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私たちは今、イーストブルーにあるゲッコー諸島に来ており、私とドレークはシロップ村に訪れていた。
シロップ村に住むウソップとカヤに会う為だ。
ーー余談だが、2人はいま結婚して一緒に住んでいるらしい。ーー
シロップ村をカヤの家の方へ歩いていれば、前からウソップが走ってくるのが見えた。
「おーい!! 鳴海ー!!!」
「あっ! ウソップー!!」
私たちはお互いに向かって全力疾走し、抱きつくーー予定だった。
しかし突如私の腕が後ろから引かれて、ウソップは勢いのままに地面とハグをしている。
「簡単に男に抱きつくな!」
そう言いながら、私の腕を引いたのはドレーク。
「何すんだテメェ!」
ウソップはドレークに向かって怒っているが、ドレークの一睨みで萎縮し私の後ろへ隠れる。
そして話を逸らす。
「い、いやぁ、それにしても。お前が彼氏連れてくるって聞いた時は何の冗談かとーー」
「うん、彼氏♡」
そう言って私はドレークに身を寄せて、その太い腕に腕に自分のそれを絡ませる。
ーー若干ドレークが固まったのには素知らぬふりをしておいた。ーー
それを見たウソップのツッコミが炸裂する。
「ーーって本当に彼氏かよ!!! 驚きだよ!!!」
「そんなに驚く?」
「だってよぉ、あのガサツなお前がなぁ。俺ぁ感慨深いぜ……。」
「ガサツは余計!」
ウソップの頭にパンチを一つお見舞いしておく。
「行こう、ドレーク。」
「あ、あぁ。」
そう言ってウソップを残してカヤの家へ向かう私達。
「いや案内するの俺なんだが!?」
ウソップが走って私の前へ出た。
それにクスリと笑い、私達は久しぶりの再会に会話を弾ませながら目的地へ歩いた。
その後、カヤとウソップの家に着いた私達は食事をご馳走になった。
夕食を食べながら、カヤは私達に興味津々だ。
「それで、馴れ初めはどんななの?」
彼女はニコニコしながら私たちについて聞いてくる。
「馴れ初めかぁ。何だろう? ドレーク。」
私がフォークを置いてドレークを見れば、彼も腕組みして考えだした。
「やはりアレじゃないか。俺がソードとして…ーー」
「えー!? もっと後でしょー!?」
ドレークの声を遮る私。
「そ、そうか? じゃああの時だ。怪我している君をーー」
「もっと後!」
再び遮れば、少しムッとした顔のドレークが私に問いかける。
「……じゃあ鳴海から見た俺たちの馴れ初めはいつなんだ。」
「うーん。そりゃあやっぱり、私の住んでる島に来て偶然再開した時でしょ。」
「なっ! つい最近じゃないか!! 俺はもっと前から君と親しいつもりだったぞ!!」
彼は心外だとでも言うふうに私を見た。
「けど親しいって言っても、お互い海兵と海賊だったじゃん?」
「それは、そうだが……! ……はぁ、まぁいい。じゃあ、馴れ初めはそう言うことにしておこう。」
ため息混じりに言う彼は未だ不服そうにしている。
するとカヤが思い出したようにやや大きな声を出す。
「そうよね! 大事な事を聞くのを忘れてたわ! いったいどうやって海賊と海兵さんが知り合ったの!?」
「いやそれ、大事な事か?」
ウソップが呆れ顔でカヤを見ている。
「知り合ったのは、ワノ国で彼女が俺の秘密を握ったことがきっかけだ。」
「そう。ドレークが諜報活動として海賊してるのを知ったのがきっかけなの。」
ドレークと私の言葉に、カヤは頬を赤らめた。
「きゃ! じゃあとってもドキドキするわね!」
「ドキドキ……?」
よく分からない私だったが、ドレークは頷いていた。
「まぁ、俺は確かに焦ったな。その後戦いの末に鳴海に傷の手当てをしてもらったことで、彼女を少し信用したんだ。」
「そこから2人の恋が始まったのね! ロマンチックだわ!」
「え、そうか?」
またしてもやや呆れ顔のウソップと、よくわからない顔の私。
「2人は結婚はいつする予定なの??」
「な、結婚……!?」
