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平和な日常~夏~2

同じ頃、近右衛門は朝から魔法協会の施設で魔法協会幹部による定例会議に参加していた。

この定例会議は月に一度の割合で開かれてる会議なのだが、参加者は関東魔法協会幹部や魔法協会各部署の責任者に雪広や那波といった裏に深く関わる協力企業の代表者もいる。

通常は雪広や那波などの外部の協力者はそれぞれに裏の仕事専門の責任者が定例会議に参加するのがほとんどだが、この日は雪広グループ会長である雪広清十郎と那波重工グループ会長である那波千鶴子が揃って参加していた。

毎年年始の定例会議には参加する二人だが、彼らがこの時期に揃って会議に参加することは非常に珍しい。

定例会議に参加する幹部や各部署の責任者達も、予期せぬ二人の参加に言葉に出来ない緊張感を感じていた。

そもそも二人は魔法協会の関係者ではあるが、組織の中の人間ではないので正確には外部の協力者である。

しかし関東魔法協会において雪広・那波の外部協力者は、実質的には近右衛門に匹敵するほどの権力を持っていた。

メガロメセンブリアの撤退以来約二十年、関東魔法協会の独立を影から支えてきた両者の力は想像以上に大きいのだ。


「皆集まったようじゃし、そろそろ始めてくれ」

そんな微妙な緊張感が漂う中、会議室を見渡した近右衛門は参加者が揃ったのを確認すると会議を始めさせる。

さて今回の定例会議の議題は麻帆良祭関連の報告から始まり、ネギ・スプリングフィールド関連の報告と今後の対応などが予定されていた。

その中でも麻帆良祭関連の報告は大きな問題もなくスムーズに進むが、ネギ関連の問題になると重苦しい空気が会議室を支配する。


「メルディアナ魔法協会からは正式な謝罪が来てます。 しかし同時に今回の件はスプリングフィールド前魔法協会会長の独断であり、メルディアナ魔法協会としては損害賠償はしないとの回答でもあります」

ネギの問題についてはネギと祖父が二人だけでメルディアナを旅立って一定の決着が着いたが、それで全て解決しないのが現実だった。

メルディアナは正式に関東魔法協会に謝罪はしたが、責任についてはネギの祖父の独断だったからとして今回に関わる損害の賠償などはしないとの立場を明確にしていた。

今回はこれに対する関東魔法協会の対応も決めねばならないのだが、正直会議の参加者達の表情は優れない。


「当面はメルディアナとの交流は停止するしかないですな」

「元々学園長と前任者の個人的な繋がりで行っていた交流ですからな」

メルディアナの対応はある意味予想通りのものだった。

幹部達が言うように元々メガロに近いメルディアナと麻帆良の交流が少なからず続いていたのは、近右衛門とネギの祖父との個人的な友情があったからなのだ。

加えてネギの祖父がメルディアナを去って以来、メルディアナはメガロメセンブリアの影響力が日増しに強まっている。

元々ウェールズ出身であるスプリングフィールド前校長の失脚の影響は大きく、メルディアナにはメガロメセンブリアと対等に渡り合える人材はいないらしい。



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