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二年目の春・6

「いい感じに育って来たな。」

それから数日が過ぎた早朝のこと、横島はタマモとさよと二体のハニワ兵と共に庭に出ていた。

今年は坂本夫妻の妻が庭の土作りから植え付けの計画などかなりの部分で手伝ってくれたので、庭の植物は昨年よりも計画的に植えられている。

昨年の春は横島の気分でなんとなく始めた庭の花壇と家庭菜園であるが、今年は麻帆良亭時代と同様に店の窓から近い場所には花壇を作り植え替えなどを上手くすることで春夏秋冬の花を一年を通して楽しめるようにしようと挑戦中だ。

家庭菜園の部分は夏野菜を中心としたオーソドックスな物を植えたが、土作りなどが去年とは違うので今年は期待していて庭を囲む壁沿いに植えられた柿などの果樹の木も今年は剪定や選別をしっかりすることで昨年より良い収穫が期待されている。


「これはざっそうで……、これはざっそうじゃない。」

そんなこの日であるが季節は春から梅雨に向かっていて草木もすくすくと成長しているものの、雑草もかなり増えて来たので早朝に少し時間を作ってみんなで草むしりをすることにしたようであった。

タマモはまだ生まれたばかりで未熟な白いハニワ兵には自分が教えるんだと張り切っていて、一つ一つ丁寧に雑草と植えている植物を教えた後には自身も確認するように一つ一つ慎重に雑草を抜いていく。


「おはようございます。」

「おっはー。」

「おっはー。」

本来は地味であまり楽しい作業ではない草むしりもタマモやハニワ兵達は楽しいようで騒いだりしながら続けていくが、しばらくすると何時ものように茶々丸が妹である初音と鈴江を連れてやって来る。


「おっはーって、懐かしいな。 誰から教わったんだ?」

「近所の子供に教わりました。 最新の流行語だと言うので私達も流行に乗るべく取り入れました。」

「三年くらい前の最新の流行語だけどな。」

横島としては本来はエヴァの家でしばらく目立たぬように稼動させればと思っていた初音と鈴江であるが、横島が知らぬうちにタマモが散歩に連れ出すなどしてしまい最近ではすっかり街の話題の人となってしまった。

しかもこの二人は茶々丸の双子の妹だとしていることやタマモと散歩したりしてることでよく街の人に声をかけられるらしく、変な言葉を覚えて来たりしている。

この日は最新の流行語だと冗談で子供に教えられた言葉を本当だと信じて使ってしまったようで、それがすでに流行語ではないと横島が告げると二人揃ってガーンと落ち込んでしまう。


「同情するなら金をくれというのは?」

「それ十年も前の流行語だよ。」

「世の中には悪い人が多いです。 二人とも気を付けねばダメです。」

「いや、軽い冗談だろ。」

どうも二人は世間知らずなお嬢さんというイメージで見られてるらしく、少しからかわれたりしているようだった。

他にも最新の流行語だといろいろ教わったらしいが、どれも懐かしいものばかりで初音と鈴江は更に落ち込んでいき茶々丸が二人が人に騙されぬようにと教育をしていくが横島から見るとちょっといじられてるだけである。

まるで意図的にボケてるように反応が面白いのでからかわれたりしているのだろうが、そもそもこの二人にそれほど面白い反応をするようなプログラムはしてなく何故こんな方向へ発達するのか横島も首をかしげていたが。


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