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終わりと始まり

その日の夕方、GS協会の長い会議が終わった頃、美智恵に一本の電話が入る


「はい、お世話になってます……」

美智恵はその電話を受けて愕然としてしまう

話の内容は横島がGSを辞めたこと

そして、GS協会としてはこの件に関して行動しないことなど、会議の結果が伝えられていた


「これは私個人の意見だが、これ以上事態を荒立てるのは辞めた方がいい。 協会内部には美神家への根強い不満が多い。 横島忠夫が辞めた事に関しては、君達親子へ責任を問う声も少なくなかった」

協会幹部は遠慮がちに話を続ける

真実を知る者は美神家の味方は少ないと…


多大な被害を及ぼしたアシュタロス戦

その真実が美神令子を狙った事件だと知る者は、決していい顔はしてない


日本のみならず、世界中に大多数の死傷者をだしたあの事件

GS協会の被害も甚大であった

それなのに、原因の美神親子が一番得をしている

その事実に関係者は皆内心面白くないのだ


「しかし! あれは…」

美智恵は自分達も被害者だと訴えようとするが


「誰も君達が全て悪いとは言ってない。 ただ、あの大霊症は美神令子を暗殺してれば防げたと思ってる人は多いのだ。 それが結果的に君達だけが得をしている。 実際暗殺した後のアシュタロスの行動や被害など誰も予想も出来ないしな…」

言葉を選びながら話す幹部だが、言い換えればこれ以上騒ぎ立てれば自分は庇いきれないと言うことを暗に伝えていた


「六道家は何と…」

感情を押し殺した美智恵は、最終的に判断するだろう六道家の意向を聞く


「横島忠夫に関しては、余計な接触はするなと言うことだ。 美神家に関しても今回は不問だそうだ」

幹部が電話を切ると、美智恵は受話器を置くと一人考え込む


(まさかGS免許を返すなんて…)

ある意味横島と令子の最後の繋がりであったGS免許

それを辞めたその日に返すとは…


(それに先生はこの件を早く終わらせたいのね…)

現在の美智恵では六道家の意向には逆らえない

いかに一般社会に絶大な人気と信頼があっても、オカルト業界は六道家の天下である


美智恵は一般社会の人気と信頼を背景にオカルト業界で美神家の繁栄を企んでいるが、六道家と対立することは無謀過ぎるのだ


(また六道家に繋がれる鎖が増えてしまった…)

美智恵は悔しそうに拳を握り締める


虎の子の横島を失ったばかりか、六道家に借りまで出来てしまった

美神家の一番のウイークポイントであるアシュタロス戦の真実がある限り、自分達親子は六道家の手から離れられないことに悔しさを隠しきれない


(しばらく大人しくして事態を鎮静化するしかないわね)

美智恵はそう考えて静かに仕事に戻る



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