生き残りの私達
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ある日のこと。
いつものようにアルベルの部屋で話をしていた時。
私は彼を眺めてポツリと呟く。
「アルは良いね…。」
「何がだ?」
彼は不思議そうにこちらを向く。
「その背中の炎。明るくてポカポカしてて、太陽みたい。私は闇の中でしか生きられない種族だから、羨ましい。」
そう言うと、彼は少しだけ考える素振りをして、私に言う。
「なら、俺がお前の太陽になってやるよ。いつでもどこでも、お前のいる場所を俺の炎で照らしてやる。ずっと俺がお前の隣を歩いてやる。それなら良いだろ?」
「……何それ。すっごい嬉しい!」
私は思わず満面の笑みを浮かべた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから3年。私は18歳。アルベルは15歳になって、私よりも背が高くなった。
私は今、そんなアルベルに押し倒されている。
何でこんな事になったのか。
時は少し前に遡る。
私が1日2回の食事を取っている時だった。
アルベルが部屋にやってきたのだ。
開口一番、彼は私の食事を見てこう言った。
「……俺、今日の飯なぜか少なかったんだよな。」
「そうなの?」
私は最後に残った少しのパンを小さくちぎって食べている。
「そのパン、一口くれよ。」
「えー、やだ。」
「んなっ! 良いだろ一口くらい!」
即答した私にクワっと顔を怖くさせて言うアルベル。
「寄越せ!」
なんと彼は私のパンを奪おうとしてきた。
「あっははは、嫌ったら嫌だー!」
面白半分で私はアルベルの手から逃げる。
そうやって戯れあっていたら、私が何もない場所でつまづいたのだ。
「わっ!」
「のわ!」
仰向けで倒れた私。
そして私の足につまづいたアルベルが私に覆い被さる。
一歩間違えたらキスしていまいそうな距離感だ。
「「……。」」
思わず私たちは沈黙した。
気まずくなった私は目を逸らす。
しかしアルベルはなかなか私の上からどかない。
「なぁ。しても、良いか?」
「へっ!?」
上擦った声が上がる。心臓の音がうるさい。
自分の顔に熱が集中しているのが分かった。
チラリとアルベルを見れば、彼も少しだけ頬と耳が赤い。
その表情に私は全てを察した。
彼も私と同じ気持ちなんだ。
私達、きっと想い合っている。
「いいよ。」
「!」
私の言葉に、アルベルはピクリと反応すると、ゆっくりと私の唇に自身のそれを押し当てた。
彼は夢我夢中で、何度も何度も角度を変えて押し付けるだけのキスをする。
私は一旦彼の胸に手を置き待ったをかける。
すると見るからに物足りなさそうに不満気な顔をしたアルベルと目が合う。
私はいたずらっぽく笑って、囁くように言った。
「ねぇ、知ってる? 大人はこの後、舌を絡ませ合うキスをするんだって。」
「こうか?」
そう言うと、アルベルは私の口の中に舌を捩じ込んできた。
「んむっ……!」
そうして私達は、何十分もキスを繰り返した。
「……はぁ。」
「……っはぁ。」
どちらの物とも分からない吐息が混ざり合う。
私は下腹部が熱く疼くのを感じていた。
「アル……これ以上は……もう…。」
そう言う私に彼はニヤリと笑って言った。
「何だよ、もっと出来んだろ?」
言いながら再び口づけようとしてくる彼を私は止める。
「もうダメだってば!」
「あん? 何でだよ。」
「何でって……。」
我慢できなくなるから、なんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。
「と、とにかく、ダメなものはダメ!」
「ちぇ。」
アルベルは不満そうに私の隣にドカリと腰を下ろした。
その日から、私たちは会う度にキスをするようになるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
その日、私たちの運命を決める出来事が起こった。
研究所のどこかで爆発が起こったのだ。
どうやら侵入者か何かの仕業らしい。
私はたまたま実験のない時間帯で、アルベルの実験が終わるのを待っている時だった。
研究所内は混乱を極めていた。
私は人気がなくなったのを確認して自室から出ると、すぐさまアルベルの実験施設へ走った。
今日は炎の耐久実験だと言っていたはずだ。
そこへ向かって全速力で走る。
目当ての場所に着いたとき、アルベルは炎が燃え盛る機械の中に置き去りにされていた。
私はパネルを弄り中の炎を止めて、機械の扉の"open"ボタンを押した。
ガシャンという、音とともにアルベルが機械の中からでてくる。
「鳴海!? お前、何でこんなとこに……!?」
「誰かが侵入したみたい! 今ここはパニック状態! 脱出するなら今だよ!」
私は言いながら、アルベルの拘束具を腕力だけで無理やり引きちぎる。
火事場の馬鹿力というやつだろう。
「侵入者!? 一体誰が!?」
