生き残りの私達
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飛び六胞姉弟を何とか倒した私は、城内を走ってさっきの黒ずくめの大看板を探していた。
「(もしかしたらまだライブフロアにいるかもしれない。アイツが何者か確かめないと!)」
そう思いながら、ライブフロアへ戻る。
だいぶフロアに近づいてきたと思いながら通路を走っていると、よく知る影が見えてきた。
「フランキー!?」
「おう鳴海! 傷だらけだが、無事か!?」
「大丈夫! それよりさっき私に話しかけた黒ずくめの大看板見なかった!?」
「んん? アイツならゾロと戦いながら外へ出てったぜ。そこの穴からな。」
そう言って彼が指差す壁には確かに大きな穴が開いている。
「そう、ありがとう!」
「おいおい、待て待て!」
穴から飛び立とうとする私をフランキーが止める。
後ろからガシッと腕を掴まれてフランキーに向き直らされる。
「お前ぇ、まさかアイツの言ったことにのるわけじゃねぇよな!?」
それはつまり、カイドウの仲間になるということ。
「……まさか。カイドウの仲間になんて、ならない。だけど、どうしても確認しておきたいことがあるの。」
そう言いながら私は拳を握りしめる。
「……そういう事なら、まぁ、良いが。」
彼は釈然としない顔で私から手を離した。
「ありがとう、フランキー。行ってくる。」
今度こそ私は壁の穴から飛び立つのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
外に出てみるが近くに2人の姿は見当たらない。
しかし上空に高く飛んでみれば、穴から離れた所にゾロと黒ずくめの男が立っているのが見えた。
男はどうやらマスクを脱いだようで、ウェーブがかった白髪が靡いているのが見える。
それに私はドキリとする。
しかしまだ顔を確認したわけじゃない。
まだ、アルベルと確定したわけでは、ない。
私はゾロの方へ勢いよく降下していく。
「ゾロ!」
「鳴海!? オメェなんでこんな所に!」
「ちょっと、確認したいことがあって。」
「そんな事より仕事しろよ!」
私に噛みつきそうな勢いで怒鳴るゾロ。
「もうしてきた、飛び六胞姉弟を2人やっつけたからチャラにしてよ。」
「ほう、ウルティとページワンをやったのか。流石だな、鳴海。」
声のした方をゆっくりと見る。
そこには信じたくなかった光景があった。
あぁ、やっぱりか。
眼前には、岩の上に立って私に微笑みかけるアルベルがいた。
「………知りたくなかったよ。ずっと探してたアンタ……アルベルが、まさかここの大看板だったなんて。」
「……! ……何!?」
ゾロが驚きの声を上げる。
仲間には全員に、私が探している人がいる事と、その名前までは知らせてあった。
ゾロもその名前を覚えていたのだろう。
「随分と大きくなったし、老けたじゃない?」
悲しみを紛らわすようにクスリと笑って言う。
「お前は昔と変わらんな。相変わらず綺麗だ。」
そう言って昔のように私に微笑むアルベル。
「やめて。今は敵同士なの、私達。」
私はそう言って彼を睨む。
「関係ねぇさ。俺がそいつを倒し、カイドウさんも麦わら達を倒す。そしてお前は俺と一緒にくる。それだけだ。」
「……無理な話だよ。もう、今のアンタとは一緒に居られない。」
私は俯いて言う。
「仲間がいるから? ならば俺が皆殺しにしてやろう。そうればこちらにくる気になるか?」
その言葉に胸がチクリと痛んだ。
昔はそんな事を言う子じゃなかったはずだ。
それとも私がアンタの本質を知らなかっただけ?
