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平和な日常~冬~2

一方この日の横島の店では、夕映と明日菜が飲み物とスイーツのみで営業していた。

本来は日替わりメニューや軽食なんか提供しているのだが、横島と木乃香が居ないと流石に無理である。

まあ夕方なんかは飲み物とスイーツが主力なのでさほど困るほどではないが、それでも横島の料理目当てに来る客も居るので入口のドアには本日は料理メニューは出来ませんと貼紙をしていた。

夕映も明日菜も横島の店に来るようになってから包丁の使い方など最低限の料理技術は習得してはいるが、それでも横島や木乃香と比べられると困るのは当然でお客さんに出せるほどではない。


「マスターと木乃香は明日の準備かぁ」

「有名人も大変だよね」

店内はいつものように女子中高生で賑わってはいるが、客達は横島の居ない店内は少し物足りないといいたげな様子である。

良くも悪くもいつもの賑やかな騒ぎの中心に居たのはやはり横島なのだから。



「タマちゃん、明日の準備出来てる?」

「うん! どれすもきてみたよ」

さてそんな店内では明日菜と夕映に加えて、美砂達三人とタマモが揃っており明日の話をしていた。

実は明日の学園主催のパーティーには、明日菜と夕映もハルナと美砂達とタマモと一緒に行く予定になっている。

2-Aは麻帆良祭の成績のおかげで参加券が配られたので元々参加は可能なのだが、横島と茶道部のさよは明日は木乃香のサポートで忙しいので必然的に明日菜と夕映がタマモを連れて行くことになったのだ。

タマモ本人は木乃香を手伝おうとしたのだが、どうせならば楽しませてあげたいからと横島が明日菜達に頼んでいる。


「私もドレス欲しかったなぁ」

やっぱり横島はタマモの為にドレスを用意したのだと理解した桜子は自分もドレスが欲しいとこぼすが、流石に中学生が簡単に買える物ではないので明日は貸衣裳の予定だった。

尤もその貸衣裳もあやかが2-Aのクラスメート達の為にと気を効かせて無料で貸してくれたので、明日菜達も美砂達もそれを着る予定になっている。


「マスターが買ってくれるって言った時断ったのは、ちょっともったいなかったわね」

「マスターの場合は本当に買ってくれちゃいそうだったもんね」

ドレスが欲しいとこぼす桜子を美砂と円は少し苦笑いを浮かべてみていたが、心情的には二人も同じだった。

本音では木乃香のドレスを買いに行った時に横島に甘えて買って貰えばよかったかとも考えてしまうが、やはり女性に騙された経験がありお人よしの横島にそこまでさせるのは気が引けてしまう。

ただでさえ日頃からご馳走になる機会が多いだけにけじめは必要だというのが、美砂達でさえも考えてることだった。

特に美砂と桜子は割と本気で横島に惹かれているので、そんな女だと思われたくないとの意識もかなり強い。

木乃香や明日菜達はあまり意識してないが、横島を挟んで美砂達と木乃香達は仲間であると同時にライバルでもある。

木乃香達がけじめをつける以上は自分達も同じけじめをつけないと、勝負にもならないという意識が美砂にはあった。

まあ円は横島にさほどイレ込んでないので美砂や桜子に付き合ってるという感じではあるが。



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