【疾風伝】①
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ネジと夕食を摂りお風呂に入った後、私は縁側で星空を見上げていた。
今日はネジが無事に帰ってきた良い日だ。
私は上機嫌で、あちらの世界の歌を歌う。
「ーー今度はいつ会える?
あなたは私の光だって
気付いたときにはもう言い逃れ出来なくて
あの日の私を守ってくれたのは
貴方なんだって
その傷を抱きしめたい
バイマイサイド
バイマイサイドーー」
歌に一区切りついたとき、横からネジの声が聞こえた。
「どういう意味なんだ? その、ばいまいさいど……というのは。」
彼は柱にもたれかかってこちらを見ていた。
「ネジ、気配消して近づかないでよ。」
私は笑って言う。
「すまん。つい癖でな。」
ネジはこちらに向かって歩き出し、私の隣に座った。
ネジもお風呂上がりで、浴衣のような出立ちに、いつも結ばれている黒髪が今は結ばれていない。
その姿に少しドキリとする。
額当てもしていないからいつも隠れている印が見える。
それはもう見慣れてしまったが。
「それで? どう言う意味なんだ?」
ネジの言葉に私は先ほど彼に問われた事を思い出す。
「あぁ、バイマイサイドはね、"私の傍に"って意味かな。私のいた国とは違う国の言葉なの。」
「お前の世界では、国ごとに言葉が違うのか?」
「うん。大体そうだよ。英語っていうのが、共通語としてあるけどね。」
「面倒な世界だな。」
「ふふ、ネジが私の世界見たらきっとビックリするよ?」
「だろうな。今までの話で、俺には想像もつかないほど技術が発展した国というのは大体分かった。」
あちらの世界の話をしながら、ふと思う。
そう言えば、最近は元の世界の話をしても寂しくならなくなったな、と。
数ヶ月前の私なら、あちらの話をしただけで密かに悲しくなったりしたものだ。
おそらく周りの人にはバレてないだろうけど。
でもその代わり、こちらの世界にいながら疎外感を感じる事が増えた。
誰かと一緒にいる時。
自分がこの世界の人間じゃないことを痛感するのだ。
これではまるで、この世界に受け入れられたいと思っているみたいだ。
私の本心はどっちなんだろう。
元の世界に戻りたいのか。
それとも、この世界に受け入れられたいのか。
最近は自分でもよく分からなくなってきた。
私は星を見上げながら、胸の内を探っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「バイマイサイド……私の傍に、か。」
そう小さく呟いて、鳴海の方を見る。
彼女は何が考え事でもしているらしく、俺の視線には気づいていない。
「何を考えているんだ?」
彼女に聞こえるように言えば、ハッとしてこちらを見る鳴海。
「あ、あぁ。いや、特にこれと言って、大事なことでも無いんだけどね。」
彼女はすぐ本心を誤魔化そうとする癖がある。
俺はその度に鳴海の胸の内を知りたくてムキになって問いかける。
「誤魔化すな。何か重要な事を考えているのは分かる。言ってみろ。」
「……いや、ね。最近ね、元の世界に戻りたいのかどうか、よく分からなくてね。」
その言葉に、俺は柄にもなく喜びそうになる。
彼女からしたらなんて無責任な、と言われるだろう。
しかし俺からしたら好いている人が傍にいる可能性が上がるなら万々歳だ。
「ゆっくり考えると良い。これから訪れる世界の危機とやらが終われば、お前は自由なんだからな。」
表面上は彼女に寄り添うふりをして、心の中では彼女がずっとここに居ることを望んでいる。
なんと浅ましいことか。
だがそれでも、俺の鳴海に対する感情を今さら変えることはできない。
前の事件でそう悟ったのだ。
「……うん。」
俺の言葉に頷く彼女はまた星空を眺め、歌い出した。
今日はネジが無事に帰ってきた良い日だ。
私は上機嫌で、あちらの世界の歌を歌う。
「ーー今度はいつ会える?
あなたは私の光だって
気付いたときにはもう言い逃れ出来なくて
あの日の私を守ってくれたのは
貴方なんだって
その傷を抱きしめたい
バイマイサイド
バイマイサイドーー」
歌に一区切りついたとき、横からネジの声が聞こえた。
「どういう意味なんだ? その、ばいまいさいど……というのは。」
彼は柱にもたれかかってこちらを見ていた。
「ネジ、気配消して近づかないでよ。」
私は笑って言う。
「すまん。つい癖でな。」
ネジはこちらに向かって歩き出し、私の隣に座った。
ネジもお風呂上がりで、浴衣のような出立ちに、いつも結ばれている黒髪が今は結ばれていない。
その姿に少しドキリとする。
額当てもしていないからいつも隠れている印が見える。
それはもう見慣れてしまったが。
「それで? どう言う意味なんだ?」
ネジの言葉に私は先ほど彼に問われた事を思い出す。
「あぁ、バイマイサイドはね、"私の傍に"って意味かな。私のいた国とは違う国の言葉なの。」
「お前の世界では、国ごとに言葉が違うのか?」
「うん。大体そうだよ。英語っていうのが、共通語としてあるけどね。」
「面倒な世界だな。」
「ふふ、ネジが私の世界見たらきっとビックリするよ?」
「だろうな。今までの話で、俺には想像もつかないほど技術が発展した国というのは大体分かった。」
あちらの世界の話をしながら、ふと思う。
そう言えば、最近は元の世界の話をしても寂しくならなくなったな、と。
数ヶ月前の私なら、あちらの話をしただけで密かに悲しくなったりしたものだ。
おそらく周りの人にはバレてないだろうけど。
でもその代わり、こちらの世界にいながら疎外感を感じる事が増えた。
誰かと一緒にいる時。
自分がこの世界の人間じゃないことを痛感するのだ。
これではまるで、この世界に受け入れられたいと思っているみたいだ。
私の本心はどっちなんだろう。
元の世界に戻りたいのか。
それとも、この世界に受け入れられたいのか。
最近は自分でもよく分からなくなってきた。
私は星を見上げながら、胸の内を探っていた。
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「バイマイサイド……私の傍に、か。」
そう小さく呟いて、鳴海の方を見る。
彼女は何が考え事でもしているらしく、俺の視線には気づいていない。
「何を考えているんだ?」
彼女に聞こえるように言えば、ハッとしてこちらを見る鳴海。
「あ、あぁ。いや、特にこれと言って、大事なことでも無いんだけどね。」
彼女はすぐ本心を誤魔化そうとする癖がある。
俺はその度に鳴海の胸の内を知りたくてムキになって問いかける。
「誤魔化すな。何か重要な事を考えているのは分かる。言ってみろ。」
「……いや、ね。最近ね、元の世界に戻りたいのかどうか、よく分からなくてね。」
その言葉に、俺は柄にもなく喜びそうになる。
彼女からしたらなんて無責任な、と言われるだろう。
しかし俺からしたら好いている人が傍にいる可能性が上がるなら万々歳だ。
「ゆっくり考えると良い。これから訪れる世界の危機とやらが終われば、お前は自由なんだからな。」
表面上は彼女に寄り添うふりをして、心の中では彼女がずっとここに居ることを望んでいる。
なんと浅ましいことか。
だがそれでも、俺の鳴海に対する感情を今さら変えることはできない。
前の事件でそう悟ったのだ。
「……うん。」
俺の言葉に頷く彼女はまた星空を眺め、歌い出した。