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GS試験再び!?

「横島、大丈夫か?」

「大丈夫だよ。 ちょっと寝不足なだけだしな」

次の日になりこの日は一人で試験会場に向かう事になった横島に心眼が少し心配そうに声をかける

前日に続き横島はあまり眠れてなかったのだ

突然の過去への逆行に横島は精神的に参っていた

これから先アシュタロス一派との戦いを再び行わなければならない事もストレスになっている

流石に精神的に不安定にはならないが、心眼は予想以上に横島が参っている事が気掛かりだった



「おはようございます」

「あんたは変わんないわね。 普通はもっと緊張するもんよ」

会場に到着してミカ・レイ姿の令子と会話をする横島だが、いつもと変わらず緊張感のない表情である

令子はそんな横島の姿に何故かホッとして、昨日は考え過ぎたのかと思う


(こやつ……)

先程まで寝不足気味で冴えない表情だった横島が、試験会場に入るといつもの軽い表情になっている

その豹変に心眼は思わず感心してしまう

横島の過去の記憶は知ってはいるが、実際に目の前で豹変されると感じ方が違うようだ


「緊張って言っても、俺は心眼の言う通り動くだけですしね」

ヘラヘラと笑って答える横島に令子は疲れを感じるが、そんな中で二人は会場の隅で悩むピートの姿が目に入る


「よう、ピート。 どうしたんだ?」

「横島さん……、ダメです。 僕、次の試合勝てる気がしないんです」

横島と令子を前に前日苦戦した事を理由にピートは弱音を吐く


(こいつはいろいろ背負い過ぎなんだよなー)

横島は未来でのピートを思い出して思わず同情してしまう

ブラドー伯爵の息子として、ピートはブラドー島の多くの仲間達の事を背負っている

それがどれだけ大変かは、今の横島なら理解出来た


「甘ったれんじゃないわよ! 700年も生きてて情けないわね! 男ならシャンとしなさい!!」

横島がふと未来を思い出していた隙に、令子がピートの頬をビンタして喝を入れていた


「しかし、僕は唐巣先生の教えすら満足には……」

「先生に教わった事が全てじゃないでしょ。 自分の力を自分で引き出してみなさい」

(よく正体バレないな)

キツイ言葉を残し去っていく令子だが、横島はここまで言われてピートが何故令子の正体に気付かないか不思議だった


「どういう事でしょう?」

「俺に聞くまでもなく、お前なら分かってるはずだと思うけどな…… 余計な事考えないで全力出せよ。 守りたいモノがあるんだろ? なら変なプライドなんて捨てちまえばいいと思うけどな」

「横島さん……」

混乱するピートに困ったように答える横島だが、その答えはピートをハッとさせてしまうものだった



「余計なお世話だったかな?」

「そうでもないと思うが。 しかし美神殿もなかなか味な真似をするな」

歴史にない余計な一言に少し悩む横島だが、言わずにはいられなかったのだ

吸血鬼と人との狭間で悩むピートを知るがゆえに、黙っていられなかったのである

そんな横島とは別に心眼は、令子がピートにアドバイスした事に感心していた

それは令子の都合もあったのだろうが、アドバイス自体はまともなものである


(美神殿も横島をもう少しまともに扱っていればな……)

過去に来て以来すれ違い続ける二人に心眼は運命の難しさを感じずにはいられなかった
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