③
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鳴海は言った。
1人だが、孤独ではないと。
俺のやった首飾りを触りながら。
俺に笑いかけながら。
それだけで俺の心は満たされる。
俺はもう、自分の気持ちを隠せそうにない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日は久しぶりに鳴海と夜を外で食べることになった。
というのも、ハードな修行のせいで夕食を作る体力すら残っていなかったからだ。
俺が作っても良かったが、なんせ俺の料理はそう上手くはないらしいから外食で済ますことにしたのだ。
そば屋に行って、俺はニシンそばを。鳴海は天ぷらそばを食べた。
そして今はその帰り道。
今は19歳のくせに、鳴海が酒なんぞを飲むから帰り道にあったベンチに座って休憩中だ。
「まったく。酒は20歳になってからだ。」
「いいのいいの〜。向こうじゃ私、三十路だから。」
「その割には、子供っぽいな。」
「うるさいな! 若々しいって言ってよね!」
そんな事を言いながらダラリとベンチに座る鳴海。
しばらく無言で過ごしていれば、少しは酔いが覚めたらしい。
ベンチにしっかり座り直して星を見上げ出した。
その横顔を横目に見る。
頬が紅潮してやけに色っぽく見える。
俺は気付けば、言うつもりのない言葉を口走っていた。
「なぁ、俺の気持ちを、言ってもいいか。」
鳴海はこちらをゆっくりと見やり、俺を見つめる。
やや微笑んでいるようにすら見える。
俺はそれを肯定ととり、言葉を続けた。
「お前はもう、この里の一員…ーー」
「ネジ。私は、この世界の人間じゃないよ。」
しかし、彼女は俺の言葉を遮った。
「……なぜ今、そんな事を言う。お前はこの世界の人間だ。」
俺は雲行きが怪しくなった事を認めたくなくて、無責任な事を言う。
「……。違う。私はまだ向こうの世界を諦められない。そんな女に、優しくしない方が良い。」
彼女の言葉に食ってかかる。
「それでも良い! 俺はお前がーー」
好きだ。そう言おうとした俺の口を、彼女が掌で塞いだ。
「ありがとう。その気持ちだけで十分だよ。」
そう言って口元から彼女の温もりが離れていく。
「俺の思いは、迷惑か。」
自嘲しながら問う。
彼女は優しく微笑んだ。
しかしその瞳にすぐに影が落ちる。
「ううん。嬉しいよ。でも、応える自信が、私にはない。」
なぜそんなに寂しそうに言うんだ。
彼女の姿が、とても自信なさげに俺には映った。
「……そうか。ならば待つ。お前が俺の気持ちに応えられるようになるまで。」
鳴海は無言を決め込んでいる。
きっと彼女なりに俺のことを真面目に考えてくれている。
ならば、俺は待つだけだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ネジに告白されそうになった。
昨日のことだ。
昨夜は酔っていたのもあって、普通に接することが出来たが、今日はシラフだ。
どんな顔で会えばいいのやら。
そう思いながら朝食を作っていると、朝の瞑想を終えたネジが背後から私に声をかける。
「おはよう。」
「おはよ、ネジ。もうすぐ出来るから待ってて。」
私はネジの顔を見ないようにして言う。
「鳴海。」
「、何?」
「こっちを向け。」
ネジが私の肩に手をやり、体ごと私を彼に向き直らせた。
「ちょっ!」
私は近距離でネジと目が会い、顔が熱くなる。
「な、なんだその茹で蛸のような顔は。」
私の顔にネジまでたじろいでいる。
「い、いや? 別に何でも!」
わたしに釣られてネジまで頬が赤くなっている。
彼は肩に置いていた手を素早く離して言う。
「ま、まぁいい。昨日の事で、俺を避けるなと念押ししたかっただけだ。」
「そ、そう。分かってる。大丈夫。」
「なら、良い。俺は向こうで待ってる。」
「うん。」
お互いにぎこちない。
ネジが茶の間に行ったのを確認し、私はため息をつく。
