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平和な日常~夏~

それから数日経過した頃、タマモは徐々にだが現代の環境に慣れ始めていた

相変わらず漠然とした不安や恐怖は残っているが、同時に横島には何か特別なモノを感じてもいる

それが何なのかタマモ本人は全く分かってないが、何故か安心するのは自覚しているようだ

そして周りの人々が悪意もなく優しいことも、タマモの精神を安定させてる理由の一つである

例の噂のせいで学生を中心に妙に優しいことも、結果的にはタマモにプラスに働いていた


さてこの数日の横島だが、相変わらずノンビリと店の営業をする傍らで麻帆良祭関連の仕事も始めていた

昨日は開発が難航しているカレーの開発チームに、実際に料理を作りながら指導をしている

加えて生産する工場の設備や作り方などの詳細情報も聞いており、メニューの改良にも取り掛かろうとしていた

その結果レストラン用のメニューは比較的なんとかなりそうだったが、問題はやはりレトルトなどの商品開発だった

元々横島の考えたカレーは長期保存や大量生産を考えてないので、少なからず改良は必要なのだ



「この辺りは覚えた方がいいと思うな」

そしてこの日からは、再び明日菜とのどかにテスト勉強を教え始めていた

実はのどかには普段からテストに関係なく解らないとこを教えたりしていたが、一学期の期末テストが近づき明日菜が再び横島にテスト勉強を教えてほしいと頼んだのだ

相変わらずバカレンジャーと呼ばれることもある明日菜だが、本人は真面目に勉強してるつもりだしテストも気にしている

正直物覚えは良くはないが、横島自身が明日菜の気持ちを理解するからか解るように根気強く教えており明日菜に合ってるようだった


「もうすぐ夏休みか。 学生はいいな」

「その前にテストあるんですよ。 お願いですからテスト前に、夏休みだとか言っていきなり旅行とか行かないで下さいね」

先程から明日菜に勉強を教えつつ夏休みが羨ましいような発言を続ける横島に、明日菜は少し心配そうに突然夏休みを取るのは止めて欲しいと頼む

はっきり言って横島頼みなテスト勉強の明日菜なので、テスト前に横島が夏休みを取ると致命的だった

明日菜には横島が割と勢いで行動するタイプに見えるだけに心配らしい


「そんな急に夏休みは取らないよ。 予定もないしな」

心配そうな明日菜に予定も全くないと苦笑いをする横島だったが、計画性がない人間に見えるらしく明日菜は若干疑っている


「まあ一回は海に行こうとは思ってるけどな。 タマモを海に連れて行ってやりたいし、久しぶりにナンパもしたいしな」

「………子連れのナンパなんて成功するはずないと思いますよ。 それに成功したとしてどうするんですか?」

相変わらず冗談のような本気のようなことを言う横島に明日菜は冷静につっこむが、横島は笑っているだけだった


「そうだ、明日菜ちゃん達も一緒にどうだ?」

「ナンパしに海に行くのに誘われても……」

どこまで本気なのかと首を傾げる明日菜とのどかは、そもそも横島がナンパをするのか疑問に感じている

まあ誘ってくれるのは嬉しいが、何故普通に誘ってくれないのか不思議だった



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