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平和な日常~冬~2

それから数日の横島は例の学園主催のクリスマスパーティーの準備をする以外はさしてやることがない穏やかな日々だった。

一方の近右衛門達は土偶羅の密かな協力の元で秘密結社完全なる世界の極秘情報の確認作業と魔法協会の保有する情報の間違いの洗いだしと訂正を急いでいる。

近右衛門本人がいくら横島を信じようとも組織として情報の確認は必要であり、横島側からの情報に関しては今後は雪広家と那波家から提供された情報として扱うことになっていた。

これに関しては今後も横島側から提供されるであろう情報の情報源を秘匿するには、近右衛門と雪広家と那波家での極秘な情報源とするしか方法がなかったようだ。

ただ今回の一件で関東魔法協会の幹部や情報部門の人間は突如舞い込んで来た超極秘情報に驚いてはいたが、その情報源を直接近右衛門達に尋ねた者は皆無である。

下手するとメガロメセンブリアの情報部でさえ掴んでないのではと疑うような情報もあり、誰もがその危険な情報源を聞きたいという軽率な考えをした者がいなかった。

現状では近右衛門達が新たに情報収集活動を強化したという認識が魔法協会内に密かに広がるが、少し前にフェイトの一件が裏の世界を騒がせただけに驚く者の方が少ない。


そしてこの日の午前には雪広コンツェルンと那波重工と芦コーポレーションの三社において、次世代の情報関連産業に関する研究会議を設けることを正式に決定する。

この会議に関しては実は横島の協力以前に体育祭以降から検討されていたことの一つだが、今回の一件に関連して急遽正式に実施することになっていた。

表向きな目的は情報関連産業の今後について議論を交わして、最終的には共同での技術開発を含めた今後の協力を話し合うのが目的である。

ただもちろんこれには裏の事情もあり、横島側の実質的な実務者である土偶羅と今後更に協力することを見越した下地作りでもあった。

加えて現時点でも情報の精度は確かだとの報告もちらほらと上がっており、近右衛門達は横島側への報酬とまではいかなくとも最低限便宜を図る必要はあるとも判断している。

まあこちらの動きは以前から噂があった動きを進めただけなので。魔法協会においてもさほど注目を集めることもなく近右衛門達は横島側との確かな関係作りを進めることが出来たのであろう。


更にフェイト・アーウェルンクスの動向については逐一近右衛門に報告が上がるようになったが、こちらはフェイトが未だに日本に近寄らないので現状では近右衛門は動かなくて済んでいる。

そもそもアスナ姫を匿ってる可能性が高いと見られている日本にフェイトが来ない理由は貞かではないが、土偶羅の推測ではおそらくは主たる創造主の捜索を優先させてることと前回関西潜入の失敗の件で日本を警戒してるのではとのことだ。

フェイト自身はあの一件を暴露した存在はメガロではなく第三者を疑っており、それに絡むのが日本の関東か関西の魔法協会ではと疑っているらしい。

高畑や詠春など長年の宿敵たる存在が居る日本を決して軽視はしてないということなのだろう。

近右衛門としてもフェイトは始末するよりは泳がせた方がいいことは十二分に理解しており、正直その動向を逐一監視出来るならフェイトが万が一日本に潜入しても明日菜と地下の封印された創造主を隠すことで済ませたいと考えていた。

実は土偶羅にはすでにその考えを伝えており、基本的に土偶羅も賛成している。

完全なる世界の連中には今しばらくメガロメセンブリアや魔法世界の目を引き付けてほしいのが、近右衛門と土偶羅の偽らざる本音だった。



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