今のアンタは、しのぶちゃんを掴んで投げ飛ばし、モモ君を蹴り殺そうとする男。
私はそんな人に惚れたんじゃない。
私がずっと俯いていると、ゾロが私を庇うように前へ出た。
「おい、しつけぇ男は嫌われるぜ?」
いつものニヤリとした顔で挑発しているのだろう。
「おい。俺はこいつを斬るが、良いな?」
ゾロが私に確認を求めている。
私はそれに、無言で頷いた。
「この戦い、見届けさせて。」
「………。いいぜ、離れてろ。」
言われた通り、私はその場から少し離れた場所に移動した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「なってやろうじゃねぇか。地獄の王に。」
勝者はゾロだった。
決してそれにガッカリはしていない。
ただ、少し悲しかった。
アルベルは鬼ヶ島から落ちて行っている。
私はゾロに近づき言う。
「すぐ戻ってくるから、少しだけ、話してきていい?」
「………あぁ、行ってこい。」
「ありがとう。」
私は言いながら翼を広げて空へと降りた。
急降下しながら落ちていくアルベルを追う。
何とか彼の服を掴んで、鬼ヶ島の上まで飛行する。ドクロドームの中腹あたりにある岩が突出した面に着地し、アルベルを寝かせた。
岩を背もたれにさせて少しだけ状態を起こしてやる。
私の倍近く身長のある大男だ。
ここまで運ぶのも大変だった。
「ほんと、大きくなっちゃって。昔はそう身長も変わらなかったのに。」
独り言で呟いたはずの言葉に、返事が返ってくる。
「俺は男だからな。あの後、成長期が来たんだよ。」
その言葉にクスリと笑いながら、私は彼の横に腰を下ろす。
確かに、別れた時の彼はまだ15歳だった。
昔に思いを馳せていれば、横から大きな手がガシリと私の腕を掴んだ。
「俺と来い、鳴海! 俺は負けちまったが、カイドウさんは負けねぇ! だから、このまま俺と此処で過ごそう。」
「それは、できないよ。勝つのはルフィだもん。」
「何故あんな小僧に肩入れする……! どう考えても勝つのはカイドウさんだ。」
「ルフィはね、信じさせてくれるの。あの頃のアルみたいに。」
「何?」
アルベルは顔を顰めた。
「それに、カイドウのやり方は間違ってる。あんなやり方じゃあ、搾取される人が増えるだけ。昔の私たちみたいに、苦しむ人が増えるの! そんなやり方しかしないカイドウも、それを見て見ぬ振りしてきたアルも、私は許せない。」
「……!!」
私の言葉に、彼の目が見開かれた。
そして私を掴んでいた腕を離し、自嘲ぎみに笑った。
「……俺が、お前を照らす太陽の筈だったのにな……。いつから変わっちまったんだ……今の俺には、お前の方がずっと眩しく見える。」
「……私、太陽を克服したの。アルが居なくても、もう私は大丈夫。だから、これからはアルと一緒には歩けない。」
震える声を隠せないまま、私は彼に別れを告げる。
「さよなら、アルベル。」
涙が溢れる前にここを離れよう。
そう思って立ちあがろうとした瞬間、再び腕を掴まれて引き寄せられる。
そして頭に手を回されたと思ったら、私達はいつかのようにキスをしていた。
押し付けるだけの、優しいキス。
ついに私の瞳から涙がこぼれ落ちた。
唇が離れると、アルベルは至近距離で囁いた。
「泣くくらいなら、ここに居ろよ。」
「馬鹿、傷にさわるよ。」
「関係ねぇよ。」
その言葉を合図に、どちらからもとなく深いキスをする。
それは角度を変えてさらに深くなる。
何分そうしていただろう。
手を繋ぎながら、何度もキスを繰り返し、ついに2人の唇が糸を引いて別れた。
「これで本当に、最後。」
私は子供のような触れるだけのキスをする。
そして名残惜しく唇を離して見つめ合った。
「大好きだよ。アルベル。」
