このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

平和な日常~冬~2

一方中等部のお昼は木乃香達が教室でお弁当を食べるところだった。

木乃香達四人にハルナ・さよを加えた六人が基本的なメンバーで、日によってお弁当を持参してれば美砂達やまき絵達やあやか達が加わることも多い。

昔はというか一年の頃は基本的に木乃香達とハルナが一緒なことがせいぜいだったが、最近は何かと人が集まって来るようになっている。

麻帆良学園では中等部専用食堂の他にも女子中等部エリアには食堂棟や付近には一般の飲食店も多く、中学生でも校外に食べに行く生徒は決して珍しくはない。

親元を離れて生活する学生が多い麻帆良生で、わざわざお弁当を作って来るのは少数派になる。

まあ基本的に全寮制の麻帆良学園は学費も安くはなく、比較的裕福な家庭の生徒も多いのも理由の一つにあるが。

しかし両親や保護者が麻帆良在住の場合は寮生活が免除されるので、両親と生活してる者は弁当持参する生徒も多い。


「おじいちゃんが横島さんをお酒に誘ったん?」

「そうみたいですよ」

さてこの日の木乃香達はいつもと同じようにおしゃべりをしながらの昼食だったが、さよが何気なく話した話から昨夜横島が近右衛門に呼ばれたことが木乃香達にバレてしまう。

さよ自身は特に悪気はなく普通の世間話程度で話したが、木乃香や夕映は少し考え込むような様子だった。


「またアスナの件かな?」

「かも知れませんね。 ただ今は木乃香のお母さんも来てますし、もしかしたら木乃香のことで何かしらの相談があったのかもしれないです」

元々近右衛門は横島の店に飲みに来ていたので一緒に飲むことは違和感がないが、わざわざ自宅に呼んだとなると少し怪しいと木乃香や夕映は感じる。

日頃近右衛門が自宅に招くのは高畑や学園の関係者に雪広や那波など、ごく一部の友人がほとんどだった。

加えて明日菜のアルバイトの件で近右衛門が横島にまで話しをしていたことから、木乃香や夕映は何かしらの話があったのではという意見に一致する。


「横島さんって見た感じは本当にそこいらに居る学生にしか見えないんだけど……」

そして横島がまた自身の話を近右衛門達としていたかも知れないと聞いた明日菜は少し困ったように笑っていた。

見た感じどうしても学生の雰囲気が消えない横島だが、意外と言っては失礼だがしっかりしてるし何よりお節介な一面もある。

まあ横島もあまり表立ってお節介はしないが、意外と心配性でそれとなくお節介をしてるのは少し付き合いが長くなれば分かることだ。

加えて学園長という立場であるはずの近右衛門までも何故か横島の店に良く来ていて、いろいろ話してるだろうことは木乃香達も薄々感じている。

ちなみに明日菜自身はアルバイトの件はまだ決断するまでには至ってなく、どのみち春までは続けようかとは考えていた。

流石に年の瀬も迫った頃に辞めるのは無理だし、春ならば麻帆良も人の出入りが多いので辞めても後任が見つかると思うのだ。


「話が大きくならないといいですが。 何故か横島さんを話に加えると問題が良くも悪くも拡大するのですよね。 自重というかブレーキを他人任せにする人ですから」

少し困ったように笑う明日菜に木乃香達も素直に笑ってしまうが、夕映だけは横島に相談する問題が拡大することを少しだけ心配していた。

横島自身はきちんと自重もしてるつもりだが、夕映からすると自重どころかブレーキまで他人任せにしてるようにしか見えない。

結局近右衛門も今頃は困ってるかも知れないと笑い話にする木乃香達であったが、流石の夕映も大人の近右衛門が本当に困るほど横島が自重しないとは思わなかったようで最後には素直に笑っていた。



29/100ページ
スキ