夢でも貴方と
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「ジンベエ……?」
ポツリと呟く鳴海に、ジンベエ以外のクルーは疑問符を浮かべた。
「……!?……鳴海……!?……今、そう言ったのか……!?」
ジンベエは信じられないと言う表情のまま突っ立っている。
しかし感極まった鳴海は駆け出して彼に抱きついた。
「ジンベエ〜〜!!!」
そう言いながら、3メートルある巨体の首に飛び付く。
ジンベエはその行動と力強さに再び驚きつつも、彼女をしっかり受け止めた。
ーーこんな風に3メートル近く飛べるような女性だっただろうか?
いやそんなことよりも。ーー
「…………そんな馬鹿な……なぜお前さんがここに……!!」
「ジンベエ! 会いたかった!!」
鳴海はギューっと彼にしがみついた。
そこでジンベエはハッとして、彼女に焦ったように話しかける。
「ちょっ、ちょっと待て! 顔をよく見せい!」
彼は鳴海を船の上に立たせて自身がかがみ同じくらいの目線にする。
「お前さん、……お本当に鳴海か……!?」
言いながら、顔や体を水かきのある手でぺたぺたと触る。
「そうだよ。ジンベエ、だいぶ雰囲気変わったね。今何歳?」
「46じゃ…………。ワシがあちらに行ってからもう12年は経つ……。」
「そっかぁ、じゃあけっこう年離れちゃったね。」
「……いや、しかし……、まさかまたこうして生きてお前さんに会えるとは……!! もう一生、会えんとばかり思っとった!!」
ジンベエは感極まった様子で久しぶりの温もりを抱きしめる。
その大きな体はふるふると震えており、ジンベエからかすかな水音が聞こえる。
「……あはは。ジンベエ、泣いてるの??」
鳴海はそっと体を離し彼の顔を覗き込む。
「阿呆! 泣いとりゃあせん! 見るな!」
「ふふ、年取って涙もろくなったんじゃない?」
「そんなわけあるかい!」
随分と親しげに話す様子を見ていた麦わらの一味だったが、ついに船長であるルフィがジンベエに問いかける。
「何だジンベエ、お前の知り合いか?」
「おぉ、そうだな。皆に紹介させてくれ。」
そう言ってジンベエは皆に向き直り、鳴海の肩を自分の方へと引き寄せた。
「この鳴海はワシの命の恩人で、ワシがこの生涯でただ1人、惚れた女だ!」
ドン、という効果音でも付きそうなほど堂々と言い放つ彼に、鳴海は少し顔を赤らめた。
「あら、素敵。」
ロビンが微笑んで言う。
「「え〜〜〜!! ジンベエ彼女いたのかよ〜〜〜!!」」
ウソップとチョッパーは目が飛び出そうなほど驚いている。
「スーパー! に、驚きだぜ。」
「ヨホホホ、素敵じゃないですか。」
フランキーとブルックはさすが大人組。言葉とは裏腹にさして驚いた様子はない。
「おのれジンベエェ〜! なに軽々しくレディの肩を抱いてんだ!!」
サンジの言葉にジンベエはムキになる。
「軽々しくもなにも、ワシの女じゃ!!」
「くっ……!」
悔しそうに泣きながらマストを叩くサンジ。
「だがよ、何で小舟でこんな所に居たんだ?」
ゾロの問いに鳴海は笑顔で答えた。
「ジンベエを探しに!!」
「あのね! ここはグランドライン後半の海! 新世界よ!? 小舟で人探しなんて無茶にも程があるわ!」
そう言うナミに困ったように笑う鳴海。
「でも、どうしても会いたかったの。それに、お世話になってた人達にあれ以上迷惑もかけられなくて。」
「お前さん、一体どこの誰の世話になったんじゃ? 大丈夫じゃったか?」
心配そうに聞くジンベエ。
「うん、良い人たちの所に飛ばされて、修行もつけてもらったし。あっ、そうそうジンベエ! そういえば私、能力者になったの!!」
「何〜〜〜!?」
今度はジンベエが目を飛び出して驚く。
しかしそこにナミが待ったをかける。
「ちょっと待って待って!! 話が見えない! 2人の関係は分かったけど、飛ばされたとか、お世話になってたとか、アンタ、一体どこから来たの!?」
核心をつく問いかけに、ジンベエと鳴海は目を見合わせる。
「そうじゃな。話すと長くなるが……説明しよう。」
そうしてジンベエは、2人の出会いを話出す。
初めは夢の中で出会ったこと。
その後ジンベエが鳴海の世界に行ったこと。
そして親しくなり、お互い心を通わせたこと。
「ワシがあちらに居ったのは半年ほど。そして突然帰ることになった。こちらの世界では、ワシは6週間姿を消しとったらしい。そして今度は、鳴海がこちらに来たということじゃ……。」
「そんな事って、あり得るの!?」
ナミが驚いたように言う。
他のクルーも言葉にはしないが、かなり驚いているようだ。
「グランドラインだもの。何が起きても不思議じゃないとも言えるわ。」
落ち着き払って言うロビン。
「私がこっちの世界に来たのは3年前。ジャングリーナ島って言うところに飛ばされたの。そこに住んでたライデンさんとぺティさんていうご夫婦にお世話になってて、ライデンは3年で私を強くしてくれた。武装色と見聞色の覇気ってやつも、つかえるようになったよ?」
「何と…! 覇気じゃと!? お前さん、そんなことまで出来るようになったんか!?」
ジンベエが驚きと複雑さをない混ぜにしたような顔で鳴海を見る。
「……へぇ。」
ゾロがニヤリと笑う。
「頑張ったでしょ?」
そう言う彼女の頭をジンベエは撫でる。
「しかし、そこまで教えられるそのライデンって何者だ?」
タバコの煙を燻らしながら言うサンジの言葉に、ウソップが顎に手をやって言う。
「ライデン……ライデン……どっかで聞いたことが……って、あぁーーー!!!」
そう叫んでバタバタと船の中に入っていったと思ったら、すぐに戻ってきて一枚の古い紙を鳴海に突きつけた。
「まさか! ライデンって、このライデンじゃないよな!?」
その紙は昔の手配書らしく、若かりし頃のライデンが確かにデカデカと載っていた。
「あ、そうそう。この頃より歳とってるけど、この人だよ。」
ケロッと答える彼女に、ウソップは驚きを隠さずに言う。
「んなー!! お前、ゴールドロジャーのクルーのNo.3に鍛えてもらってたのかよ!! あのレイリーとタメをはれるほどの実力者だぞ!!」
「あのライデンか。」
「へぇ、どうりで。」
フランキーやサンジが納得したように頷く。
「ゴールドロジャー? レイリー? 誰それ。」
「ゴールドロジャーとは、今は亡き海賊王のことじゃ。レイリーはその船のNo.2。」
知らない名前が出て混乱する鳴海にジンベエが説明する。
「へぇ。海賊王、か。」
ワクワクした顔をする彼女を、ジンベエは微笑んで見つめる。
その後も麦わらの一味は彼女への自己紹介で賑わっていたのだった。
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