③
夢小説設定
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火影室からの帰り道は、普通に歩きながら森へと向かった。
一通りの多い道を2人で歩いていると、ふと誰かに肩がぶつかる。
「あっ、すみません。」
私は反射的に相手に謝る。
「いえ、こちらこそ……、あれ、貴方は……。」
しかし相手は私を見ると動きを止めた。
やたらと白い肌に黒髪の少年だ。
「あの、何か?」
私の問いかけに、彼は貼り付けたような笑みでこう言った。
「あぁ。いえ。貴方が噂の、異世界から来た高槻一族の末裔ですか。」
ネジがすぐに前へと出て、私を後ろに隠す。
「だったら何だ。」
ネジの威圧的な声に、少年は衝撃的な言葉を言う。
「いえ。ただ、思ってたよりも……なんだか、ブスですね。」
「え、はっ!?…ブ…っ!?」
私は思わず混乱する。
別に自分の容姿に自信があるわけではないが、初対面でブスと言われる事には流石に慣れてはいない。
「何だと? おい、貴様今の言葉をもう一回言ってみろ。ただでは済まさん。」
ネジがいつもより一層低い声で言う。
「どうしたんですか? 僕はただ、思ったよりもブ…ーー」
「八卦空掌!!」
「……!! ネジ!! こんなところで八卦空掌なんか出しちゃダメだよ!」
ここは人通りが多い。
誰かに当たってしまうかも、と言う心配は稀有に終わった。
威力をいつもより落としたのだろう。
そのせいか、黒髪の少年は八卦空掌をやすやすと避ける。
「すごいですね。さすがは上忍、と言ったところですか。でも分かりませんね。君がなぜ怒っているのか。そこの鳴海さんは、君にとってあくまでただの監視対象なんですよね?」
黒髪の少年の問いにネジが答える。
「間違えるな。鳴海はこの里にとって脅威ではないと火影様が判断された。彼女は俺の護衛対象だ。」
「だとしても、よく分かりません。僕は事実を言っただけで、攻撃したつもりはなかったんですが。」
彼は心の底から理解できないと言った風だった。
「いちいち人の神経を逆撫でするやつだ。」
ネジが眉間に皺を寄せて彼を見る。
「すみません。悪気はないんですが。僕はこれで失礼した方が良さそうだ。」
そう言って、彼は走り去っていった。
「………。」
私はネジのとってくれた行動に、胸がきゅっとときめく。
「(私のために……、怒ってくれた。)」
素直に嬉しい。
でも、私はネジを振った身だ。
それに決めたじゃない。
私の思いには蓋をするって。
こんな風に喜んでちゃダメって思うけど、今だけは。
ほんの少しこの喜びに浸りたい。