このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

真の歴史へ・その二

横島達や美智恵の監視の目が光る中、メドーサ達は原始風水盤の作成を進める

そして同時進行に針の作成も進められていた


「風水師が謎の失踪か…」

新聞の社会面の隅に書かれた小さな記事を見る横島は、複雑そうな表情をする

数名の有名風水師が相次いで謎の失踪をしているというその記事は、何処にでもある普通の事件と同じく小さな扱いだった


「とうとう被害者が出てしまいましたね…」

小竜姫は悲しそうにつぶやく

未来を知り、己の実力を日々精進しても救える命など、たかが知れている


世界は生きている

生きている以上競争や争いは無くならないし、強い者が生き残るのが当然の摂理ではあるのだが…


小竜姫はそれでも死にゆく者のことを考えてしまう

そして、せめて自分の心には残しておこうと決めている


たとえ偽善と言われようが、自己満足と言われようが

小竜姫は常に全力で戦い抜いてきたのだから、己の考えに信念を持っていた


「計画も最終段階に入ったわね。 後はあの人が余計なことしなきゃいいんだけど…」

難しい表情をしながらノートバソコンを覗き込むルシオラ

彼女が見ていたのはオカルトGメン本部のデータバンクであった


「やっぱり動いたの?」

小狐状態のタマモは、ルシオラの肩に乗りパソコンを覗き込む


「ええ、風水師失踪事件の捜査の為に明日香港へ向かうわ。 オカルトGメンの出張所しかない香港で活動するために、わざわざ裏でメドーサの情報を香港自治政府に流したみたい」

ルシオラはため息混じりに困ったように説明する

予想していたとはいえ、当然のように介入する気配を見せる美智恵に頭を悩ませていた


美智恵は香港で活動する大義名分を得る為に、香港自治政府にメドーサなど過激派魔族が香港に滞在すると言う情報を裏から流している

その上で香港自治政府のメンツを保つために、密かにメドーサを調べ排除すると言う約束まで取り付けていた


オカルトGメンの本部が動くにはそれなりの証拠や理由がいるし、かなり目立つのだ

オカルトGメンの本部が動けば、自国の霊的防衛を出来ないと認めるようなものである


美智恵はそのあたりの事情を上手く利用して、本部と香港自治政府の両方に恩を売り、なおかつ原始風水盤に介入する大義名分まで得ていた

このあたりの政治的駆け引きはさすがと言えるだろう


「実質メドーサと戦うのは私達にさせて、あの人が欲しいのは結果だけよ」

少し不機嫌そうな小狐タマモは、かなり迷惑そうにつぶやく


「アシュタロス戦に向けて成果が欲しいか… と言うことは、美神さんも介入してくるかもな」

ルシオラとタマモの会話を聞きながら、横島は美智恵の行動を考えていた

アシュタロス戦までに令子には、一流の霊能者としての成果がいるだろうと思っている

でなければ世界GS協会やオカルトGメン本部の美神令子暗殺を抑えれない


つまり令子がアシュタロスと戦えると思わせるだけの実績が居るのだ

でなければいかに美智恵が裏工作しても、令子の暗殺は防げないだろう


「やり方が未来のアシュタロス戦と似てますね。 美神美智恵さんのお得意の戦法でしょう」

未来では人間のみならず、神魔まで美智恵に利用された

小竜姫はそんな美智恵のやり方に怒りを感じている


50/100ページ
スキ