カヤの問いかけに顔を赤らめるドレーク。
「ふふ。まぁ、旅をしてる間は難しいかなぁ。」
彼を見て笑いながら答える私に、カヤは残念そうにする。
「そうなの、じゃあもう少し後ね。」
ドレークは私の方を向きおずおずと私に問いかける。
「その、鳴海。お、俺と結婚してくれる気があるのか……??」
「え? うん、まぁ、いずれは?」
「そ、そうか! それは良かった!!」
サラッと答えた私に、彼は心底ホッとしたような顔をする。
それを見てクスリと笑う。
カヤとウソップがニヤニヤしながらこっちを見ていたことも知らずに。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ゲッコー諸島を出て数日経った私たちは、今ドーン島を目指している。
ドーン島にあるゴア王国のフーシャ村にはルフィとサンジがいる。
ナミも丁度いま、コノミ諸島のココヤシ村からフーシャ村に遊びに来ているらしい。
そこで三人に会う予定だ。
すぐそこにドーン島があるというのに、しかし今の私たちはトラブルに見舞われていた。
巨大な海王類が私たちの船の横に顔を出したのだ。
私達はすぐさま戦闘に移る。
コビー君が剃で海王類の元へ飛び攻撃する。
ひばりちゃんも狙撃で奴の目を狙っているようだ。
私も役に立たねば。
「これだけ水があれば……水遁・水龍弾の術!」
大量の水龍弾を出して海王類に水の打撃をお見舞いする。
海王類がふらりとよろけ船に近づいたところを、ドレークが脳天に大技を披露した。
「X狩場ー!!」
それが決定打となって、海王類は海へと沈んでいった。
「さすがですね船長!」
「一時はどうなる事かと思ったぜ!」
「忍術も凄かったな! 鳴海さん!」
船員のそれぞれが思い思いのことを話しながら船の舵をドーン島へと再びきる。
島に着いた頃にはもう夕方だった。
その日は突然の海王類との戦闘もあり皆疲れていたので、フーシャ村にあるサンジのレストランで皆で夕食を取ることになった。
今はようやくフーシャ村のサンジのレストランに着き、いざ中へ入ろうとした、その時だった。
「やだ! 鳴海じゃない!!」
声の方を振り返れば、買い物袋を下げたナミがこちらに走り寄って来ているところだった。
「ナミー!!」
私たちは両手を広げ固いハグを交わす。
「ようやく来たのね! 遅かったじゃない!」
「聞いてよ、さっきすんっごい大きい海王類に遭遇しちゃって!」
「そうなの!? 無事で良かったわ! そんなことより中入りなさいよ。」
ナミの美しさに鼻の下を伸ばす船員が多数いることは無視して、彼女の言う通り中に入る。
中は雰囲気の良い音楽がかかっており、たくさんのテーブル席に、カウンター席がいくつか。
そのカウンター席とカウンターの奥に、私は見知った顔を見つける。
「ルフィ! サンジ!」
そう、カウンター席に座っているのはルフィで、その奥でお酒を作っているのはサンジだ。
「鳴海ちゃん!!」
「お〜! 鳴海〜! お前よく来たなぁ!!」
「久しぶり!」
私はドレークの手を引いて彼らの方へ向かう。
「元気にしてたかい?」
優しい笑顔で問いかけるサンジに、笑っていう。
「もちろん!」
「ん? 誰だよソイツ。」
ルフィがドレークを見て首を傾げている。
「元ソードの隊長、ドレーク! ドレークの船に乗せてもらってここまで来たの!」
「久しいな、麦わらの一味。」
私の紹介に、挨拶をするドレーク。
「へぇ! お前良い奴だなぁ!」
「ってルフィ! お前覚えてないのかよ。コイツが海兵時代に、何度か会ってるだろ?」
「そうだっけ?」
ルフィの言葉に信じられないという顔で見るドレーク。
「なっ、覚えてないのか……?」
「ルフィにそんなこと、期待するだけ無駄よ。」
ナミが手を振りながら言う。
そしてニヤリと笑い、私達を見る。
「そんなことより、付き合ってるんだって? アンタ達♡」
「くっっっそぅ、羨ましい奴め……!!!」
エプロンの裾をギリギリと噛み締めるサンジ。
