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ルフィが海賊王になって数年が経つ。
それまでの道のりはそれはそれは大変だった。さまざまな事件に巻き込まれつつ、ドレークとも、いくつかの戦いの場で居合わせた。
その度に彼とは二言三言の会話をした。
冗談を言い合うようにもなったし、お互い名前で呼び合うようにもなった。
そんなことが続き、私は彼のことがだんだん気になるようになった。
なんせ彼は海賊である私のような人間にも対等に接してくれるし、何より根が善人だ。
が、今の私に彼に会う術はない。
何故なら麦わらの一味はすでに解散し私はグランドラインにあるとある島で1人暮らしをしているからだ。
1人で船に乗ってまで彼に会いに行くような仲でもない。
ただ、出来るならもう少し話してみたかった、それだけの間柄だ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
数年前まで共に旅をした仲間に想いを馳せながら、私は今街に出ていた。
食料の買い出し中だ。
買い出しをしながら、サンジがいかに大変な役割を担っていたか思い知る。
女一人暮らしの食糧調達ですら私には面倒なのに、彼はそれを仲間の人数分、船で旅しながらやってのけたのだから。
ルフィの大食いはいつまでも凄かったな。
ゾロはお酒ばっかり飲むし。
あれで体を壊さないのが不思議なくらいだ。
ナミやロビンは元気かな。
そんな事を考えていると、横から声が掛かった。
「鳴海……か?」
声のした方を振り返れば、そこには久しぶりに会うドレークがいた。
彼は海軍の軍服姿ではなく、海賊時代の時のような出立ちでそこに立っている。
「ドレーク!?」
お互い驚きで数秒固まった。
「……何でこの島に!?」
私は一瞬、彼が仕事でここにいるのかと考えたが、服装が軍服ではないから違うのだろう。
「……あ、あぁ。実はかなり前に海軍を辞めてな。海兵時代の部下と共に海へ出た。今は世界を見て回っている。」
驚くことに彼はもう海兵ではないらしい。
「……そうなんだ……!! あ、いつまでこの島にいるの!?」
「一週間ほど滞在させてもらう予定だ。」
「結構長い……!!……そうだ、ねぇ。この後大丈夫ならうちに来てお茶でも飲んできなよ!」
私は懐かしい顔に会えて嬉しくなり、ついドレークを家に誘った。
「そ、それは嬉しいが、急に押しかけて迷惑ではないか?」
私の勢いにとは裏腹に、彼は一歩下がってわたしに気を使う素振りを見せる。
「全然! あっ! でも、うち今そんなに綺麗じゃないけど……それでも良ければ……。」
だんだん語尾が小さくなっていく私に、彼はふわりと笑って言う。
「ふっ、あぁ、構わん。それより驚いた。麦わら達が解散していたことは知ってるが、まさかこの島に君がいたとはな。」
「本当、すごい偶然だね。」
そんな談笑をしながら私は残りの食料を調達し、ドレークと共に家路に着いた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「汚くてごめんねぇ。」
私はそう言いながら彼を家に招き入れた。
「い、いや、気にしないから大丈夫だ。」
私の家に入った途端、彼は緊張の色を見せた。
"そこに座ってて"とテーブルの椅子のある方を指し示せば、彼はぎこちなく椅子に座る。
キッチンへ行き食料を備蓄してある棚に入れ、お湯を沸かした。
「紅茶で良い? うちコーヒーなくて。」
「あぁ、構わない。」
「お湯が沸くまで少し待ってね。」
私はそう言いながら、クッキー缶をテーブルに開けて自分も座る。
「しかし変な感じだな。以前は海兵と海賊という立場だったのに、今はこうして君と同じテーブルを囲んでいる。」