「知らない! 行こう、アル!」
私はアルベルの手を取って走りだす。
すると後方から研究員達の声がする。
「おい! 実験体が逃げるぞ!」
「撃て、撃て! どうせ簡単には死なん!」
その言葉を聞き私は彼を前方に投げ飛ばしアルベルに覆い被さる。
「おい! バカ、やめろ!!」
パァン、パァン、パァン
何度も銃声が鳴り響く。
鉛玉を喰らったのは私だけだ。
私の背中や脇腹から血がドクドクと流れ落ちる。
「くそぉぉお!!!」
怒ったアルベルが3人の研究員達に飛び掛かる。
その間、私は動けないでいた。
彼は研究員達3人を1人で倒し、私の元に駆け寄った。
「おい、大丈夫か!? なんで俺なんか庇ったんだ! 俺はあれぐらい平気だ!!」
「体が勝手に……動いてて…。」
ゴプリと口から吐血する。
今の私ではアルベルのお荷物だ。
「アル……先に行って。」
「お前を置いて行くわけないだろ!?」
彼は私を支えて歩こうとしてくれている。
しかし天井の崩れる音を私は聞き逃さなかった。
私は彼を突き飛ばす。
「……! ……鳴海!!」
ーーガラガラガラガラーー
私とアルベルの間には瓦礫の山が出来てしまった。
もう一緒に行動は出来ないだろう。
でもアルベルならこの道をまっすぐ行けば出口に出られるはず。
私は遠回りしてこの施設から逃げ出そう。
そう考えていると、瓦礫の向こうからアルベルの声が聞こえた。
「鳴海! 聞こえるか!? 今そっちに行く!!」
「アル! そのまま行けば出口だから! 私のことは良いから逃げて!」
「ふざけんな! 俺だけ逃げられるか!!」
「私も違う出口から逃げる! 絶対大丈夫だから!」
私の言葉に、アルベルは黙り込む。
どうするべきか考えているのだろう。
「私ならそこに倒れてる研究員さんの血を貰えば大丈夫。怪我も治るし逃げ出して見せるから!一旦別行動しよう!」
「……一旦別れたら、この混乱の中じゃあ、もう、お前を見つけられねぇかもしれねぇ!!」
アルベルは苦しそうに叫ぶ。
「そうかもね……。」
私は脇腹の傷を押さえながら、再び話出す。
「アルベル……ここからずっと、遠くに行けば……私たちみたいな希少種にも、普通に接してくれる人達にきっと会える……! だから、それまで生き延びて、いつかまた、絶対会おうねっ……!」
「……約束だぞっ……お前っ……! 絶対生き延びろよ!! 必ず迎えに行くからな!!」
「うん…!待ってる!」
私の瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちた。
いつものようにアルベルの部屋で話をしていた時。
私は彼を眺めてポツリと呟く。
「アルは良いね…。」
「何がだ?」
彼は不思議そうにこちらを向く。
「その背中の炎。明るくてポカポカしてて、太陽みたい。私は闇の中でしか生きられない種族だから、羨ましい。」
そう言うと、彼は少しだけ考える素振りをして、私に言う。
「なら、俺がお前の太陽になってやるよ。いつでもどこでも、お前のいる場所を俺の炎で照らしてやる。ずっと俺がお前の隣を歩いてやる。それなら良いだろ?」
「……何それ。すっごい嬉しい!」
私は思わず満面の笑みを浮かべた。
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それから3年。私は18歳。アルベルは15歳になって、私よりも背が高くなった。
私は今、そんなアルベルに押し倒されている。
何でこんな事になったのか。
時は少し前に遡る。
私が1日2回の食事を取っている時だった。
アルベルが部屋にやってきたのだ。
開口一番、彼は私の食事を見てこう言った。
「……俺、今日の飯なぜか少なかったんだよな。」
「そうなの?」
私は最後に残った少しのパンを小さくちぎって食べている。
「そのパン、一口くれよ。」
「えー、やだ。」
「んなっ! 良いだろ一口くらい!」
即答した私にクワっと顔を怖くさせて言うアルベル。
「寄越せ!」
なんと彼は私のパンを奪おうとしてきた。
「あっははは、嫌ったら嫌だー!」
面白半分で私はアルベルの手から逃げる。
そうやって戯れあっていたら、私が何もない場所でつまづいたのだ。
「わっ!」
「のわ!」
仰向けで倒れた私。
そして私の足につまづいたアルベルが私に覆い被さる。
一歩間違えたらキスしていまいそうな距離感だ。
「「……。」」
思わず私たちは沈黙した。
気まずくなった私は目を逸らす。
しかしアルベルはなかなか私の上からどかない。
「なぁ。しても、良いか?」
「へっ!?」
上擦った声が上がる。心臓の音がうるさい。
自分の顔に熱が集中しているのが分かった。
チラリとアルベルを見れば、彼も少しだけ頬と耳が赤い。
その表情に私は全てを察した。
彼も私と同じ気持ちなんだ。
私達、きっと想い合っている。
「いいよ。」
「!」
私の言葉に、アルベルはピクリと反応すると、ゆっくりと私の唇に自身のそれを押し当てた。
