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平和な日常~冬~5

結局横島よりも説得力があるさやかの一言により家族を集めての親睦会のようなものを開くことは決まるが、流石にこの場ではそれ以上は決まることはなかった。


「早くても夏休みでしょうね。 集める人が多いから日程の調整は必要だもの。」

家族を含めた集まりと言うのは簡単だが麻帆良に居ない家族も多く社会人である以上は仕事を休むのは簡単ではない。

二月に入ったばかりの現状で調整を初めても春休みは間に合わないだろうし、実際には夏休みになるのではとさやかは語る。


「しかしなんと言いますか……。」

「予想外かしら? でもおかしなことじゃないのよ。 貴女達も来た先月の新年会とか我が家では年に数回はパーティを開くけど、あれも必ずしも私達がパーティ好きだから開いてるんじゃないわ。 我が家のパーティは一種の接待でもあるし友好を深める仕事でもあるの。」

ただやはり夕映やのどかや明日菜は不安なようで大丈夫なのかと悩む様子ではるが、そんな夕映達にさやかは自らの考えを明かし交流する機会を作る意味を語り出す。

雪広家としてのパーティは長年の伝統や習慣でもあるが本質は接待であり、関係者との友好を深める仕事としても捉えていた。


「こういう言い方をすると反感を買うかもしれないけど、家の父や祖父が普通の接待をしても誰も感心してくれないわ。 そういう意味では父や祖父の立場だと新年会とかはあの規模でやらざるを得ないのよ。」

雪広家とて別に日頃から贅沢三昧な訳ではなく特に当代当主の清十郎は意外に庶民的な男だったりする。

実際のところ家屋敷は先代から受け継いだものであるし日常生活においても、食べきれないほどご馳走を作ったり毎晩豪華な夕食を食べてる訳ではないらしい。

ただ身の丈に合った接待をと考えるとあの規模でやらざる負えないという雪広家の本音を語っていく。


「タマちゃんはどこかな~? みつけた!」

「うわっ、みつかっちゃった。」

一方美砂達三人にハルナ・千鶴・夏美・タマモの七名はクルーザーの中を見学しながらかくれんぼをしていた。

広い船内には結構部屋があって、かくれんぼをしながら見学するのが楽しいらしい。


「運転は基本的に全自動で簡単な故障なら自己修復機能で治る。 水や燃料は基本的に必要ない。 簡単でいいだろ?」

「うむ、そうだな。」

そして横島はエヴァとあやかと木乃香を連れて船の説明をしていた。

本来ならば茶々丸にでも教えるべきなのだろうが、この日はメンテナンスの予定があり居ないのでエヴァに直接説明している。

ただ基本的には誰でも扱えるように簡単な仕様なので機械類が苦手なエヴァでも大丈夫だった。

燃料は基本的に大気や海中の霊力というか魔力を取り込むのだが太陽光発電のソーラーパネルも装備されていて、魔力と電力の変換システムにより魔力が薄いような地域でも満足に走れる優れものである。

ソーラーパネルに蓄電池や蓄魔力の装備もこの世界の基準より大分優れているので、燃料要らずで電気や水も使い放題になっていた。

ちなみに本来の販売の際には補助動力として普通の発電機も積んではいたが、エヴァには必要ないだろうと今回は搭載されてないが。


「技術者が聞いたら卒倒しそうですわね。」

「ほんまや。」

エヴァとしては何より操縦とメンテナンスが簡単なことに満足げであるが、あやかと木乃香はもしこれを普通の技術者が見たら卒倒するだろうと口にする。

横島の技術が高いのは今更だが、横島が説明もしなかった細かい技術がまだまだあるのは言わなくても分かる訳だし。

まあ実際に普通の技術者が見たらほとんど何も分からず、基本的な理論を理解するのもほぼ不可能だが。

基本的にこの船はカオス系の魔法科学と現代科学を合わせた技術の中でも漏れても問題ない程度にスペックダウンした技術で作ってるが、恐らく超鈴音でも調査に最低十年はかかる代物である。

横島としては別荘から出さないエヴァ以外には見せる気もなかったが。




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