「それもそうだね。でも、昔からドレークは敵って感じがしなかった。スパイとして海賊してた時期があるからかな?」
「それでもカイドウの部下という立場だった。あれはあれで敵同士だっただろう。」
「確かに。まぁでも、あの頃からドレークは私の中では良い人の部類に入る海兵だったから。」
「……。良い人、か。」
「うん?」
「いや、こちらの話だ。そんなことより、今でも昔の仲間と連絡はとっているのか?」
「もちろん。一週間くらい前もナミと電伝虫で話したばっかりだしね。はぁ〜、また皆に会いたいなぁ〜。」
「そうか。」
ふ、と笑って彼は目を伏せた。
気付けばお湯の沸く音が聞こえる。
私は席を立って、キッチンへ戻った。
「何か手伝うことはあるか?」
ドレークの問いかけに私は首を振る。
「ううん。大丈夫だよ。」
2人分の紅茶を入れると、それらをトレーに乗せてテーブルへ向かう。
ドレークの前にティーカップを置けば"ありがとう"と返ってくる。
私は自分の分もテーブルに置き、椅子に腰掛けた。
そしてふと気になった事を問う。
「そういえば、ルフィの友達のコビー君は船に乗ってるの?」
「あぁ。乗っている。コビーも旧政府のやり方には疑問を持っていたからな。」
「旧政府に懐疑的だったのは、ドレークもでしょ?」
「あぁ。その通りだ。」
「今の新政府なら、貴方達の居場所もあるんじゃないの?」
「組織は組織だ。俺たちは組織からはみ出た者。新しい組織に属しても変わらんだろう。」
「そっか。」
「皮肉なものだ。」
ポツリと呟いたドレークに、私は首をかしげる。
彼はゆっくりと話し出した。
「俺の父は元海兵で海賊に身を落とした男だった。海賊時代の父が大嫌いだったよ。だがしかし、海兵を辞めた俺も海賊の方が向いていたのかもしれん。」
「それはないでしょ。ドレークに略奪とかは似合わないもん。今だって、海賊として世界を回ってるわけじゃないんでしょ?」
「もちろんだ。わざわざ父と同じ道には行こうとは思っていない。」
「ドレークはドレークだよ。優しい元海兵のね。」
「ふっ、そうだな。」
その後もドレークと世間話や身の上話、冒険の話などをしていれば、あっという間に夕方になった。
「いかん、もうこんな時間か。そろそろ船に戻る時間だ。」
「そうだったの? じゃあ急いで戻らないとね。」
「あぁ、話ができて良かった。紅茶をありがとう。うまかった。」
彼は言いながら立ち上がって、玄関へ向かう。
私もその後に続く。
「こちらこそ、楽しかった。」
玄関でブーツを履いた彼は、振り向いて私の顔をじっと見下ろす。
私はドレークを見上げて疑問符を浮かべた。
すると目を泳がせたドレークが言いにくそうに口を開く。
「その、だな。……もし良かったらなんだが……、俺の船に乗らないか?」
「えっ、船?」
唐突な話に思わず聞き返してしまう。
「あ、あぁ。また仲間に会いたいと言っていただろう。世界を回っているから、君の仲間のいる島にも寄ってやれる。君にとってそれはメリットになり得ないだろうか。」
「それは……、嬉しいけど、私なんか乗って大丈夫なの? 船の皆んなが反対するんじゃない?」
「それはない。俺が言って聞かせる。だから、その……考えておいてくれないか。」
「……分かった。」
そこまで話して彼は玄関のドアノブに手を伸ばす。
しかし再度私の方を振り返って、やや顔を赤くして言った。
「そ、それと、この島にいる間、またここに来ても良いだろうか。それか外で食事でも。」
「え? あぁ、うん。もちろん。」
「そ、そうか! ではまた今度!」
彼はそう言うと、嬉しそうにして玄関から出て行った。
私は呆然と玄関に立ち尽くす。
まるで、デートの誘いみたいだ。
そう思い、やや顔が赤くなる。