そんな彼らにヘラリと笑ってみれば、ルフィが肉を食べながら言う。
「なんだ、お前ら好きあってんのか?」
そして口に含んだその肉を飲み込むと、とんでもないことを言い出した。
「でも良いのかよ。鳴海はガサツだし怪力だし食べ方汚ねぇし、怒ると怖ぇぞ?」
「テメェ、レディに何失礼なこと言ってんだ!!」
「余計なことを言うな!!! このバカ船長!!!」
サンジと私の覇気を纏った鉄拳がルフィの顔を襲った。
「ご、ごべんばはい……。」
一瞬で顔の腫れ上がったルフィの出来上がりだ。
それを見て笑いながらドレークが言う。
「ははは、あぁ、知っている。鳴海が思ったより大胆なことも、強い女性だということも、美味そうに飯を食べることも、何なら部屋が生活感溢れることも知ってるさ。あぁ、怒ると怖いのは知らなかったがな。」
「うわぁ、"物は言いよう"とはこのことね。ルフィとは大違いだわ。」
ナミが呆れたように言う。
「なっ!! テメェ鳴海ちゃんの部屋に入ったのか!? 何ってヤツだ!! 3枚におろされてぇのか!?」
「付き合ってんだから、それくらい当たり前でしょ。」
威嚇するサンジをたしなめるようにナミが言う。
「そんなぁ、ナミさぁ〜ん。」
その後私たちはほぼ貸し切り状態で料理とお酒を楽しみ、船に帰ろうとした時だった。
「あぁ〜〜〜鳴海ちゃん〜。いつまでも美しい君に、ずっとここにいて欲しいよ。ルフィのバカもついてるが、飯なら毎食俺が作るし、掃除だって得意なの知ってるだろう? このままここで暮らそう〜〜〜。」
サンジにいつものノリで引き止められる。
「ははは、良いね。考えとくよ、サンジ。」
私はそれに適当にノリで返す。
「本当かい!?!? あぁ〜〜〜嬉しいな〜〜〜♡」
それを聞いていたドレークが焦っていることも知らずに。
ーーーーーーーーーーーーーーー
船に戻って、私が女子部屋へ行こうとしたら、ドレークに引き止められる。
「鳴海、少し、いいだろうか。」
「ん? どうしたの?」
「君の時間が許すなら、船長室で話がしたい。」
思い詰めた様子のドレークに私は少し心配になる。
「もちろん、いいよ。」
2人で船長室へ向かう。
その途中、ドレークから私に話しかけてくることはなかった。
どこか"心ここに在らず"の状態だ。
部屋に入ると、いつもの定位置のテーブルに行こうとする私をドレークが大きな体でそれを遮った。
私は扉とドレークに挟まれる。
「どうしたの?」
いつもより少し近い距離感に戸惑いを覚える。
ドレークは眉をグッと寄せて私に問いかける。
「レストランで、黒足に引き止められていただろう。その……本気で、あそこに残るつもりがあるのか……?」
「えっ?」
予想外の質問に私はすっとんきょうな声を出す。
しかしそんな事を気にも止めずに、ドレークは私を抱きしめた。
私は驚きで声も出ない。
だって、あの恥ずかしがり屋さんのドレークが、だ。
彼は私に覆い被さるようにきつく抱きしめると、絞り出すような声で私に言う。
「どこにも行かないでくれ。……君を……愛して、いるんだ。誰のところにも行かないで欲しい。」
その言葉にまたしても驚く。
しかし私はなんとか返事をする。
「い、行かないよ。どこにも! サンジにあぁ言ったのは、冗談だよ!」
「……本当か?」
ドレークは少し体を離して私の顔を覗き込みながら聞く。
「本当だよ! サンジとはいつもあんな感じで、適当に返しただけなの! 不安にさせたなら謝る、ごめんね。」
「そう、だったのか。」
彼は酷く安心したように、再び私を抱きしめた。
今度は優しく、壊れ物を扱うように。
私もドレークの広い背中に腕を回す。
「すまない。年甲斐もなく、焦ってしまった。君が船を降りるかもと思ったら、居ても立っても居られなかった。」
「大丈夫だよ、船は降りない。ドレーク達が良いなら。」
「もちろんだ。ずっとここに居てくれ。俺の側に。」
「うん。そのつもりだよ。」
何分そうしていただろうか。
