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真の歴史へ・その三

結論がまとまらぬまま数分が過ぎた頃、小竜姫は決意したように横島達を見る


「今回は私に任せて下さい。 元々未来での警告が甘かった事が原因です」

横島達にそう告げた小竜姫は、一人で美智恵が捕われている亜空間に瞬間移動して行く



その頃、美智恵は必死に心を落ち着けて状況判断をしようと努力していた


(落ち着いて考えるのよ。 来た以上は帰る方法もあるはず)

気がおかしくなりそうな状況にも関わらず、なんとか冷静に脱出の方法を探る精神力はさすがとしかいいようがない


『何故、時間移動したのですか?』

それは耳から聞こえた声ではなかった

突如頭の中に響く声に、美智恵は己の立場を悟る


『小竜姫…さ…ま』

心のつぶやきすらも震えてしまうほど、それは美智恵にとって最悪の結果だった


『答えなさい。 何故ですか? あなたほど時間移動を経験した人間なら、その危険性を誰よりも理解してるはずです。 それなのに何故……』

頭に響いてくる声からは何の感情も感じないほど、小竜姫は淡々と語っている

それは美智恵にとって、まるで死刑宣告を読み上げられてるような気分だった


『私には、もう他に方法が…… それにせっかく定まった歴史を変え始めたのは小竜姫様達じゃないですか!!』

動揺を最小限に抑え反論する美智恵だが、それが自分への矛盾を言ってるのと同じだと理解している

今彼女を支えていたのはどんな立場や状況におかれても必ず勝つという、美神家の女のプライドだけだった


『では、あなたは私の敵になるのですか?』

その言葉に美智恵は何も答えられない

美智恵は令子を守りたいだけだが、最早どう答えようと結果が変わらないと理解してるようである


『答えるつもりが無いようですね。 では今後は貴女の能力による時間移動は一切認めません』

その言葉に美智恵は、自分がどうなるのかわからないまま己の運命を待つしかなかった

体はかろうじて動くが、こんな何も無い空間では何も出来ない



『えっ!?』

美智恵がここに飛ばされて始めて目にしたのは、小竜姫と横島達三人だった


『貴女の時間移動能力は封印させて頂きます』

頭に小竜姫の言葉が響くと、横島達は美智恵を取り囲むように周囲に移動する

固まったままの美智恵に、横島達は何かの呪文を唱えるが空間のせいか美智恵には一切聞こえない

それはあっという間であった

横島達から霊力を感じた美智恵は、自分に何かの術がかかったのを感じる


『なっ……、何を……』

『美神美智恵さん。 貴女の時間移動能力は私達が封印しました。 これは私達四人のオリジナルの術です。 四種の力を絡ませた封印術ですから、神魔界でもおそらく解呪するのは不可能でしょう。 そして今回が最後通告です。 何らかの方法により封印を解呪して、次に時間移動をしたら今度こそ貴女そのものを封印します』

驚き戸惑う美智恵に小竜姫は淡々とした言葉で語っていき、美智恵は何かを答える間もなく意識が遠退いていった



「ちょっ……!?」

美智恵が目を覚ましたのはオカルトGメンの自室である


「夢……? いえ、私は時間移動をしたはず……」

全身から溢れてくる冷や汗を抑えつつ、美智恵は先程の事を考えていく


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