私に再び声をかける。
「俺は先に船長室へ戻る。ゆっくり食べると良い。」
「うん、そうするね。」
私がそう言ったのを見届けて、彼はマントの裾を翻した。
そんな仕草まで格好良く見えてしまうあたり、私もなかなか重症かもしれない。
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その日の夕方、私達はウォーターセブンに着いた。
私は今、ロビンとフランキー、ジンベエの3人に再会していた。
場所は以前より豪華になってるフランキーハウスだ。
皆でお酒を飲みながら、ロビンが私の方を見て言う。
「それにしても、ブルックから貴方が彼氏連れで来ると聞いた時はビックリしたけど、彼の嘘だったなんて、残念だわ。しかも、あのソードの元隊長さんだって言うから。」
「ブルックのやつ、何言ってくれてんの……。」
私は顔を赤らめながら呟く。
「あら、でもその顔。もしかして、彼のこと好きなのは本当なんじゃない?」
鋭いロビンに、グッと言葉を詰まらせる。
「……まぁ、そうだけど。」
「まぁそうだけどぉ?? 何だよそのスーパーに煮え切られねぇ答えは。好きならさっさと当たって砕けちまえ!」
フランキーはコーラを飲みながら言う。
「砕ける前提で話すな!!……ドレークだって、私の事、好きって言ってくれたし……。」
私がポツリ、ポツリと言えば、その場に沈黙が流れた。
三人の頭に疑問符が浮かんでいるのが見える。
「???……じゃあお前さんら、何で付き合うてないんじゃ??」
"意味がわからない"といった雰囲気のジンベエ。
私は頬杖をつき拗ねたように言う。
「……皆も知ってるでしょ。私がこの世界の人間じゃないこと。こんな私が、この世界で恋人なんか作っていいのかな…って。だから、彼に告白はして貰ったけど、"考えさせて"って保留にしてあるの。」
その場に少しの沈黙が流れた。
それを破ったのはロビン。
「なるほど。ねぇ鳴海。確かに貴方は、異世界から来たかもしれない。でも、だからっていつまでも自分をこの世界の異分子として見ないでいいのよ。」
「……そう、かな。」
俯く私に、ジンベエが私の肩に手をやり言う。
「ロビンの言う通りじゃ。お前さんはわしらと共に冒険し、ちゃんとここで生きておる。紛れもなく、お前さんはこの世界の住人じゃ。」
「アウ! 思い合ってんだったら、グダグダ考えてないで、サクッと付き合っちまえば良いんだよ! そういうのは、考えるな、感じろ、ってな!」
常に軽いノリのフランキーに少しだけ救われる。
「そうね。でも、私が思うに、貴方達は大丈夫な気がするわ。」
「え、どうして?」
謎の自信を持って言うロビンに、私は問いかけた。
「ふふふ。貴方、気付いてないようだけど。鳴海が"考えさせて"って言う時は、大抵もう答えが決まっている時よ。」
「!!」
確かにそうかもしれない。
現に、私はもうドレークに対する気持ちを隠そうともしていない。
思えば、今までも私が"考える"と言う時は、だいたい出した答えに覚悟を伴わせるための時間稼ぎみたいなものだった。
今回も、そうなのだ。
まだ覚悟ができていない。それだけなのだ。
そう考えると、なんだか頭がスッキリした。
「ふふ。どうやら、ブレイクスルーできたみたいね。」
「うん。自分がどうすべきがわかった気がする。ありがとう、ロビン。それにフランキーとジンベエも。」
その日の夜はロビンの家に泊まらせてもらい、良い年して恋バナに花を咲かせた。
そしてロビンが寝静まってから、私はソファの上で横になりながらドレークとのことを考えた。
そして、ついに覚悟を決めるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次の日。ロビンの家を出て、ドレークの仲間達と船の物資調達を手伝っていたらあっという間に夜になった。
夜は船に戻って皆で夕食をとる。
その後は宿に行く者もいれば、船で夜を明かす者もいる。
ドレークは自室にちゃんとしたベッドがあったから、おそらく後者だろう。
そう考えた私は、彼のいるであろう船長室へと向かった。