「(これじゃあ、心臓がいくつあっても足りない!)」
1人だが、孤独ではないと。
俺のやった首飾りを触りながら。
俺に笑いかけながら。
それだけで俺の心は満たされる。
俺はもう、自分の気持ちを隠せそうにない。
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今日は久しぶりに鳴海と夜を外で食べることになった。
というのも、ハードな修行のせいで夕食を作る体力すら残っていなかったからだ。
俺が作っても良かったが、なんせ俺の料理はそう上手くはないらしいから外食で済ますことにしたのだ。
そば屋に行って、俺はニシンそばを。鳴海は天ぷらそばを食べた。
そして今はその帰り道。
今は19歳のくせに、鳴海が酒なんぞを飲むから帰り道にあったベンチに座って休憩中だ。
「まったく。酒は20歳になってからだ。」
「いいのいいの〜。向こうじゃ私、三十路だから。」
「その割には、子供っぽいな。」
「うるさいな! 若々しいって言ってよね!」
そんな事を言いながらダラリとベンチに座る鳴海。
しばらく無言で過ごしていれば、少しは酔いが覚めたらしい。
ベンチにしっかり座り直して星を見上げ出した。
その横顔を横目に見る。
頬が紅潮してやけに色っぽく見える。
俺は気付けば、言うつもりのない言葉を口走っていた。
「なぁ、俺の気持ちを、言ってもいいか。」
鳴海はこちらをゆっくりと見やり、俺を見つめる。
やや微笑んでいるようにすら見える。
俺はそれを肯定ととり、言葉を続けた。
「お前はもう、この里の一員…ーー」
「ネジ。私は、この世界の人間じゃないよ。」
しかし、彼女は俺の言葉を遮った。
「……なぜ今、そんな事を言う。お前はこの世界の人間だ。」
俺は雲行きが怪しくなった事を認めたくなくて、無責任な事を言う。
「……。違う。私はまだ向こうの世界を諦められない。そんな女に、優しくしない方が良い。」
彼女の言葉に食ってかかる。
「それでも良い! 俺はお前がーー」
好きだ。そう言おうとした俺の口を、彼女が掌で塞いだ。
「ありがとう。その気持ちだけで十分だよ。」
そう言って口元から彼女の温もりが離れていく。
「俺の思いは、迷惑か。」
自嘲しながら問う。
彼女は優しく微笑んだ。
しかしその瞳にすぐに影が落ちる。
「ううん。嬉しいよ。でも、応える自信が、私にはない。」
なぜそんなに寂しそうに言うんだ。
彼女の姿が、とても自信なさげに俺には映った。
「……そうか。ならば待つ。お前が俺の気持ちに応えられるようになるまで。」
鳴海は無言を決め込んでいる。
きっと彼女なりに俺のことを真面目に考えてくれている。
ならば、俺は待つだけだ。
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ネジに告白されそうになった。
昨日のことだ。
昨夜は酔っていたのもあって、普通に接することが出来たが、今日はシラフだ。
どんな顔で会えばいいのやら。
そう思いながら朝食を作っていると、朝の瞑想を終えたネジが背後から私に声をかける。
「おはよう。」
「おはよ、ネジ。もうすぐ出来るから待ってて。」
私はネジの顔を見ないようにして言う。
「鳴海。」
「、何?」
「こっちを向け。」
ネジが私の肩に手をやり、体ごと私を彼に向き直らせた。
「ちょっ!」
私は近距離でネジと目が会い、顔が熱くなる。
「な、なんだその茹で蛸のような顔は。」
私の顔にネジまでたじろいでいる。
「い、いや? 別に何でも!」
わたしに釣られてネジまで頬が赤くなっている。
彼は肩に置いていた手を素早く離して言う。
「ま、まぁいい。昨日の事で、俺を避けるなと念押ししたかっただけだ。」
「そ、そう。分かってる。大丈夫。」
「なら、良い。俺は向こうで待ってる。」
「うん。」
お互いにぎこちない。
ネジが茶の間に行ったのを確認し、私はため息をつく。
「(これじゃあ、心臓がいくつあっても足りない!)」