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平和な日常~冬~2

さてスイーツ作りを続けている横島達であったが、横島や新堂達は元より木乃香とのどかも休むことなく作業を続けていた。

立ち仕事は決して楽ではないし、学校の授業を一日終えた後にスイーツ作りをするのは見た目以上に体力が必要になる。

ただ流石に横島の店で毎日働いてるだけあって、二人はまだまだ余裕があるようであった。


「君達は本当に濃い学生生活送ってるよね」

作業中の雰囲気は横島達が居るからか割と明るく、世間話なんかをしながら作業をする余裕もある。

まあ元々新堂もあまり他人に厳しく言うタイプではないらしく、日頃から比較的和やかな雰囲気のようだが。

この日の話題は納涼祭が行われた経緯なんかについて話していたが、納涼祭が元々は夏休みの最終日に宿題を終わらせて身内でひと騒ぎしようとしただけだと聞くと新堂を含めたスタッフ達は驚きを隠せない様子だった。


「ちょっと前までウチらは普通の学生やったんやけどな~」

今年の麻帆良の騒動の中心地に居る木乃香とのどかは、濃い学生生活だと言われて微妙な表情を見せる。

正直納涼祭に関しては横島もさほど悪い訳でもなく、いつの間にか勝手に盛り上がった流れに乗っただけに過ぎない。

ただ木乃香は最近横島はそんな騒動の星の元に生まれた人なんだろうとは思っていたが。


「八月に大きな祭りがしたいって話は昔からあるにはあったのよ。 ただ大規模なサークルは麻帆良祭や体育祭でさほど余裕がないし、八月は帰省する生徒も多いからなかなか計画も準備も出来なくてね」

冗談や例えではなく本当に一夜で祭りを立ち上げたと聞くと驚き麻帆良生の凄さを再認識する一同だが、新堂いわく八月に祭りがしたいという話は昔からあったらしい。

ただ普通は祭りを行うにしても最低限の資金は必要だし計画や準備には人手も必要になる。

六月の麻帆良祭と十月の体育祭がある麻帆良において、間の八月に大規模な祭りを行うのは少々負担が大きいというのが今までの現状であった。


「来年もやるの?」

「はい、実行委員会はすでに動いてますし予算の目処はついてます。 今年同様にあまり手間のかかる物は難しいらしいので、飲食関係の屋台が中心になるようですけど」

結局納涼祭は今年のような勢いがなければ成立しなかっただろうと理解すると横島達は複雑な気分になるが、スタッフから来年の開催を尋ねられるとのどかが現状の計画を話しはじめる。

納涼祭の会議は相変わらず定期的に行われているが、会議にはほとんど参加しない横島と木乃香に代わり詳しいのは当然ながらのどかであった。

来年の納涼祭はすでに正式に開催が決まり会場なんかの話し合いが学園側と行われているが、内容に関しては飲食系に特化させようという計画が練られている。

麻帆良祭や納涼祭は準備期間が長いので手の込んだアトラクションやイベントが多いが、先程新堂も語ったように八月に手の込んだアトラクションやイベントを行うのは少し無理があったのだ。

ただその代わりという訳ではないが、麻帆良において現状では大規模な飲食系イベントはないのでそちらに特化する案が有力である。


「面白そうね」

「はい、麻帆良学園は地方出身の人も多いので、日頃食べられない地方のご当地グルメなんかも用意出来ないかと検討されてます」

恐らく飲食系が中心のイベントになると語るのどかには新堂達は興味を示し、横島と木乃香も半ば他人事のように楽しみに感じた。

計画や準備は大学生達が進めるので横島自身は相変わらずやることがないが、一応予算の確保はしたし細かい問題はあやかと超と夕映とのどかで解決している。

横島自身も来年の納涼祭が飲食系になると今始めて聞いたほど何も知らなかった。



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