その頃、彼が玄関の外でガッツポーズをしていた事を、私は知らない。
それまでの道のりはそれはそれは大変だった。さまざまな事件に巻き込まれつつ、ドレークとも、いくつかの戦いの場で居合わせた。
その度に彼とは二言三言の会話をした。
冗談を言い合うようにもなったし、お互い名前で呼び合うようにもなった。
そんなことが続き、私は彼のことがだんだん気になるようになった。
なんせ彼は海賊である私のような人間にも対等に接してくれるし、何より根が善人だ。
が、今の私に彼に会う術はない。
何故なら麦わらの一味はすでに解散し私はグランドラインにあるとある島で1人暮らしをしているからだ。
1人で船に乗ってまで彼に会いに行くような仲でもない。
ただ、出来るならもう少し話してみたかった、それだけの間柄だ。
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数年前まで共に旅をした仲間に想いを馳せながら、私は今街に出ていた。
食料の買い出し中だ。
買い出しをしながら、サンジがいかに大変な役割を担っていたか思い知る。
女一人暮らしの食糧調達ですら私には面倒なのに、彼はそれを仲間の人数分、船で旅しながらやってのけたのだから。
ルフィの大食いはいつまでも凄かったな。
ゾロはお酒ばっかり飲むし。
あれで体を壊さないのが不思議なくらいだ。
ナミやロビンは元気かな。
そんな事を考えていると、横から声が掛かった。
「鳴海……か?」
声のした方を振り返れば、そこには久しぶりに会うドレークがいた。
彼は海軍の軍服姿ではなく、海賊時代の時のような出立ちでそこに立っている。
「ドレーク!?」
お互い驚きで数秒固まった。
「……何でこの島に!?」
私は一瞬、彼が仕事でここにいるのかと考えたが、服装が軍服ではないから違うのだろう。
「……あ、あぁ。実はかなり前に海軍を辞めてな。海兵時代の部下と共に海へ出た。今は世界を見て回っている。」
驚くことに彼はもう海兵ではないらしい。
「……そうなんだ……!! あ、いつまでこの島にいるの!?」
「一週間ほど滞在させてもらう予定だ。」
「結構長い……!!……そうだ、ねぇ。この後大丈夫ならうちに来てお茶でも飲んできなよ!」
私は懐かしい顔に会えて嬉しくなり、ついドレークを家に誘った。
「そ、それは嬉しいが、急に押しかけて迷惑ではないか?」
私の勢いにとは裏腹に、彼は一歩下がってわたしに気を使う素振りを見せる。
「全然! あっ! でも、うち今そんなに綺麗じゃないけど……それでも良ければ……。」
だんだん語尾が小さくなっていく私に、彼はふわりと笑って言う。
「ふっ、あぁ、構わん。それより驚いた。麦わら達が解散していたことは知ってるが、まさかこの島に君がいたとはな。」
「本当、すごい偶然だね。」
そんな談笑をしながら私は残りの食料を調達し、ドレークと共に家路に着いた。
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「汚くてごめんねぇ。」
私はそう言いながら彼を家に招き入れた。
「い、いや、気にしないから大丈夫だ。」
私の家に入った途端、彼は緊張の色を見せた。
"そこに座ってて"とテーブルの椅子のある方を指し示せば、彼はぎこちなく椅子に座る。
キッチンへ行き食料を備蓄してある棚に入れ、お湯を沸かした。
「紅茶で良い? うちコーヒーなくて。」
「あぁ、構わない。」
「お湯が沸くまで少し待ってね。」
私はそう言いながら、クッキー缶をテーブルに開けて自分も座る。
「しかし変な感じだな。以前は海兵と海賊という立場だったのに、今はこうして君と同じテーブルを囲んでいる。」
