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麻帆良祭への道

その後二人はお酒を頼みゆっくり食事を続けるが、シャークティの話はいつの間にか見習いである美空の愚痴だった


「立派な魔法使いを目指せとは言わないけど、最低限の事は普通にして欲しいのよね」

シャークティとしては美空に過剰に期待はしてないが、最低限のルールは守って欲しいというのが本音である

どちらかと言えば魔法云々よりも、悪戯好きでサボり癖がある日常生活を問題視していた


「最近の子はみんな似たようなものでしょう? バイト感覚で魔法協会に所属してる子も居るって言うじゃない」

美空の行動に頭を悩ませるシャークティを励ますような刀子だが、実は美空のような見習いはそれほど珍しい訳ではない

魔法生徒の中にもやる気のある者もやる気のない者も当然おり、中には魔法協会の任務で出る謝礼金目当てに協会に加わってる者も少なくなかった


「そうだけど……」

「ガチガチの魔法使い至上主義者よりはいいと思うわよ。 ジョンソンから来た子の一人が大変だって言うじゃない」

美空のようにやる気のない者も困るが、逆にやる気が有りすぎる者も監督者としては困る存在である 

麻帆良にも魔法使いは世の為人の為に力を使うのが使命だと本心から信じてる者がほんの僅かだが存在し、監督者たる魔法使いが苦労してるとの話はわりとよく聞く話だった

本人には全く問題なく自分の人生を他者のために捧げるとまで言い切る純粋な心は誰もが評価するが、反面で世の中の難しさを全く理解してないが故にタチが悪い

魔法世界の憧れとも言われる《立派な魔法使い》ですら、結局は魔法世界と地球側の双方の何らかの政治的な意味を持つ存在なのだ

自由気ままに個人の望むまま人助けなどすればそれがどうなるかは、ナギ達の戦後の裏側を多少なりとも知ってる者は分かることだった


「高音さんだっけ? あの子は向こうで育ったみたいだし特別でしょ? それにジョンソンはかなり本国の影響が強い場所だし……」

流石にシャークティも高音だけは困ると言いたげだが、アメリカのジョンソン魔法学校を運営する魔法協会はメガロメセンブリアの影響力がかなり強い魔法協会である

理由は様々な噂をされているが、一説にはアメリカ合衆国とメガロメセンブリアは何かの密約を結んでるとの噂だった


現に魔法使いの地球での活動でアメリカ軍に対する武力行使は過去一度もないのだから

まあ表向きは地球側での活動は非営利の人道支援という事になってるが、アメリカに不利になる活動は行われないのが暗黙の了解である

実際政治的な問題には関わらないのが基本スタンスな為にそれほど不思議な行動ではないが、魔法使い達の活動はどちらかと言えば現状の地球側の支配体制に逆らわないものが多かった


「まあね……、前に学園長もボヤいてたわよ。 ジョンソンからの留学生はいろいろ大変だって」

「スパイ未遂の事でしょ? 何年か前のジョンソンからの留学生が機密情報を探ってたのがバレて問題になったやつね」

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