夢でも貴方と
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私はあまりの寝心地の悪さに瞼を開ける。
背中にゴツゴツとした感触。
目の前にはたくさんの木々。
虫たちや鳥たちの声が聞こえる。ここは森のなからしい。
なんだか、とてもつもなく長い時間眠ってきた気がする。
それを証明するように、立ちあがろうとする身体中が軋む。
そういえば、私は事故にあったはず。
ほぼ無意識にお腹に手を当てる。
しかしそこに出血はない。入院服のような服を捲り上げて自身の腹部を見れば、大きな手術痕があった。それは抜糸されているとはいえ、まだ痛々しさが残っていた。
まるでさっきまで自分が入院していたかのような状態だ。
それなのに、この場所はまるでジャングル。
いったいどうやってここまで来たのか。全く覚えてない。
どうやってここに来たにしろ、ずっとここに突っ立っている訳にはいかない。
そう思った私はだるい体に鞭打って歩き出した。
それから何度日が登ったのだろうか。
私は一向にこのジャングルから出られないでいた。もう何日も食べ物を口にしていない。
さすがに体力の尽きた私はその場に倒れ込んだ。
あまりの空腹に、このまま意識が飛んでしまいそうだ。
しかしその時、私の視線の先に一つの果実のようなものが落ちていることに気づいた。
何だか変な形の毒々しい色をした果物だが、背に腹は変えられない。
私はそれに手を伸ばし、無我夢中でかぶりついた。
味はとてもまずいが、空腹のせいか食べられないほどではない。
私はそれを、全て食べ切った。
するとどうだろう。
全身に力が湧き出てくる。
しかし一つだけ問題があった。喉が渇くのだ。異常に渇く。飲みたい。
飲みたい、飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい!!
生き血を飲みたい!!!
私は自身の背後に何かの気配を感じる。
後ろを見れば、大きな獅子のような動物がこちらを伺っていた。
私はそれに走り寄り、飛びかかった。
「生き血を飲ませろ! お前の血を!!」
普段の自分だったら言わないような言葉が出てきて、体はいつになく軽い。
私は獅子の攻撃をかわし、その首筋に噛みついた。
そこから、私の記憶はプツリと途切れることになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
背中にふわりとした感触があり、腕にはふかふかの布団が触れている。
私はどうやら寝ていたようだ。
なんだか凄く悪い夢を見ていた気がする。
私は体を起こし辺りを見渡す。
おかしい。ここは病院ではなさそうだ。しかも何故か裸で寝ていたらしい。
ここは本棚と大量の本に囲まれた寝室のような部屋らしい。
一体どこだろう?
しかし自身が裸なのもあり、あまりフラフラ歩けない。
しばらくベッドの上で疑問符を浮かべながらぼーっとしていたら、ガチャリと扉が空き誰かが部屋に入ってきた。
その人はナイスバディのブロンドが美しいおばさまで、私を見て驚いた顔をした。
「何だい、目が覚めてたのかい。」
「あの……ここは一体……。」
「話はあの人から聞きな。それよりも、ほら、食事を持ってきたよ。まずは食べるだろ?」
私は彼女の持つトレイに乗った食事を見て、ゴクリと喉を鳴らす。
「私はぺティ。宜しく。」
ぺティさんはそう言いながら、ベッドサイドに食事を置く。
「あの……これ、本当に頂いちゃっていいんですか……?」
「当たり前だろ。アンタのために作ったんだから。」
目の前にあるパンとスープとお肉の料理。口に涎がどんどん分泌されてくる。食べたい。
が、ふと冷静になり私はそれに手を伸ばすのをやめた。
「でも私、お返しできるものが何もありません……。」
「そんな事気にしてたら、アンタなんか助けてないさ。気にしなくていい、さぁ、食べな。」
ぺティさんのその声が慈悲深くて、私は思わず手を合わせた。
「ありがとう、ございます。いただきます。」
そして今度こそそのご馳走に手を伸ばした。まずはスープを一口。ミネストローネのようだ。次はパンをちぎって食べる。お肉も食べる。
だんだんと私の食べ方はガツガツとしたものに変わっていく。
久しぶりのまともな食事に、涙が出てくる。
「ありがとう……っ! ありがとうございます…!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で、食べながら呟く。
パティさんは"フフフ"と笑いながら私を見ていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
食事のあと、ぺティさんから彼女の服を借りて着替えた。
その後、私を助けてくれたと言う彼女の旦那さんが、ぺティさんと交代で寝室に現れた。
「やぁ。目を覚まして何よりだ。俺はライデンだ。」
ライデンさんという人は、いわゆるイケオジの部類に入るだろう。
ただしかなり年配のイケオジだ。
しかしその体はしっかりと鍛えられており、筋骨隆々な体に身長は2メートル近くありそうだ。
「初めまして。鳴海といいます。あの、行き倒れていたところを助けて頂いたみたいで、ありがとうございます。」
「いや、正確には違う。君は行き倒れてなどいなかった。」
その言葉に私は少々混乱する。
「覚えてないかね。この家を囲うようあるジャングルの動物たちを、君は見境なく襲っていたのだよ。」
「!?」
その言葉に、私は先ほど夢だと思っていた光景を思い出す。
ーー「生き血を飲ませろ! お前の血を!!」ーー
先ほど食べたものが胃からせり上がってくる。
「うっ…!」
しかし気合いでどうにか吐くことだけは避ける。
「どうやら少しは記憶があるようだな。」
「あれは、夢じゃなかった……?」
「そういうことだ。」
私は自分の身に何が起こったのか全く理解出来ずにいた。
あまりの出来事に、呆然とする。
それを見兼ねたライデンさんが、私に説明をし出した。
「君は悪魔の実を食べたのだよ。君が寝ている間に調べておいた。君が食べた悪魔の実は、ヒトヒトの実、幻獣種"モデル吸血鬼 "。極端に体力が少ない状態で食べたせいで、能力の暴走をーー」
私は聞き覚えのある単語を聞いて、顔をパッと持ち上げてライデンさんを見る。
そして彼の言葉を遮って口を開く。
「ちょっと待って!! 今、"悪魔の実"って言ったんですか!?」
「……。 そうだが。」
悪魔の実。つまり、ここはジンベエがいる世界ということ?