「それもそうだね。でも、昔からドレークは敵って感じがしなかった。スパイとして海賊してた時期があるからかな?」
「それでもカイドウの部下という立場だった。あれはあれで敵同士だっただろう。」
「確かに。まぁでも、あの頃からドレークは私の中では良い人の部類に入る海兵だったから。」
「……。良い人、か。」
「うん?」
「いや、こちらの話だ。そんなことより、今でも昔の仲間と連絡はとっているのか?」
「もちろん。一週間くらい前もナミと電伝虫で話したばっかりだしね。はぁ〜、また皆に会いたいなぁ〜。」
「そうか。」
ふ、と笑って彼は目を伏せた。
気付けばお湯の沸く音が聞こえる。
私は席を立って、キッチンへ戻った。
「何か手伝うことはあるか?」
ドレークの問いかけに私は首を振る。
「ううん。大丈夫だよ。」
2人分の紅茶を入れると、それらをトレーに乗せてテーブルへ向かう。
ドレークの前にティーカップを置けば"ありがとう"と返ってくる。
私は自分の分もテーブルに置き、椅子に腰掛けた。
そしてふと気になった事を問う。
「そういえば、ルフィの友達のコビー君は船に乗ってるの?」
「あぁ。乗っている。コビーも旧政府のやり方には疑問を持っていたからな。」
「旧政府に懐疑的だったのは、ドレークもでしょ?」
「あぁ。その通りだ。」
「今の新政府なら、貴方達の居場所もあるんじゃないの?」
「組織は組織だ。俺たちは組織からはみ出た者。新しい組織に属しても変わらんだろう。」
「そっか。」
「皮肉なものだ。」
ポツリと呟いたドレークに、私は首をかしげる。
彼はゆっくりと話し出した。
「俺の父は元海兵で海賊に身を落とした男だった。海賊時代の父が大嫌いだったよ。だがしかし、海兵を辞めた俺も海賊の方が向いていたのかもしれん。」
「それはないでしょ。ドレークに略奪とかは似合わないもん。今だって、海賊として世界を回ってるわけじゃないんでしょ?」
「もちろんだ。わざわざ父と同じ道には行こうとは思っていない。」
「ドレークはドレークだよ。優しい元海兵のね。」
「ふっ、そうだな。」
その後もドレークと世間話や身の上話、冒険の話などをしていれば、あっという間に夕方になった。
「いかん、もうこんな時間か。そろそろ船に戻る時間だ。」
「そうだったの? じゃあ急いで戻らないとね。」
「あぁ、話ができて良かった。紅茶をありがとう。うまかった。」
彼は言いながら立ち上がって、玄関へ向かう。
私もその後に続く。
「こちらこそ、楽しかった。」
玄関でブーツを履いた彼は、振り向いて私の顔をじっと見下ろす。
私はドレークを見上げて疑問符を浮かべた。
すると目を泳がせたドレークが言いにくそうに口を開く。
「その、だな。……もし良かったらなんだが……、俺の船に乗らないか?」
「えっ、船?」
唐突な話に思わず聞き返してしまう。
「あ、あぁ。また仲間に会いたいと言っていただろう。世界を回っているから、君の仲間のいる島にも寄ってやれる。君にとってそれはメリットになり得ないだろうか。」
「それは……、嬉しいけど、私なんか乗って大丈夫なの? 船の皆んなが反対するんじゃない?」
「それはない。俺が言って聞かせる。だから、その……考えておいてくれないか。」
「……分かった。」
そこまで話して彼は玄関のドアノブに手を伸ばす。
しかし再度私の方を振り返って、やや顔を赤くして言った。
「そ、それと、この島にいる間、またここに来ても良いだろうか。それか外で食事でも。」
「え? あぁ、うん。もちろん。」
「そ、そうか! ではまた今度!」
彼はそう言うと、嬉しそうにして玄関から出て行った。
私は呆然と玄関に立ち尽くす。
まるで、デートの誘いみたいだ。
そう思い、やや顔が赤くなる。
その頃、彼が玄関の外でガッツポーズをしていた事を、私は知らない。