長い間抱きしめあった私達は、その日、船長室の同じベッドでくっついて眠るのだった。
シロップ村に住むウソップとカヤに会う為だ。
ーー余談だが、2人はいま結婚して一緒に住んでいるらしい。ーー
シロップ村をカヤの家の方へ歩いていれば、前からウソップが走ってくるのが見えた。
「おーい!! 鳴海ー!!!」
「あっ! ウソップー!!」
私たちはお互いに向かって全力疾走し、抱きつくーー予定だった。
しかし突如私の腕が後ろから引かれて、ウソップは勢いのままに地面とハグをしている。
「簡単に男に抱きつくな!」
そう言いながら、私の腕を引いたのはドレーク。
「何すんだテメェ!」
ウソップはドレークに向かって怒っているが、ドレークの一睨みで萎縮し私の後ろへ隠れる。
そして話を逸らす。
「い、いやぁ、それにしても。お前が彼氏連れてくるって聞いた時は何の冗談かとーー」
「うん、彼氏♡」
そう言って私はドレークに身を寄せて、その太い腕に腕に自分のそれを絡ませる。
ーー若干ドレークが固まったのには素知らぬふりをしておいた。ーー
それを見たウソップのツッコミが炸裂する。
「ーーって本当に彼氏かよ!!! 驚きだよ!!!」
「そんなに驚く?」
「だってよぉ、あのガサツなお前がなぁ。俺ぁ感慨深いぜ……。」
「ガサツは余計!」
ウソップの頭にパンチを一つお見舞いしておく。
「行こう、ドレーク。」
「あ、あぁ。」
そう言ってウソップを残してカヤの家へ向かう私達。
「いや案内するの俺なんだが!?」
ウソップが走って私の前へ出た。
それにクスリと笑い、私達は久しぶりの再会に会話を弾ませながら目的地へ歩いた。
その後、カヤとウソップの家に着いた私達は食事をご馳走になった。
夕食を食べながら、カヤは私達に興味津々だ。
「それで、馴れ初めはどんななの?」
彼女はニコニコしながら私たちについて聞いてくる。
「馴れ初めかぁ。何だろう? ドレーク。」
私がフォークを置いてドレークを見れば、彼も腕組みして考えだした。
「やはりアレじゃないか。俺がソードとして…ーー」
「えー!? もっと後でしょー!?」
ドレークの声を遮る私。
「そ、そうか? じゃああの時だ。怪我している君をーー」
「もっと後!」
再び遮れば、少しムッとした顔のドレークが私に問いかける。
「……じゃあ鳴海から見た俺たちの馴れ初めはいつなんだ。」
「うーん。そりゃあやっぱり、私の住んでる島に来て偶然再開した時でしょ。」
「なっ! つい最近じゃないか!! 俺はもっと前から君と親しいつもりだったぞ!!」
彼は心外だとでも言うふうに私を見た。
「けど親しいって言っても、お互い海兵と海賊だったじゃん?」
「それは、そうだが……! ……はぁ、まぁいい。じゃあ、馴れ初めはそう言うことにしておこう。」
ため息混じりに言う彼は未だ不服そうにしている。
するとカヤが思い出したようにやや大きな声を出す。
「そうよね! 大事な事を聞くのを忘れてたわ! いったいどうやって海賊と海兵さんが知り合ったの!?」
「いやそれ、大事な事か?」
ウソップが呆れ顔でカヤを見ている。
「知り合ったのは、ワノ国で彼女が俺の秘密を握ったことがきっかけだ。」
「そう。ドレークが諜報活動として海賊してるのを知ったのがきっかけなの。」
ドレークと私の言葉に、カヤは頬を赤らめた。
「きゃ! じゃあとってもドキドキするわね!」
「ドキドキ……?」
よく分からない私だったが、ドレークは頷いていた。
「まぁ、俺は確かに焦ったな。その後戦いの末に鳴海に傷の手当てをしてもらったことで、彼女を少し信用したんだ。」
「そこから2人の恋が始まったのね! ロマンチックだわ!」
「え、そうか?」
またしてもやや呆れ顔のウソップと、よくわからない顔の私。
「2人は結婚はいつする予定なの??」
「な、結婚……!?」
カヤの問いかけに顔を赤らめるドレーク。
「ふふ。まぁ、旅をしてる間は難しいかなぁ。」
彼を見て笑いながら答える私に、カヤは残念そうにする。
