同じ頃横島の家には何故かエヴァと茶々丸が来ていた。

エヴァはこたつに入ってタマモとさよと寛いでいるし、茶々丸はハニワ兵に編み物を習ってる。


「あの男も少しは大人しく出来んのか」

こたつに入ってハニワ兵に用意させた熱燗を飲みながらタマモやさよの相手をしているエヴァだが、横島が学園主催のパーティーの準備で忙しいと聞くとやはり呆れた表情を見せた。

本当に目立たぬように静かに暮らしてるエヴァから見ると、横島はお祭り騒ぎを楽しんでるようにしか見えない。

まあ見た目以上に横島が考えて生きてるのは理解してるが、意外と抜けてるというか考えてない部分も多いのだろうとシミジミと感じる。


「そろそろ帰ってくるはずですけど、電話してみましょうか？」

「構わん。　暇つぶしに来ただけだからな」

実はこの日エヴァは茶々丸を連れて酒を飲みに店に来たのだが、あいにくと横島が居ないので明日菜達が早々と店じまいしてしまったのだ。

流石にエヴァも店が開いてないならば仕方ないと帰ろうとしたが、エヴァが来たことを感じたタマモが家に招いていたのである。

先日近右衛門から三人目に横島をとの話があった件がどうなったのかも少々気になったので様子を見に来たのだが、横島は最近パーティーの準備で忙しいと聞くとただ呆れるしかなかった。

さよはそんなエヴァに何となく横島に用事でもあるのかと気を使うが、エヴァもわざわざ呼び戻すほどではなく熱燗を飲んでいる。


「あっ、かえってきたよ！！」

そのまま某テレビ局の旅番組を見ながら適当におしゃべりをしていたエヴァとタマモ達だったが、突然タマモがピクッと反応するとまだ玄関も開けてないうちに横島が帰って来たと告げて嬉しそうに玄関に走っていく。


「ほう、なかなか気付くのが早いではないか」

「タマモちゃんは耳がいいみたいで、横島さんが帰って来る時が分かるみたいなんです」

待ちきれないと言わんばかりの笑顔のタマモにさよも思わず笑みを浮かべるが、エヴァはタマモの反応に少し感心した様子であった。

当然エヴァも横島が帰って来たのは気配で気付いていたが、タマモの反応はエヴァが思ったよりも早かったのだ。

まあエヴァはタマモを普通の妖怪の子だと考えているので、金毛白面九尾の転生体であるタマモとは厳密にいえば違うのだが。


「おかえりなさい！」

「おう、ただいま」

そんなタマモが玄関で待ち構えてるとこに横島は帰宅するが、玄関を開けたらすぐに笑顔で出迎えてくれるタマモの存在は本当に嬉しいものだった。

帰宅した横島はタマモへのお土産にと新堂の店のスイーツを買って来たので渡すが、タマモからエヴァが来てると聞いて少し驚く。

基本的にタマモやさよの身辺の安全は土偶羅に任せているので横島は何も知らないし、そもそも横島は日常生活において気配を探ることはほとんどしない。


「ああ、酒飲みに来たのか。　悪いな今日は忙しくってさ」

わざわざというか家に上がったエヴァに横島は一瞬何事かと思うが、リビングで一人熱燗を飲むエヴァに酒を飲みに来たんだなと理解する。


「構わん。　そいつに出してもらったからな」

せっかく来たのに留守にしたからと謝る横島だが、エヴァはあまり気にした様子ではなくハニワ兵に酒を出してもらったと告げた。

つまみは一階の店に余っていた冷や奴と干物を焼いただけだったが、それもハニワ兵が用意したらしい。