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二年目の春・9

さて麻帆良カレーの視察を終えた横島達は、納涼祭の打ち合わせに参加していた。

こちらは二日目の午後に素人料理コンテストが予定されていて、横島と木乃香とタマモが審査員をする予定になっている。

「参加者百八十六名ですか。」

「多いな。」

「急遽予選会を行ってます。」

ただこちらの素人料理コンテストは賞金十万でろくに宣伝もしてない麻帆良祭では弱小イベントのはずが、意外に参加者が多く、納涼祭実行委員会のメンバーは急遽予選会することにしたらしい。

実はすでに今日予選会が行われていて、本番は二十四名まで絞られて料理大会本選を行うようだった。

一応プロや飲食店経営者は除外にしたのだが、調理科の学生などを中心に料理自慢の学生がかなり参加してるようである。


「審査かぁ。 難しいよな。」

「審査委員長は横島さんですよ。」

「俺がやんのか!?」

「大人ですし、部外者を呼ぶと謝礼金とか必要ですし。」

元々それほど大きなイベントにするつもりはなく、場所もお料理研究会の試食会場を借りるくらいなので、とりあえず自分達で手間とお金を掛けないイベントにする予定だった。

当然料理の審査も身内がやるので、他には超鈴音も予定しているが、成人であり店を持つ横島が審査委員長には最適なのだ。


「まあ、当日は審査員全員による評価で決めますから。 審査委員長はあくまでも形式的なものですよ。」

「なら大丈夫か? 俺料理の審査なんてやったことないからなぁ。」

こちらのイベントは急遽決まったので、バタバタしていて横島に審査委員長の話を伝えてなかったらしい。

当然経験がなく、人の審査なんて柄じゃないと抵抗する横島だが、それなりに麻帆良で知られた審査員を用意しないと不満が出る可能性もあるので、周囲になだめられながら了承することになる。


「これで終わりか?」

「そうですね。」

その後は当日の打ち合わせをして納涼祭のメンバーと分かれた横島達は、店舗に戻る時間までまだ余裕があることから、ぶらぶらと歩きつつ屋台やイベントの準備してる様子を見て歩いていた。


「どうせならミスコンの審査員とかの方が……」

「横島さんには来ないでしょうね。」

「何でじゃー!」

ちなみに横島はどうせ審査するならミスコンの審査員とかが良かったと、ぶつぶつと愚痴を溢していたが、夕映にそれはないと否定されてしまう。


「逆に考えてみて下さい。日頃からモテモテで複数の女性と遊ぶようなチャラチャラした人に、 ミスコンの審査員など頼みますか?」

「絶対に頼まん!」

「客観的に見て横島さんは、そっち側に見られてるのですよ。」

それは別に横島が悪い訳ではないが、日頃から少女達に囲まれてる横島にミスコンの審査員など頼む人は居なかった。

ミスコン自体はあるが、真面目に選ぶものがほとんどなので、審査員もかなり選ばれた人になる。


「俺って、やっぱりそんな見られ方してるんだな。」

「まあ半分は誤解ですからね。」

「うん。」

横島自身も流石に全く理解してないなんて、頓珍漢なことは言わないが、改めて客観的な見られ方を突き付けられると少し落ち込んでしまう。

ただ夕映とのどかですら半分は誤解だと言うように、いろいろ勘違いが重なってるのも事実だ。

しかし、半分は真実だと夕映達ですら思うのが現状になる。


「こうなったら、とことんやってやろうじゃないか!」

「また女の人増やすんですか?」

「人聞きの悪いこと言うなよ。 開き直るだけだ。」

ここまで来ると落ち込むのも諦めて開き直る横島であるが、夕映にはきっちりと、これ以上女を増やさないようにな釘を刺されることになる。

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