「そうなの、じゃあもう少し後ね。」
ドレークは私の方を向きおずおずと私に問いかける。
「その、鳴海。お、俺と結婚してくれる気があるのか……??」
「え? うん、まぁ、いずれは?」
「そ、そうか! それは良かった!!」
サラッと答えた私に、彼は心底ホッとしたような顔をする。
それを見てクスリと笑う。
カヤとウソップがニヤニヤしながらこっちを見ていたことも知らずに。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ゲッコー諸島を出て数日経った私たちは、今ドーン島を目指している。
ドーン島にあるゴア王国のフーシャ村にはルフィとサンジがいる。
ナミも丁度いま、コノミ諸島のココヤシ村からフーシャ村に遊びに来ているらしい。
そこで三人に会う予定だ。
すぐそこにドーン島があるというのに、しかし今の私たちはトラブルに見舞われていた。
巨大な海王類が私たちの船の横に顔を出したのだ。
私達はすぐさま戦闘に移る。
コビー君が剃で海王類の元へ飛び攻撃する。
ひばりちゃんも狙撃で奴の目を狙っているようだ。
私も役に立たねば。
「これだけ水があれば……水遁・水龍弾の術!」
大量の水龍弾を出して海王類に水の打撃をお見舞いする。
海王類がふらりとよろけ船に近づいたところを、ドレークが脳天に大技を披露した。
「X狩場ー!!」
それが決定打となって、海王類は海へと沈んでいった。
「さすがですね船長!」
「一時はどうなる事かと思ったぜ!」
「忍術も凄かったな! 鳴海さん!」
船員のそれぞれが思い思いのことを話しながら船の舵をドーン島へと再びきる。
島に着いた頃にはもう夕方だった。
その日は突然の海王類との戦闘もあり皆疲れていたので、フーシャ村にあるサンジのレストランで皆で夕食を取ることになった。
今はようやくフーシャ村のサンジのレストランに着き、いざ中へ入ろうとした、その時だった。
「やだ! 鳴海じゃない!!」
声の方を振り返れば、買い物袋を下げたナミがこちらに走り寄って来ているところだった。
「ナミー!!」
私たちは両手を広げ固いハグを交わす。
「ようやく来たのね! 遅かったじゃない!」
「聞いてよ、さっきすんっごい大きい海王類に遭遇しちゃって!」
「そうなの!? 無事で良かったわ! そんなことより中入りなさいよ。」
ナミの美しさに鼻の下を伸ばす船員が多数いることは無視して、彼女の言う通り中に入る。
中は雰囲気の良い音楽がかかっており、たくさんのテーブル席に、カウンター席がいくつか。
そのカウンター席とカウンターの奥に、私は見知った顔を見つける。
「ルフィ! サンジ!」
そう、カウンター席に座っているのはルフィで、その奥でお酒を作っているのはサンジだ。
「鳴海ちゃん!!」
「お〜! 鳴海〜! お前よく来たなぁ!!」
「久しぶり!」
私はドレークの手を引いて彼らの方へ向かう。
「元気にしてたかい?」
優しい笑顔で問いかけるサンジに、笑っていう。
「もちろん!」
「ん? 誰だよソイツ。」
ルフィがドレークを見て首を傾げている。
「元ソードの隊長、ドレーク! ドレークの船に乗せてもらってここまで来たの!」
「久しいな、麦わらの一味。」
私の紹介に、挨拶をするドレーク。
「へぇ! お前良い奴だなぁ!」
「ってルフィ! お前覚えてないのかよ。コイツが海兵時代に、何度か会ってるだろ?」
「そうだっけ?」
ルフィの言葉に信じられないという顔で見るドレーク。
「なっ、覚えてないのか……?」
「ルフィにそんなこと、期待するだけ無駄よ。」
ナミが手を振りながら言う。
そしてニヤリと笑い、私達を見る。
「そんなことより、付き合ってるんだって? アンタ達♡」
「くっっっそぅ、羨ましい奴め……!!!」
エプロンの裾をギリギリと噛み締めるサンジ。
そんな彼らにヘラリと笑ってみれば、ルフィが肉を食べながら言う。
「なんだ、お前ら好きあってんのか?」