「俺のことが許せないんじゃなかったか。」
彼は切なそうに眉を寄せて言った。
「どっちも本心。」
涙を流しながら笑う私の頬をアルベルが撫ぜる。
「フッ……そうか。」
「……じゃあ、もう行くね。」
アルベルはそれに答えることはなかった。
握られている手がスルリと彼の手の中から抜け出る。
そして今度こそ私は振り返ることなく飛び立つのだった。
「(もしかしたらまだライブフロアにいるかもしれない。アイツが何者か確かめないと!)」
そう思いながら、ライブフロアへ戻る。
だいぶフロアに近づいてきたと思いながら通路を走っていると、よく知る影が見えてきた。
「フランキー!?」
「おう鳴海! 傷だらけだが、無事か!?」
「大丈夫! それよりさっき私に話しかけた黒ずくめの大看板見なかった!?」
「んん? アイツならゾロと戦いながら外へ出てったぜ。そこの穴からな。」
そう言って彼が指差す壁には確かに大きな穴が開いている。
「そう、ありがとう!」
「おいおい、待て待て!」
穴から飛び立とうとする私をフランキーが止める。
後ろからガシッと腕を掴まれてフランキーに向き直らされる。
「お前ぇ、まさかアイツの言ったことにのるわけじゃねぇよな!?」
それはつまり、カイドウの仲間になるということ。
「……まさか。カイドウの仲間になんて、ならない。だけど、どうしても確認しておきたいことがあるの。」
そう言いながら私は拳を握りしめる。
「……そういう事なら、まぁ、良いが。」
彼は釈然としない顔で私から手を離した。
「ありがとう、フランキー。行ってくる。」
今度こそ私は壁の穴から飛び立つのだった。
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外に出てみるが近くに2人の姿は見当たらない。
しかし上空に高く飛んでみれば、穴から離れた所にゾロと黒ずくめの男が立っているのが見えた。
男はどうやらマスクを脱いだようで、ウェーブがかった白髪が靡いているのが見える。
それに私はドキリとする。
しかしまだ顔を確認したわけじゃない。
まだ、アルベルと確定したわけでは、ない。
私はゾロの方へ勢いよく降下していく。
「ゾロ!」
「鳴海!? オメェなんでこんな所に!」
「ちょっと、確認したいことがあって。」
「そんな事より仕事しろよ!」
私に噛みつきそうな勢いで怒鳴るゾロ。
「もうしてきた、飛び六胞姉弟を2人やっつけたからチャラにしてよ。」
「ほう、ウルティとページワンをやったのか。流石だな、鳴海。」
声のした方をゆっくりと見る。
そこには信じたくなかった光景があった。
あぁ、やっぱりか。
眼前には、岩の上に立って私に微笑みかけるアルベルがいた。
「………知りたくなかったよ。ずっと探してたアンタ……アルベルが、まさかここの大看板だったなんて。」
「……! ……何!?」
ゾロが驚きの声を上げる。
仲間には全員に、私が探している人がいる事と、その名前までは知らせてあった。
ゾロもその名前を覚えていたのだろう。
「随分と大きくなったし、老けたじゃない?」
悲しみを紛らわすようにクスリと笑って言う。
「お前は昔と変わらんな。相変わらず綺麗だ。」
そう言って昔のように私に微笑むアルベル。
「やめて。今は敵同士なの、私達。」
私はそう言って彼を睨む。
「関係ねぇさ。俺がそいつを倒し、カイドウさんも麦わら達を倒す。そしてお前は俺と一緒にくる。それだけだ。」
「……無理な話だよ。もう、今のアンタとは一緒に居られない。」
私は俯いて言う。
「仲間がいるから? ならば俺が皆殺しにしてやろう。そうればこちらにくる気になるか?」
その言葉に胸がチクリと痛んだ。
昔はそんな事を言う子じゃなかったはずだ。
それとも私がアンタの本質を知らなかっただけ?