「ジンベエの世界……!」
思わず呟いた私の言葉に、彼がピクリと反応したのも知らずに、私はベッドから身を乗り出しライデンさんを見る。
「あの! ライデンさん! 私会いたい人が居るんです! この世界に! どうすれば良いですか!? その人は海峡のジンベエという人で!」
「お前が王下七武海のジンベエとどう言う関係なのか、とりあえず今は聞くまい。それよりも。君、この世界の人間じゃないな。」
「……!!」
しまった、と思った時には、時既に遅し。
そんな事誰にも信じてもらえるわけが無い。
私は絶望感で顔を俯かせる。
しかし次に聞こえたのは予想外の言葉だった。
「俺は、君のように異世界から来たものと会ったことがある。」
「え?」
思わず聞き返す。彼は思いの外優しい顔をして私を見ていた。
「だから安心しろ。"信じない、あり得ない"なんてことは言ったりしない。君を信じる。できる限りの手助けもしよう。」
「……!!」
私は再び涙腺が緩むのを感じる。
「……ありがとう、ございます……!!」
そしてついに涙を流しながら、頭を下げるのだった。
背中にゴツゴツとした感触。
目の前にはたくさんの木々。
虫たちや鳥たちの声が聞こえる。ここは森のなからしい。
なんだか、とてもつもなく長い時間眠ってきた気がする。
それを証明するように、立ちあがろうとする身体中が軋む。
そういえば、私は事故にあったはず。
ほぼ無意識にお腹に手を当てる。
しかしそこに出血はない。入院服のような服を捲り上げて自身の腹部を見れば、大きな手術痕があった。それは抜糸されているとはいえ、まだ痛々しさが残っていた。
まるでさっきまで自分が入院していたかのような状態だ。
それなのに、この場所はまるでジャングル。
いったいどうやってここまで来たのか。全く覚えてない。
どうやってここに来たにしろ、ずっとここに突っ立っている訳にはいかない。
そう思った私はだるい体に鞭打って歩き出した。
それから何度日が登ったのだろうか。
私は一向にこのジャングルから出られないでいた。もう何日も食べ物を口にしていない。
さすがに体力の尽きた私はその場に倒れ込んだ。
あまりの空腹に、このまま意識が飛んでしまいそうだ。
しかしその時、私の視線の先に一つの果実のようなものが落ちていることに気づいた。
何だか変な形の毒々しい色をした果物だが、背に腹は変えられない。
私はそれに手を伸ばし、無我夢中でかぶりついた。
味はとてもまずいが、空腹のせいか食べられないほどではない。
私はそれを、全て食べ切った。
するとどうだろう。
全身に力が湧き出てくる。
しかし一つだけ問題があった。喉が渇くのだ。異常に渇く。飲みたい。
飲みたい、飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい!!
生き血を飲みたい!!!
私は自身の背後に何かの気配を感じる。
後ろを見れば、大きな獅子のような動物がこちらを伺っていた。
私はそれに走り寄り、飛びかかった。
「生き血を飲ませろ! お前の血を!!」
普段の自分だったら言わないような言葉が出てきて、体はいつになく軽い。
私は獅子の攻撃をかわし、その首筋に噛みついた。
そこから、私の記憶はプツリと途切れることになる。
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背中にふわりとした感触があり、腕にはふかふかの布団が触れている。
私はどうやら寝ていたようだ。
なんだか凄く悪い夢を見ていた気がする。
私は体を起こし辺りを見渡す。
おかしい。ここは病院ではなさそうだ。しかも何故か裸で寝ていたらしい。
ここは本棚と大量の本に囲まれた寝室のような部屋らしい。
一体どこだろう?