そして口に含んだその肉を飲み込むと、とんでもないことを言い出した。
「でも良いのかよ。鳴海はガサツだし怪力だし食べ方汚ねぇし、怒ると怖ぇぞ?」
「テメェ、レディに何失礼なこと言ってんだ!!」
「余計なことを言うな!!! このバカ船長!!!」
サンジと私の覇気を纏った鉄拳がルフィの顔を襲った。
「ご、ごべんばはい……。」
一瞬で顔の腫れ上がったルフィの出来上がりだ。
それを見て笑いながらドレークが言う。
「ははは、あぁ、知っている。鳴海が思ったより大胆なことも、強い女性だということも、美味そうに飯を食べることも、何なら部屋が生活感溢れることも知ってるさ。あぁ、怒ると怖いのは知らなかったがな。」
「うわぁ、"物は言いよう"とはこのことね。ルフィとは大違いだわ。」
ナミが呆れたように言う。
「なっ!! テメェ鳴海ちゃんの部屋に入ったのか!? 何ってヤツだ!! 3枚におろされてぇのか!?」
「付き合ってんだから、それくらい当たり前でしょ。」
威嚇するサンジをたしなめるようにナミが言う。
「そんなぁ、ナミさぁ〜ん。」
その後私たちはほぼ貸し切り状態で料理とお酒を楽しみ、船に帰ろうとした時だった。
「あぁ〜〜〜鳴海ちゃん〜。いつまでも美しい君に、ずっとここにいて欲しいよ。ルフィのバカもついてるが、飯なら毎食俺が作るし、掃除だって得意なの知ってるだろう? このままここで暮らそう〜〜〜。」
サンジにいつものノリで引き止められる。
「ははは、良いね。考えとくよ、サンジ。」
私はそれに適当にノリで返す。
「本当かい!?!? あぁ〜〜〜嬉しいな〜〜〜♡」
それを聞いていたドレークが焦っていることも知らずに。
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船に戻って、私が女子部屋へ行こうとしたら、ドレークに引き止められる。
「鳴海、少し、いいだろうか。」
「ん? どうしたの?」
「君の時間が許すなら、船長室で話がしたい。」
思い詰めた様子のドレークに私は少し心配になる。
「もちろん、いいよ。」
2人で船長室へ向かう。
その途中、ドレークから私に話しかけてくることはなかった。
どこか"心ここに在らず"の状態だ。
部屋に入ると、いつもの定位置のテーブルに行こうとする私をドレークが大きな体でそれを遮った。
私は扉とドレークに挟まれる。
「どうしたの?」
いつもより少し近い距離感に戸惑いを覚える。
ドレークは眉をグッと寄せて私に問いかける。
「レストランで、黒足に引き止められていただろう。その……本気で、あそこに残るつもりがあるのか……?」
「えっ?」
予想外の質問に私はすっとんきょうな声を出す。
しかしそんな事を気にも止めずに、ドレークは私を抱きしめた。
私は驚きで声も出ない。
だって、あの恥ずかしがり屋さんのドレークが、だ。
彼は私に覆い被さるようにきつく抱きしめると、絞り出すような声で私に言う。
「どこにも行かないでくれ。……君を……愛して、いるんだ。誰のところにも行かないで欲しい。」
その言葉にまたしても驚く。
しかし私はなんとか返事をする。
「い、行かないよ。どこにも! サンジにあぁ言ったのは、冗談だよ!」
「……本当か?」
ドレークは少し体を離して私の顔を覗き込みながら聞く。
「本当だよ! サンジとはいつもあんな感じで、適当に返しただけなの! 不安にさせたなら謝る、ごめんね。」
「そう、だったのか。」
彼は酷く安心したように、再び私を抱きしめた。
今度は優しく、壊れ物を扱うように。
私もドレークの広い背中に腕を回す。
「すまない。年甲斐もなく、焦ってしまった。君が船を降りるかもと思ったら、居ても立っても居られなかった。」
「大丈夫だよ、船は降りない。ドレーク達が良いなら。」
「もちろんだ。ずっとここに居てくれ。俺の側に。」
「うん。そのつもりだよ。」
何分そうしていただろうか。
長い間抱きしめあった私達は、その日、船長室の同じベッドでくっついて眠るのだった。