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神と人と魔の狭間で

「へー、横島クンが竜神にね。 でもこれどうするの?」

「受け取るしかありませんね。 返せば殿下の顔を潰しますし。」

予期せぬ形でもたらされた横島の神剣だが小竜姫はあまり喜んではなく、そもそも彼女は横島を神族にするつもりは今のところない。

令子は気付いているが小竜姫は人間界で横島と生きていくつもりであり、寿命やら死後の問題はあるが当面は現状維持でいいと思っている。

下賜された神剣を受けとれば横島は天竜童子の家臣として少なくとも竜神族では認知されてしまうが、返せば確実に天竜童子のメンツを潰すことになる。

しかも天竜童子自身は横島を縛る気もなければ働かせる気も今のところ全くなく、竜神族となり小竜姫と共に仲良く生きて欲しいという完全な善意による贈り物だ。

加えて今は誰にも言えないがアシュタロス戦にて横島が活躍した後に、後ろ楯になって人として自由な人生を送らせてやりたいと頼んだときに一番頼りになるのは天竜童子かもしれない。

あまり横島を神族に縛りたくはないのだが天竜童子との関係を考えると受け取るしかない。


「まあ使い減りしないしいいんじゃない? あとでほとぼりが冷めたら適当に誤魔化せばいいんだし。」

令子は小竜姫の複雑そうな表情を半分勘違いしつつ理解してるらしく、どのみち横島に神族なんて無理だろうからほとぼりが冷めた頃に誤魔化せばいいと楽観的というかいい加減だった。

実際神剣は横島の力となるはずなので今は喜んでおいた方が賢明である。


「へー、天竜がこれを俺にっすか。」

「霊刀所持の許可取っといたから持ち歩いてもいいわ。 ただし間違っても人に向けるんじゃないわよ。 誤魔化せない訳じゃないけど使用目的が霊障限定なんだからね。」

そして横島本人についてだが天竜童子から神剣を下賜したと聞いても今一つピンと来ないらしく、まあくれるなら貰っとこうかという程度でしかない。

令子は横島が来る前にGS協会に行き横島の霊刀所持許可を取ってきたらしく説明と使用目的などを話していた。

日本で銃刀を所持出来る人間は限られているがGSは猟師などと同じで合法的に銃刀を所持使用出来る。

最近では神通棍などもあるしオカルトアイテムも進化したが霊刀や銀の銃弾は未だに使用者も多い。


「とりあえず契約を済ませてしまいましょうか。」

「契約っすか?」

「人間の霊刀とは根本的に違うんですよ。 本当の威力を発揮するには竜神族に伝わる契約が必要なんです。」

なんとなく貰った神剣を手にして感触を確認する横島に小竜姫は真新しい神剣の所持者として神剣との契約が必要だと語る。

妖刀ではないので別にしゃべったり勝手に持ち主を動かしたりはしないが、神剣にも意思がありそれは持ち主を認め持ち主とともに成長するものでもあった。

それは事実上の竜神族見習いになるのだが、天竜童子より下賜された神剣なだけに契約はしておかねば誰かに見つかった時に少し問題になる。


「よし、こいつは小竜剣だ!」

「えっ!?」

契約は小竜姫によりすぐに成されて神剣は名実ともに横島の物となるが、何を考えたのか横島は神剣に小竜姫の名前から取った名前を付けると横島の神剣と比較にと見せるために置いていた小竜姫の神剣が共に眩いまでの光を放ち令子とおキヌと雪之丞ばかりか小竜姫すら驚かせてしまう。



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