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二年目の春・2

翌日には麻帆良春祭りがいよいよ開幕する。

残念ながら桜の開花宣言はされてないが一部の桜ではようやく桜が咲き始めていた。

まだ桜の花はないが各地の祭り会場では早くも花見と称して宴会をしている人で賑わっているらしい。


「どうも、なかなか盛況みたいっすね。」

そんなこの日の横島は夕映とあやかとタマモと共に春祭りの会場の一つである世界樹前広場に来ていた。

実は今年の春祭りには麻帆良カレーの実行委員会の屋台も出店していて、横島達はその手伝いというか挨拶に来ているのだ。


「ええ、出だしはいいですね。」

相変わらず麻帆良カレーに関しては横島はほとんどタッチしてないものの、麻帆良カレーの開発者として名前を公表してからはそれなりに反響があり関わりが無くなった訳ではない。

あやかに加え横島の代理である夕映とのどかが地味ながら最低限の役割は果たしているので、横島は今回のように時々顔を出してるくらいであった。

この日は春祭りとはいえまだ桜の花のない会場は少し物足りない印象はあるが、学園がすでに春休みであることや春祭り初日であることもあって会場は賑わっている。

横島は屋台で働く関係者に挨拶をして世間話程度の挨拶をするだけであるが、横島とタマモが姿を見せると何人もの人に声をかけられ麻帆良カレーの屋台にも人が集まって来てしまう。

この一年で有名になった横島なだけにある意味当然のことであるが。


「マスター、またなんか面白いこと始めるの?」

「お前ら、人を何だと思ってるんだ。 今日は挨拶に来ただけだよ。」

特に女子中高生なんかは横島≒面白いことをすると考えてる者も居るらしく、何か突発的なイベントかと期待して集まって来る者も多い。


「あっ、タマちゃんだ。 これあげる。」

「ワーイ! ありがとう!!」

ちなみにタマモはここに来るまでにお面とヨーヨーとチョコバナナを友人達などから次々と貰い、横島が何一つ買い与える必要が無くなっていたりする。

一緒に来て手を繋いでいた夕映はあまりに次々と貰うタマモの代わりにお礼を言ったりと大変だったが。


「花見でカレーってのも珍しいっすけど売れてますね。 でもどうせなら酒のつまみになるようなメニューも欲しいような。」

そのまませっかく来たのだからと味見を兼ねて麻帆良カレーを食べる横島であるが、他人が作った麻帆良カレーは久々に食べるだけに意外に新鮮に感じて美味しかった。

ただ元々お祭り騒ぎが好きな横島としては純粋な麻帆良カレーの販売のみではなく、花見にぴったりな限定メニューでも作ればどうだろうと若干余計なことを考え始めてしまう。

現実問題として麻帆良カレーの屋台は十分盛況であり、余計なことをする必要ないのだが。


「カレー味のおでんとかってどうだろう? 帰ったら試作してみるか。」

一人でぶつぶつと考え始めた横島は閃いたとばかりに新メニューのアイデアを屋台の関係者にぶつけるも、突然すぎて流石に関係者は困り顔である。

とりあえずあやかが試作をしてみてから検討してはと妥協案を提示して話を収めることになる。





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