③
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私の情報が里の忍達に公表されてからというもの、私に向けられる忍の人々の目が変わった。
親しみでもなければ、友好的なものでもない。
物珍しいものを見る目。
それと、腫れ物に触るような目。
皆、私にどう接すればいいかわからないのだろう。
中には私の予知の能力は嘘なのではないかと噂する輩もいる。
わざわざ私に聞こえるように陰口を言うのだ。それには流石に、暇人なのかと疑いたくなる。
しかしそう思うのも無理はない。
当然と言えば当然だろう。異世界から里の危機を救うためにやってきたと言うのに、アスマさん1人救えなかった女だ。
今も食材の調達のためにネジと歩いているが、ネジがとばっちりを受けることだけはないように願っている。
そんな事を考えながら歩いていれば、目の前からやってきた黄色の髪の毛の男の子が私たちに向かって手を振った。
「ネジ! それに鳴海姉ちゃんじゃねぇか!」
彼は確かナルト君。ナルト君の隣にはサクラちゃんもいる。
「お久しぶりです! 鳴海さん!」
私は2人が前と同じ態度で少し拍子抜けする。
「2人とも、久しぶり。」
しかし心中を察されぬよう笑顔で挨拶する。
「2人とも今からお昼ですか?」
「というより、昼飯の食料調達だ。」
サクラちゃんの言葉にネジが答える。
「じゃあさ、じゃあさ! このまま4人で一楽でも行こうってばよ!」
「まぁ、たまにはいいわね。」
ナルト君の提案に乗るサクラちゃん。
「ラーメンか。鳴海、どうする?」
ネジが私に問う。
「せっかく誘ってもらったし、うん。行こうか。」
そうして私たちは一楽に向かうことになった。
「それにしても驚いたぜ! 鳴海の姉ちゃんが、まさか異世界から来た奴だったなんてな!」
「本当。そんなことあるんですね。」
ナルト君とサクラちゃんが言う。
「まぁね。まだまだ力不足だから、毎日、修行中。」
「へぇ! 飛眼なんて、すっげぇ目ぇ持ってんのに、まだ強くなろうとしてんのか! すげぇな!」
ニカッと笑いながら言うナルト君。
彼はまるで太陽のような人だな、と思う。
「すごくないよ。私なんてまだまだ。里の忍の人達の言う事も最もだよ。」
そう言う私に、ネジが言う。
「鳴海、お前はよくやっている。」
「鳴海さん……。」
サクラちゃんが私を心配そうに見ている。
しまった、失言だった。
そう思った時、ナルト君の大きな声が響いた。
「そうだってばよ! 里の忍連中が言うことなんて、気にすんなってばよ! 姉ちゃんは精一杯のことをしたんだろ!? それでもアスマ先生を救えなかったのは、それだけ暁が強かったからだ! それを鳴海姉ちゃんのせいにすんのは、お門違いってやつだってばよ!」
「ナルト君……。」
「ナルトの言う通りだ。飛眼のコントロールだってどんどん上達している。お前が気に病む必要はない。」
ネジの言葉に胸の辺りが温かくなる。
「うん、ありがとう。」
「鳴海姉ちゃん! これからもっと強くなって、里の奴らに姉ちゃんのこと、認めさせてやろうぜ!!」
ナルト君はそう言って笑った。
しかし私は首を振る。
「ううん。良いの。」
「いいって……なんで!?」
ナルト君は心底不思議そうにこちらを見ている。
「この世界に、しがらみがない私だからこそ出来ることがあるんじゃないかって思うんだよね。だから、別に認められなくてもいいの。1人だからこそできる事があるかもしれないから。」
言いながらふとナルト君を見れば、彼は悲しそうな顔をしていた。
「でも!! それじゃあ姉ちゃんは、いつまで経っても1人ぼっちだってばよ!!」
彼はまるで自分の痛みかのような顔をしてそう言った。
私はそれに少々驚きつつも、彼の優しさにほほ笑む。
「良いの。確かに私は1人だけど……孤独じゃないから。」
ナルト君はよく分からないと言った表情でこちらを見る。
私はネジにもらったネックレスを触る。
「だから、大丈夫なの。ねっ、ネジ!」
そして笑って彼を見る。
ネジも私を見てふっと笑う。
「あぁ。そうだな。だが、いずれ里の奴らもお前を認めることになる。」
「ネジが言うなら、そうなのかもね。」
「なんか、よく分かんねぇけど、鳴海姉ちゃんってば、変わり者だってばよ。」
「ふふ、そう?」
「ばかナルト! ほんっとーにアンタは、何にも分かってないんだから!」
サクラちゃんがナルト君の頭を叩きながら言う。
それを見て、私はまた笑うのだった。