夢でも貴方と
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ワシがこちらの世界に来てから2週間が経った。世話になっとる人間の女鳴海は、大した女じゃ。
ワシを初めて見た時から、ワシに嫌悪の表情をひとつたりとも見せんかった。
その上、この世界で行き場のないワシをかくまい、嫌な顔せず自身で働いた金をワシの食費や日用品に使う。
ワシは彼女に大きな恩が出来た。
返しきれんほどの恩じゃ。
夢の中で話しておったときから鳴海のことは気に入っておったが、ここまで来るとそれだけの感情ではいられまい。
どうしたらこの恩返しができるかのう。
そんな事を毎日考えながら過ごしておったら、一つ良い案が浮かんだ。
その日仕事から疲れて帰ってきた鳴海に、その案を話す。
「鳴海、ひとつ提案があるんじゃが。」
脱衣所で部屋着に着替える彼女に、ダイニングから話しかける。
「ん〜? 何?」
「お前さん、仕事で忙しいじゃろ。これから飯はワシが作ろうと思うんじゃが、構わんか?」
「え、本当!? 正直それすっごい助かる!!」
鳴海は脱衣所から顔をひょっこりのぞかせて輝かせる。が、すぐに真顔に戻ってワシに問う。
「あ、でもジンベエこっちの調味料とか分かんないよね?」
「今日教えてはくれんか。あとは簡単なレシピじゃな。」
「了解! そう言う事なら、任せて!」
その後、調味料を説明してくれる鳴海と共に晩飯を作る。
ワシは彼女に貰ったノートに調味料のメモをとった。
晩飯の後はタッチパネル式パソコンなるものの使い方を教えてもらい、その中に簡単なレシピをいくつか保存する。
これでワシも料理が出来るだろう。
家にずっといる間の暇つぶしにもなる。
料理など元の世界ではこれっぽっちも興味がなかったが、新しいチャレンジも悪くはない。
鳴海の喜ぶ顔が楽しみだのう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ワシが料理という慣れんことを初めて1か月半が経った。
調味料などはだいたい覚えたが、いかんせん料理道具が小さい。
それ故に神経を使うので、まだ道具の使い勝手には慣れん。
しかし疲れて帰ってきた鳴海が、ワシの作った飯を口にして顔を綻ばせる様を見るのは気分が良い。
最初は調味料を間違えて、めちゃくちゃな味にしたこともある。
しかしそれでも彼女は一度たりともワシの作った飯を残したりはしなかった。
無理に食べるなと言っても、聞かなんだ。
"せっかくジンベエに作ってもらった料理だから"と、一人前の量をしっかり食べ切ったのだ。
それからというもの流石のワシも思うところあり、調味料の間違いだけには気をつけておる。
彼女はどうやら忙しい身の上らしく、帰りが遅くなることもよくあった。
そういう日ほど、ワシが飯を作るようにしてよかったと心底思うた。
しかしあまりに働き詰めだと感じたある日、鳴海に聞いたことがある。
「朝から晩まで、こんなに働くこともなかろう。もう少し仕事を減らしたらどうじゃ。」
「ううん。私、ちゃんと自立して生きたいの。そのためにはこれくらいの仕事はしなきゃいけない。」
その横顔はどこか暗く、まるで見えない何かに縛られておるようじゃった。
その顔が妙に気になって、その夜は寝られなんだのをよく覚えとる。
彼女のその言葉の意味を知るのは、それから1か月後のことじゃった。
ワシを初めて見た時から、ワシに嫌悪の表情をひとつたりとも見せんかった。
その上、この世界で行き場のないワシをかくまい、嫌な顔せず自身で働いた金をワシの食費や日用品に使う。
ワシは彼女に大きな恩が出来た。
返しきれんほどの恩じゃ。
夢の中で話しておったときから鳴海のことは気に入っておったが、ここまで来るとそれだけの感情ではいられまい。
どうしたらこの恩返しができるかのう。
そんな事を毎日考えながら過ごしておったら、一つ良い案が浮かんだ。
その日仕事から疲れて帰ってきた鳴海に、その案を話す。
「鳴海、ひとつ提案があるんじゃが。」
脱衣所で部屋着に着替える彼女に、ダイニングから話しかける。
「ん〜? 何?」
「お前さん、仕事で忙しいじゃろ。これから飯はワシが作ろうと思うんじゃが、構わんか?」
「え、本当!? 正直それすっごい助かる!!」
鳴海は脱衣所から顔をひょっこりのぞかせて輝かせる。が、すぐに真顔に戻ってワシに問う。
「あ、でもジンベエこっちの調味料とか分かんないよね?」
「今日教えてはくれんか。あとは簡単なレシピじゃな。」
「了解! そう言う事なら、任せて!」
その後、調味料を説明してくれる鳴海と共に晩飯を作る。
ワシは彼女に貰ったノートに調味料のメモをとった。
晩飯の後はタッチパネル式パソコンなるものの使い方を教えてもらい、その中に簡単なレシピをいくつか保存する。
これでワシも料理が出来るだろう。
家にずっといる間の暇つぶしにもなる。
料理など元の世界ではこれっぽっちも興味がなかったが、新しいチャレンジも悪くはない。
鳴海の喜ぶ顔が楽しみだのう。
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ワシが料理という慣れんことを初めて1か月半が経った。
調味料などはだいたい覚えたが、いかんせん料理道具が小さい。
それ故に神経を使うので、まだ道具の使い勝手には慣れん。
しかし疲れて帰ってきた鳴海が、ワシの作った飯を口にして顔を綻ばせる様を見るのは気分が良い。
最初は調味料を間違えて、めちゃくちゃな味にしたこともある。
しかしそれでも彼女は一度たりともワシの作った飯を残したりはしなかった。
無理に食べるなと言っても、聞かなんだ。
"せっかくジンベエに作ってもらった料理だから"と、一人前の量をしっかり食べ切ったのだ。
それからというもの流石のワシも思うところあり、調味料の間違いだけには気をつけておる。
彼女はどうやら忙しい身の上らしく、帰りが遅くなることもよくあった。
そういう日ほど、ワシが飯を作るようにしてよかったと心底思うた。
しかしあまりに働き詰めだと感じたある日、鳴海に聞いたことがある。
「朝から晩まで、こんなに働くこともなかろう。もう少し仕事を減らしたらどうじゃ。」
「ううん。私、ちゃんと自立して生きたいの。そのためにはこれくらいの仕事はしなきゃいけない。」
その横顔はどこか暗く、まるで見えない何かに縛られておるようじゃった。
その顔が妙に気になって、その夜は寝られなんだのをよく覚えとる。
彼女のその言葉の意味を知るのは、それから1か月後のことじゃった。