こちらの世界に来て驚いたのは、まず見た目が若くなっていたことだ。
そして髪色と目の色が変わっていた。髪は白く、目は赤く。

そのことをネジくんに言ったらーー

「シズネさんの持ってきてくれた資料によると、高槻一族は異世界へ渡ると容姿が変化し１０歳ほど若返ると書いてありました。おそらくそれが原因でしょう。」

と答えてくれた。
ちなみにシズネさんの持ってきてくれた本や資料は、読めるものと読めないものがあった。

私の文字の読み書きの勉強も、ネジくんの仕事となった。
仕事を増やして申し訳ない。

テンテンちゃんやリーくん、ガイさんが帰った後、今後必要になる日用品を買いに外へ出た。

服や下着、最低限の化粧品に歯ブラシ、必要なものだけにしても買うものはそれなりに多くなった。

2人で大きな荷物を持って家に帰る。

「そういえば、お風呂って借りれるの？」

「あの家に住むんですから、当たり前です。」

「しゃあ、私が風呂入ってる間ネジくんの監視はどうなるの？」

「………。」

「え。まさか、一緒に入るとかーー」

「そ、そんなわけないでしょう。」

珍しく少し焦ったように否定する彼に、少しだけ親近感が湧いた。

「俺が貴方を監視できないときは、暗部の者が貴方を監視します。俺と違って暗部はいつどこからでも貴方を見ています。まぁ、綱手様が息苦しいかも、と言ったのはこの事です。」

「ちょっとまって。じゃあなに。裸も、トイレも見られてるってこと？　そもそも、暗部ってなに！？」

「暗部は暗殺部隊の略称です。まぁ、トイレまでは見られないでしょうが。」

「嘘でしょ……。」

いくら精神年齢アラサーだからって、恥じらいが無いわけじゃない。
どこの誰かも分からない人に風呂を覗かれるなんて、普通に抵抗がある。
しかも暗殺部隊の人間というではないか。
何かあったら私は殺されるのだろうか。
これからの生活を想像して項垂れる。
私は思わずため息をついた。