10ヶ月目
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ある日、俺はテンテンとの任務で里の外に出ていた。今はその帰り道の途中だ。
俺が任務の間、鳴海の護衛と監視は暗部の者達に任せてある。
それは良いのだが、俺は今1つのことに頭を悩ませていた。
すると、隣のテンテンが唐突に俺に話しかける。
「それで? 鳴海のこと、ネジはどうするの?」
「……? どうする、とはどういう意味だ? 護衛と監視なら暗部にーー」
「そういうことじゃなくて! いつ告白すんのよ!?」
「なっ……! 急に何を言い出すんだ! 俺は別に…っ!」
「隠してもバレバレだから。はぁ、もう、今だって鳴海の事考えてたんでしょ?」
「ぐっ……。」
テンテンに呆れられながらそう言われ、俺は言葉に詰まる。
言い逃れは出来ないようだ。
仕方ない。本当の事を話すか。テンテンは鳴海に告げ口するような奴ではないしな。
「今は気持ちを伝える気はない。鳴海自身が、元の世界に戻る事を望んでいる。」
「……ふ〜ん。」
納得いかない顔でこちらを見据えるテンテン。
「何だ、その顔は。」
「別にぃ。ま、ネジがそれで良いなら良いんだけど。」
「……だが、鳴海に何か贈ろうとは思っている。アイツは接近戦が苦手だろう。だから、俺の回天を封印できる何か……札か巻き物か…ーー」
「巻き物ぉ!? そんなんじゃダメよ!」
「なっ……なぜダメなんだ。」
「そんな色気のないもの貰ったって嬉しくない! もっと綺麗で可愛いものに封印しなきゃ!」
「き、綺麗で可愛い……。」
俺はただでさえ悩んでいた問題が、超難問になり頭を抱えそうになる。
「たとえば、そう、ブレスレットとか! ピアスとか!」
「確かに、鳴海は前に装飾品が好きだと言っていたな。」
「じゃあ、その線で行って! 巻き物やら札はなし!」
「わ、わかった。」
ブレスレットか…彼女は料理をしてくれるから、それよりもネックレスの方が邪魔にならなくて良いのではないか?
しかし、ネックレスか……。交際もしていない男から、女性に贈ってもいいものなのか?
なんかこう、重たくないか?
再び考え込む俺に、テンテンが呆れてため息を出す。
しかし俺はそれどころではない。
「テンテン。交際もしていないのに、装飾品を送るのは……こう、ちょっと重くはーー」
「何言ってんの! 大丈夫よ大丈夫! キラキラした可愛いもの贈られて嬉しくない女なんて居ないんだから!」
「そ、そういうものなのか。」
「そうそう。そうよ、大体ね。」
「おい、何か適当になってきてないか。」
だんだんと俺をあしらうかのような反応をするテンテンに不信感を抱きながらも、貴重な女性の意見を無下にすることもできない。
俺は里に帰って装飾品の店に行く予定を立てるのだった。
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*テンテン視点
まったく、ネジったら思ったよりもだいぶ奥手なのね。
そりゃあ鳴海からしたら、元の世界を捨てがたいのは当たり前だと思うわ。
でも、鳴海をよく見てたら分かる。
彼女だってネジを大切に思ってるってことくらい。
そしてきっと、鳴海は"元の世界に帰りたい"んじゃなくて、"どっちの世界で生きるか迷っている"のよ。
私は、ネジにも鳴海にも幸せになってほしい。
元の世界に帰ることが鳴海の幸せなら、それは仕方ないと思う。
でも、鳴海がこっちの世界やネジのことを大切に思いだしているなら、ネジが押して押して押しまくれば、"自分だってこっちで幸せになれるんだ"って自信になるじゃない。
ネジにはああ言ったけど、気のない男からブレスレット貰ったってそりゃキモいだけよ。
でも、鳴海なら、ネジを大切に思ってる彼女なら、絶対そんな風には思わない。
むしろ喜ぶはずよ。
プレゼントをあげた時の鳴海の反応、分かってはいるけど、一応ネジから報告してもらわなきゃね。
私は2人の今後の展開に期待しながら里に帰るのだった。