9ヶ月目
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「これからガイ班とアスマ班に任務を言い渡す! 攫われた木の葉の最重要機密である高槻鳴海を保護し、必ず生かして連れ帰れ!」
「「「は!」」」
綱手の言葉に頭を下げるガイ班とアスマ班。
綱手は言葉を続ける。
「敵の生死は問わん。アスマ班は、移動しながら高槻鳴海という最重要機密ついてネジに聞いておけ。散!」
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俺たちは暗部の者達が残した印を頼りに森を駆け抜ける。
気付けば俺が先頭を駆けていた。
「ネジ! ペースを上げすぎだ! もう少し慎重に行くぞ!」
アスマの言葉に少々苛立つ俺。
「俺が慎重でないとでも? 敵の目的が分からない以上、急がないと手遅れになるかもしれないんだぞ!」
そう言う俺にシカマルが口を開く。
「ただでさえ、高槻鳴海っていう人物について話してもらわなきゃなんねぇのに、このペースじゃ、ばてちまうぜ?」
シカマルの言い分も最もだ、と思う。
しかし俺は、はやる心を抑えられないでいる。
どうしてこんなに心を掻き立てられるんだ。
……いや、今は任務に集中しろ。
「……。そうだな。まずは鳴海について簡単に話す。疑問は後からにしてくれ。」
俺はややペースを落とし、彼女と高槻一族についての全てを話し出した。
アスマ班のメンバーはにわかには信じ難いという雰囲気を出している。
「異世界って、そんなこと有り得るの!?」
いのが驚きながら言う。
「ちょっと待て。そんなことより、高槻鳴海がこっちに来たのが9ヶ月前ってんなら、その世界の危機ってやつはあと3ヶ月程度で起こり得るってことじゃねぇか。もし今回の件がそれに関係しているなら、この任務、失敗するわけにはいかねぇ。」
俺はシカマルの言葉に頷く。
「そうだ。だからーー」
しかしシカマルがそれを遮る。
「だったら、もっと冷静に行こうぜ。ネジ。」
「何?」
その言葉に思わず俺は奴を睨む。
「らしくねぇぜ? 敵の目的は今はまだ分からねぇが、ターゲットである高槻鳴海を見つけた時点では殺そうとせず捕獲した。つまり、敵には彼女を生かしておく理由があるのかもしれねぇ。となると、すぐに殺されるって確率は低い。とりあえず落ち着け。」
「……そのくらい、俺も分かっている!」
「だったらまずは、暗部の奴らが付けといてくれたこの印を追って敵の居場所を探しつつ、作戦を立てる。」
「敵は煙玉を使って逃げた。能力などは今だ未知数だ。どう作戦を立てる。」
俺の言葉にシカマルは待ち前の頭を働かせているようだ。
「……とりあえずは敵が2人だけの場合と、他にも複数いる場合に分けてフォーメーションを何パターンか考える。あとは敵を見つけ次第、臨機応変に……ってやつだ。」
「……わかった。」
そうして俺たちはフォーメーションを確認しながら、移動していく。
その時だった。
「……! 待て!」
ガイの言葉に立ち止まる俺たち。
ガイはある地点を指差した。そこには倒れている2人の暗部。
トラップである可能性も頭に入れつつ、ゆっくりと俺とアスマで近づく。
俺は彼らのしている面を確認する。
「間違いない。鳴海の監視に付いていた暗部達だ。」
「トラップ……ではなさそうだな。」
アスマの言葉に頷く。
つまり、この2人の暗部を奴らは行動不能にしたということだ。
「まだ息がある。いの、応急処置だけしてやれ。任務終了後に連れて帰るぞ。」
「はい!」
アスマが、いのに指示を出す。
いのが暗部に処置をしている間も俺は鳴海のことが気になって仕方がない。
「くそっ!」
そう呟きながら、気を紛らわすため辺りを歩く。
シカマルが珍しそうに俺を見ているとも知らず。
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*シカマル視点
俺は今、珍しいもんを見ている。
あのネジがただの任務対象である女のために、こうも動揺するとはな。
いのが暗部達を治療している間、ネジは右に歩いたり左に歩いたりと落ち着きがない。
こりゃもう、その高槻鳴海って人のことをただの任務対象として見れてねぇな。
この任務、めんどくせぇことにならなきゃいいが。
「ネジ! ちょっとは落ち着きなさいよ! 鳴海なら大丈夫よ! あんなに一緒に修行してたじゃない!」
テンテンの言葉にネジは噛み付く。
「修行したと言っても、彼女はまだ下忍レベルだ!」
どうやらネジは彼女の教育係でもあったらしい。
それにしても、9ヶ月一緒にいたってだけでこうも絆されるもんかねぇ。
しかも、あのネジがだぜ?
特別な奴ができると、人ってのはこうも変わっちまうもんかねぇ。
それともネジがそうなだけなのか。
まぁ、この任務と世界の危機って時にめんどくせぇことにならなきゃ、別に何でも良いがな。
それにしても、ネジをこんなにしちまう女ってのがどんな奴なのかは、ちっとばかし気になるな。
話を聞く限り、彼女がスパイである線は俺から見ても薄い。
恐らく綱手様が言うように、本当に彼女は高槻の末裔なのだろう。
世界の危機とやらが訪れ、最悪の未来を変える可能性のある女。
そんな重要な人物、みすみす死なすわけにはいかねぇ。
ネジじゃねぇが、ここで時間食っちまったぶん少し急いだ方がいいかもな。