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麻帆良祭への道

「お待ちしておりましたわ」

話をしながら建物を見ていく横島と木乃香だったが、レストラン予定の建物の前であやかと超と五月が待っていた

実はこの日は厨房の調理器具の確認に来たのである

超包子の中華用のガスコンロから横島が頼んだオーブンなどいくつか用意したらしく、最終的に現物を見て確認して欲しいとのことだった


「待たせてゴメンな。 珍しい物とか美人がいっぱい居てさ~ これでも寄り道しないで来たのにな」

いつもの調子で笑ってペコペコと謝る横島だったが、あやかや超達はあまり気にしてないらしい

実際約束の時間には間に合ったのだから謝る必要がないのだろうが、女の子を待たせた横島はちょっと申し訳なさそうである

そんな流れのまま厨房を確認する一同だったが、仮設にするのがもったいなくなるほどの設備の整った厨房だった

流石に新品ではないようで雪広グループの店で使っていた物らしいが、綺麗に清掃されており新品のように輝いている


「立派な冷蔵庫やね~」

「金持ちって奴はやっぱやることがでかいな」

超と五月は真っ先に中華料理用のガスコンロを確認し始めるが、横島と木乃香は横島の店の倍はあるだろう新型の業務用冷蔵庫に見入っていた

冷蔵庫に関しては特に注文を付けなかったので去年の使いまわしのようだが、それでも立派過ぎる大きさだった


「オーブンもフライヤーも問題ないな」

一応横島が頼んだ機器を確認するが、雪広グループの完璧な仕事に全く問題などない

他にはソフトクリームを作る機械も入っており、全部新品で揃えたら数百万じゃ足りないだろう


「これを無償提供とは太っ腹だな~」

「流石に新品ではないので、それほどではないようですわ。 基本的に毎年使いまわしてるそうです」

予想以上の厨房に横島も超達も満足そうだが、実際はそれほどお金はかかってないらしい

雪広グループは麻帆良祭への出店の他にも、イベントなどで臨時店舗を出す機会があるらしくそれらの為の器具らしかった


「これなら厨房だけは明日からでも営業ができるネ」

「フロアはまだ何もないですからね」

厨房に満足そうな超と五月だったが、視線をフロアに移すと何もない空間がただ広がっている

実はフロアのインテリアがまだ決まってないのだ

2-Aの生徒の中で麻帆良祭らしく楽しく派手にしたい一派と、落ち着いた空間にしたい一派に分かれてしまっていたのである


「いっそのこと壁一面をスクリーンにして映像でも流すか?」

「面白そうや。 でもお客さん帰らなくなるんやないん?」

「そりゃそうだな」

厨房の確認が終わりフロアのインテリアを考える横島と木乃香だったが、さほどいいアイデアが浮かばない

実はこの手の芸術的なセンスに関しては、正直横島はあまり得意ではなかった

奇想天外な物を造れと言われれば簡単なのだが、逆に普通のインテリアのセンスと言われるとさほど経験がない

横島の中でその手の経験やセンスを持つ者がいないことが致命的だった


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