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真の歴史へ・その三

「なあルシオラ、これ何の行列なんだ?」

オフィス街を後にした二人は、何故か若い女性が並ぶ行列に並んでいた

ルシオラがちょっと買い物をしたいと言うので並んではいるが、横島は何の行列かすら知らないままである


「今、話題のスイーツなんですって! せっかく近くまで来たんだから、絶対買わなくっちゃね」

先程とは全く変わり目を輝かせてるルシオラの姿に、彼女が魔族だと気付く人は居ないだろう

まあルシオラは元々戦闘系の魔族ではないし、三姉妹やメフィストを見てもわかるように元々神族であったアシュタロスの影響が強いのかもしれない


「ルシオラ、まさかこっちが本命か?」

南部グループの本社や関連会社を数ヶ所見て来た二人だが、特に得る物はないままだった

ルシオラの表情やテンションを見てると、どっちかと言えばこのスイーツが目的な気がしている


「どっちでもいいじゃないの。 人生楽しまなくっちゃ!」

甘いスイーツを目の前にしたルシオラは上機嫌で横島の腕を組み寄り掛かるが、周りがほとんど女性なため横島は若干居心地が悪そうだった



「あら、あんた達何してるの?」

行列に並んで30分ほどした頃、横島とルシオラの近くをオカルトGメンの制服を来た令子と西条が歩いて来る

どうやら近くで仕事があったようだ


「こんにちわ、美神さん。 私達はショッピングよ。 オカルトGメンは相変わらず忙しそうね」

「GSは気楽でいいわね~ 暇なら代わってくれないかしら?」

ケーキ屋の行列に並ぶ二人を、令子は少し羨ましそうに見つめる

別に令子に見せ付けてる訳ではないが、自然に腕を組み寄り添う二人はイチャイチャするバカップルにも見えなくもない

毎日忙しくタダ同然で除霊している上、美智恵の隠し事などで血生臭い環境にあるだけに令子は幸せそうな二人が羨ましくて仕方なかった


「令子ちゃん、そろそろ行こうか? 早く次に行かないと残業になるぞ」

令子の様子に微妙に居心地の悪さを感じた西条は、先を急ぐように歩き出して行き

それに続くように令子も歩いて行くが、足どりは重いように横島達には見えていた


「相変わらずみたいだな……」

「よく頑張ってる方じゃないの? まあ香港の時の経験が、あんまり役に立ってないみたいだけど」


西条と令子の後ろ姿を見つめる横島とルシオラは、微妙に苦笑いを浮かべている

相変わらずオカルトGメンの仕事にやる気を見いだせない令子だが、性格を考えれば仕方ないとも言える

一方令子にしては頑張って続けてると思うルシオラだが、香港で命の危機があった割に緊張感が無い事が少し気になっていた


「元々意味も無く強くなりたいって人じゃないしな~ それに未来に比べれば幸せなのが原因だろうな」

やる気が無くストレスを抱えているように見える令子だが、横島には未来よりは幸せに見えている

美智恵や西条が共に居るのは、やはり令子にとっては幸せなのだろう

まして未来と違い横島やおキヌという仲間も居ない

必然的に令子は美智恵や西条を求めるし、二人も令子に答えるがゆえに令子が必要以上に危機感を持たないと横島は考えていた


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