今のアンタは、しのぶちゃんを掴んで投げ飛ばし、モモ君を蹴り殺そうとする男。
私はそんな人に惚れたんじゃない。
私がずっと俯いていると、ゾロが私を庇うように前へ出た。
「おい、しつけぇ男は嫌われるぜ?」
いつものニヤリとした顔で挑発しているのだろう。
「おい。俺はこいつを斬るが、良いな?」
ゾロが私に確認を求めている。
私はそれに、無言で頷いた。
「この戦い、見届けさせて。」
「………。いいぜ、離れてろ。」
言われた通り、私はその場から少し離れた場所に移動した。
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「なってやろうじゃねぇか。地獄の王に。」
勝者はゾロだった。
決してそれにガッカリはしていない。
ただ、少し悲しかった。
アルベルは鬼ヶ島から落ちて行っている。
私はゾロに近づき言う。
「すぐ戻ってくるから、少しだけ、話してきていい?」
「………あぁ、行ってこい。」
「ありがとう。」
私は言いながら翼を広げて空へと降りた。
急降下しながら落ちていくアルベルを追う。
何とか彼の服を掴んで、鬼ヶ島の上まで飛行する。ドクロドームの中腹あたりにある岩が突出した面に着地し、アルベルを寝かせた。
岩を背もたれにさせて少しだけ状態を起こしてやる。
私の倍近く身長のある大男だ。
ここまで運ぶのも大変だった。
「ほんと、大きくなっちゃって。昔はそう身長も変わらなかったのに。」
独り言で呟いたはずの言葉に、返事が返ってくる。
「俺は男だからな。あの後、成長期が来たんだよ。」
その言葉にクスリと笑いながら、私は彼の横に腰を下ろす。
確かに、別れた時の彼はまだ15歳だった。
昔に思いを馳せていれば、横から大きな手がガシリと私の腕を掴んだ。
「俺と来い、鳴海! 俺は負けちまったが、カイドウさんは負けねぇ! だから、このまま俺と此処で過ごそう。」
「それは、できないよ。勝つのはルフィだもん。」
「何故あんな小僧に肩入れする……! どう考えても勝つのはカイドウさんだ。」
「ルフィはね、信じさせてくれるの。あの頃のアルみたいに。」
「何?」
アルベルは顔を顰めた。
「それに、カイドウのやり方は間違ってる。あんなやり方じゃあ、搾取される人が増えるだけ。昔の私たちみたいに、苦しむ人が増えるの! そんなやり方しかしないカイドウも、それを見て見ぬ振りしてきたアルも、私は許せない。」
「……!!」
私の言葉に、彼の目が見開かれた。
そして私を掴んでいた腕を離し、自嘲ぎみに笑った。
「……俺が、お前を照らす太陽の筈だったのにな……。いつから変わっちまったんだ……今の俺には、お前の方がずっと眩しく見える。」
「……私、太陽を克服したの。アルが居なくても、もう私は大丈夫。だから、これからはアルと一緒には歩けない。」
震える声を隠せないまま、私は彼に別れを告げる。
「さよなら、アルベル。」
涙が溢れる前にここを離れよう。
そう思って立ちあがろうとした瞬間、再び腕を掴まれて引き寄せられる。
そして頭に手を回されたと思ったら、私達はいつかのようにキスをしていた。
押し付けるだけの、優しいキス。
ついに私の瞳から涙がこぼれ落ちた。
唇が離れると、アルベルは至近距離で囁いた。
「泣くくらいなら、ここに居ろよ。」
「馬鹿、傷にさわるよ。」
「関係ねぇよ。」
その言葉を合図に、どちらからもとなく深いキスをする。
それは角度を変えてさらに深くなる。
何分そうしていただろう。
手を繋ぎながら、何度もキスを繰り返し、ついに2人の唇が糸を引いて別れた。
「これで本当に、最後。」
私は子供のような触れるだけのキスをする。
そして名残惜しく唇を離して見つめ合った。
「大好きだよ。アルベル。」
「俺のことが許せないんじゃなかったか。」
彼は切なそうに眉を寄せて言った。
「どっちも本心。」
涙を流しながら笑う私の頬をアルベルが撫ぜる。
「フッ……そうか。」
「……じゃあ、もう行くね。」
アルベルはそれに答えることはなかった。
握られている手がスルリと彼の手の中から抜け出る。
そして今度こそ私は振り返ることなく飛び立つのだった。