しかし自身が裸なのもあり、あまりフラフラ歩けない。
しばらくベッドの上で疑問符を浮かべながらぼーっとしていたら、ガチャリと扉が空き誰かが部屋に入ってきた。
その人はナイスバディのブロンドが美しいおばさまで、私を見て驚いた顔をした。
「何だい、目が覚めてたのかい。」
「あの……ここは一体……。」
「話はあの人から聞きな。それよりも、ほら、食事を持ってきたよ。まずは食べるだろ?」
私は彼女の持つトレイに乗った食事を見て、ゴクリと喉を鳴らす。
「私はぺティ。宜しく。」
ぺティさんはそう言いながら、ベッドサイドに食事を置く。
「あの……これ、本当に頂いちゃっていいんですか……?」
「当たり前だろ。アンタのために作ったんだから。」
目の前にあるパンとスープとお肉の料理。口に涎がどんどん分泌されてくる。食べたい。
が、ふと冷静になり私はそれに手を伸ばすのをやめた。
「でも私、お返しできるものが何もありません……。」
「そんな事気にしてたら、アンタなんか助けてないさ。気にしなくていい、さぁ、食べな。」
ぺティさんのその声が慈悲深くて、私は思わず手を合わせた。
「ありがとう、ございます。いただきます。」
そして今度こそそのご馳走に手を伸ばした。まずはスープを一口。ミネストローネのようだ。次はパンをちぎって食べる。お肉も食べる。
だんだんと私の食べ方はガツガツとしたものに変わっていく。
久しぶりのまともな食事に、涙が出てくる。
「ありがとう……っ! ありがとうございます…!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で、食べながら呟く。
パティさんは"フフフ"と笑いながら私を見ていた。
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食事のあと、ぺティさんから彼女の服を借りて着替えた。
その後、私を助けてくれたと言う彼女の旦那さんが、ぺティさんと交代で寝室に現れた。
「やぁ。目を覚まして何よりだ。俺はライデンだ。」
ライデンさんという人は、いわゆるイケオジの部類に入るだろう。
ただしかなり年配のイケオジだ。
しかしその体はしっかりと鍛えられており、筋骨隆々な体に身長は2メートル近くありそうだ。
「初めまして。鳴海といいます。あの、行き倒れていたところを助けて頂いたみたいで、ありがとうございます。」
「いや、正確には違う。君は行き倒れてなどいなかった。」
その言葉に私は少々混乱する。
「覚えてないかね。この家を囲うようあるジャングルの動物たちを、君は見境なく襲っていたのだよ。」
「!?」
その言葉に、私は先ほど夢だと思っていた光景を思い出す。
ーー「生き血を飲ませろ! お前の血を!!」ーー
先ほど食べたものが胃からせり上がってくる。
「うっ…!」
しかし気合いでどうにか吐くことだけは避ける。
「どうやら少しは記憶があるようだな。」
「あれは、夢じゃなかった……?」
「そういうことだ。」
私は自分の身に何が起こったのか全く理解出来ずにいた。
あまりの出来事に、呆然とする。
それを見兼ねたライデンさんが、私に説明をし出した。
「君は悪魔の実を食べたのだよ。君が寝ている間に調べておいた。君が食べた悪魔の実は、ヒトヒトの実、幻獣種"モデル
私は聞き覚えのある単語を聞いて、顔をパッと持ち上げてライデンさんを見る。
そして彼の言葉を遮って口を開く。
「ちょっと待って!! 今、"悪魔の実"って言ったんですか!?」
「……。 そうだが。」
悪魔の実。つまり、ここはジンベエがいる世界ということ?
「ジンベエの世界……!」
思わず呟いた私の言葉に、彼がピクリと反応したのも知らずに、私はベッドから身を乗り出しライデンさんを見る。
「あの! ライデンさん! 私会いたい人が居るんです! この世界に! どうすれば良いですか!? その人は海峡のジンベエという人で!」
「お前が王下七武海のジンベエとどう言う関係なのか、とりあえず今は聞くまい。それよりも。君、この世界の人間じゃないな。」
「……!!」
しまった、と思った時には、時既に遅し。
そんな事誰にも信じてもらえるわけが無い。
私は絶望感で顔を俯かせる。
しかし次に聞こえたのは予想外の言葉だった。
「俺は、君のように異世界から来たものと会ったことがある。」
「え?」
思わず聞き返す。彼は思いの外優しい顔をして私を見ていた。
「だから安心しろ。"信じない、あり得ない"なんてことは言ったりしない。君を信じる。できる限りの手助けもしよう。」
「……!!」
私は再び涙腺が緩むのを感じる。
「……ありがとう、ございます……!!」
そしてついに涙を流しながら、頭を下げるのだった。