このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

ただ今修行中!?

一方、GS試験後のオカルトGメンには三名の新人が入っていた

いずれも先日のGS試験を一次審査で落ちた霊能者であり、能力的にも実戦で使えるレベルではない

この三名に共通するのは、以前はGS事務所に所属して修行していたが様々な理由により事務所を辞めた者である

辞めた理由は雇い主と反りの合わなかった者や、待遇の悪さに嫌気をさして辞めたなどで

先日のGS試験に合格すれば何処かの事務所に就職するつもりだったようだが、一次審査で落ちた程度の霊能者を簡単に雇う事務所はない

まして前に他の事務所を辞めた経歴がアダとなり、三名とも行き場が全くなかったのだ


美智恵はそんな三名をオカルトGメンにスカウトしていた

霊能の修行をしながらちゃんとした給料が貰えると言う甘い言葉に、三名は引っかかったようである


「皆さんの立場は臨時職員という事になります。 しかし能力次第でいつでも正式な捜査官になれますし、GS免許もいずれ取得出来るでしょう。 仕事は厳しく大変ですが、皆さんの将来に必ず役に立つので頑張って下さい」

オカルトGメンの制服に袖を通した三人に、美智恵は緊張感漂う表情で挨拶していた

苦労してやっと加入した新人だが、美智恵自身も内心は期待と不安の入り混じった気持ちである


(才能がどれだけ伸びるかも問題だけど、大変なのは性格なのよね)

以前にGS事務所を辞めた経歴のある三人だけに、オカルト業界が肌に合わない可能性が高い

それに性格的に問題がある可能性も高いために、三人の育成は慎重な対応が求められる

人材難のオカルトGメンでは贅沢は言えないのだが、美智恵は先を考えると気が重くなるようだった



「あの、オカルトGメンには現在何人の捜査官が居るのでしょうか?」

三人のうちの一人は少し緊張しながら美智恵に質問をする

オカルトGメンの事務所は美神事務所の隣のビルのワンフロアを借りた場所であり、彼は想像以上に小さいと感じたようだ

しかも事務員が数名と警視庁から出向している警察官が数名しか居ない事から不思議に感じている

アシュタロス戦以降どんどん存在感が増しているオカルトGメンが、まさか二人しか正式な捜査官が居ない事は意外と知られてないようだ

「現在は正式な捜査官は私を含めて2名。 従ってあなた達も努力次第では早期に正式な捜査官になる事も可能です。 オカルトGメンの捜査官の経歴は、あなた達がGSになった後も役に立つわよ」

言いにくい質問をされた美智恵は一瞬表情が変わるが、すぐに笑顔になりうまく取り繕っていく

まあ言ってる事に嘘は無いのだが、オカルトGメンが通常のGS事務所より危険な事など負の面はあまり話さなかった


(どうせ当分は危険な仕事には使えないし、今教える必要は無いわね)

美智恵としては彼らを危険に曝すつもりはない

それどころか、三人のうち一人でも正式な捜査官になれれば儲けものだと思っている

そんな彼らのような半端な霊能者を雇った理由の半分は将来性を期待した事、そして後の半分は単なる人数増やしのためだった


オカルトGメンの組織の拡大は急務の課題であり、日本政府やICPO本部へ一定の結果を出す必要があったのだ

さすがに今年も新人がゼロだとは報告出来ないために、半端者で数だけでも増やそうとした苦肉の結果だった


11/26ページ
スキ