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平和な日常~秋~

さていよいよ体育祭が始まる時間になるが、メイン会場の麻帆良総合スタジアムでは開会式が行われていた。

麻帆良学園自慢の麻帆良スタジアムは、国内トップクラスの収容人数と最新の設備兼ね備えた多目的スタジアムである。

基本的に学園の施設の一つではあるがスタジアムの運営は雪広と那波の両グループ共同出資の子会社が行っており、年間を通してスポーツやイベントなどに貸し出されることも多い。

まあそれでも月の三分の一ほどは学生達に無料解放されており、各種スポーツの試合や練習などにも活用されている。

開会式については主にメインスタジアムで行われる陸上競技の出場者達で行われるが、観客席は学生達の応援や保護者や地元の人々の見物人で賑わっていた。


「相変わらず凄い観客ねー」

そんな開会式に2-Aから出席していたのは、明日菜達などの陸上競技出場者である。

明日菜は広い観客席を見渡し、ほぼ満員に埋まったスタジアムに少し恥ずかしそうだった。


「ウチの学校の体育祭は、陸上の全国大会より観客多いからね。 ここで実力出せたら全国大会でも緊張しないって話だよ」

見渡せば中高生以上はすでに慣れた様子だが、小学生は明らかに緊張した様子である。

そんな小学生達を見ていた美空は、麻帆良学園の体育祭と陸上競技の全国大会を比べて笑っていた。

冗談のような話だが麻帆良学園の体育祭は観客も多く、種目によっては全国大会よりも観客が多いことも少なくないらしい。


「横島さん大丈夫かな? なんかまたやらかしそうな気が……」

明日菜達がこそこそと話をしてる間も開会式は長々と続いているが、明日菜はため息をつくと何故か横島を思い出して少し不安になっていた。

日頃からお祭りが好きで何かと騒ぎを起こす横島は、現在大学部近辺で行われるミニ四駆大会の予選に参加してるはずである。

横島の応援にとタマモと美砂・円・桜子の三人が着いて行ったが、明日菜は言い知れぬ不安を感じているようだった。


「一応大人なんだし大丈夫でしょ?」

「そうなんだけどさ~ 放っておくと何かやらかすから……」

まるで恋人や我が子の心配をするような明日菜に、美空は少々呆れた様子だ。

まあ美空も横島がどっか抜けていて何か騒ぎを起こすような気もするが、相手は大人なんだし他人がそこまで心配する必要はないと考えてるらしい。


「アスナも何だかんだ言って、マスターのことよく見てるよね~」

「えっ!? 別にそんなつもりじゃ……」

ぶつぶつと心配そうに呟く明日菜にニヤリと意味深な笑みを浮かべた美空は、特別な感情があるのかと言いたそうだが明日菜は美空がそう言う前に否定してしまう。


「普通は大人相手にそこまで考えないよ」

「それはそうなんだけどさ~ なんか放っておけなくって」

美空から見て明日菜の横島への感情は明らかに友人を越えている。

身近に横島に近い人間が多いのでさほど目立ってはないが、どう考えても年上の友人に向けた感情ではない。


(だんだん面白くなって来たわねー)

しかし美空の性格もいろいろと問題があることに、本人は気付いてないらしい。



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