彼は夢我夢中で、何度も何度も角度を変えて押し付けるだけのキスをする。
私は一旦彼の胸に手を置き待ったをかける。
すると見るからに物足りなさそうに不満気な顔をしたアルベルと目が合う。
私はいたずらっぽく笑って、囁くように言った。
「ねぇ、知ってる? 大人はこの後、舌を絡ませ合うキスをするんだって。」
「こうか?」
そう言うと、アルベルは私の口の中に舌を捩じ込んできた。
「んむっ……!」
そうして私達は、何十分もキスを繰り返した。
「……はぁ。」
「……っはぁ。」
どちらの物とも分からない吐息が混ざり合う。
私は下腹部が熱く疼くのを感じていた。
「アル……これ以上は……もう…。」
そう言う私に彼はニヤリと笑って言った。
「何だよ、もっと出来んだろ?」
言いながら再び口づけようとしてくる彼を私は止める。
「もうダメだってば!」
「あん? 何でだよ。」
「何でって……。」
我慢できなくなるから、なんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。
「と、とにかく、ダメなものはダメ!」
「ちぇ。」
アルベルは不満そうに私の隣にドカリと腰を下ろした。
その日から、私たちは会う度にキスをするようになるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
その日、私たちの運命を決める出来事が起こった。
研究所のどこかで爆発が起こったのだ。
どうやら侵入者か何かの仕業らしい。
私はたまたま実験のない時間帯で、アルベルの実験が終わるのを待っている時だった。
研究所内は混乱を極めていた。
私は人気がなくなったのを確認して自室から出ると、すぐさまアルベルの実験施設へ走った。
今日は炎の耐久実験だと言っていたはずだ。
そこへ向かって全速力で走る。
目当ての場所に着いたとき、アルベルは炎が燃え盛る機械の中に置き去りにされていた。
私はパネルを弄り中の炎を止めて、機械の扉の"open"ボタンを押した。
ガシャンという、音とともにアルベルが機械の中からでてくる。
「鳴海!? お前、何でこんなとこに……!?」
「誰かが侵入したみたい! 今ここはパニック状態! 脱出するなら今だよ!」
私は言いながら、アルベルの拘束具を腕力だけで無理やり引きちぎる。
火事場の馬鹿力というやつだろう。
「侵入者!? 一体誰が!?」
「知らない! 行こう、アル!」
私はアルベルの手を取って走りだす。
すると後方から研究員達の声がする。
「おい! 実験体が逃げるぞ!」
「撃て、撃て! どうせ簡単には死なん!」
その言葉を聞き私は彼を前方に投げ飛ばしアルベルに覆い被さる。
「おい! バカ、やめろ!!」
パァン、パァン、パァン
何度も銃声が鳴り響く。
鉛玉を喰らったのは私だけだ。
私の背中や脇腹から血がドクドクと流れ落ちる。
「くそぉぉお!!!」
怒ったアルベルが3人の研究員達に飛び掛かる。
その間、私は動けないでいた。
彼は研究員達3人を1人で倒し、私の元に駆け寄った。
「おい、大丈夫か!? なんで俺なんか庇ったんだ! 俺はあれぐらい平気だ!!」
「体が勝手に……動いてて…。」
ゴプリと口から吐血する。
今の私ではアルベルのお荷物だ。
「アル……先に行って。」
「お前を置いて行くわけないだろ!?」
彼は私を支えて歩こうとしてくれている。
しかし天井の崩れる音を私は聞き逃さなかった。
私は彼を突き飛ばす。
「……! ……鳴海!!」
ーーガラガラガラガラーー
私とアルベルの間には瓦礫の山が出来てしまった。
もう一緒に行動は出来ないだろう。
でもアルベルならこの道をまっすぐ行けば出口に出られるはず。
私は遠回りしてこの施設から逃げ出そう。
そう考えていると、瓦礫の向こうからアルベルの声が聞こえた。
「鳴海! 聞こえるか!? 今そっちに行く!!」
「アル! そのまま行けば出口だから! 私のことは良いから逃げて!」
「ふざけんな! 俺だけ逃げられるか!!」
「私も違う出口から逃げる! 絶対大丈夫だから!」
私の言葉に、アルベルは黙り込む。
どうするべきか考えているのだろう。
「私ならそこに倒れてる研究員さんの血を貰えば大丈夫。怪我も治るし逃げ出して見せるから!一旦別行動しよう!」
「……一旦別れたら、この混乱の中じゃあ、もう、お前を見つけられねぇかもしれねぇ!!」
アルベルは苦しそうに叫ぶ。
「そうかもね……。」
私は脇腹の傷を押さえながら、再び話出す。
「アルベル……ここからずっと、遠くに行けば……私たちみたいな希少種にも、普通に接してくれる人達にきっと会える……! だから、それまで生き延びて、いつかまた、絶対会おうねっ……!」
「……約束だぞっ……お前っ……! 絶対生き延びろよ!! 必ず迎えに行くからな!!」
「うん…!待ってる!」
私の瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちた。