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平和な日常~冬~

それから数日の横島は日中は普通に店を営業して放課後は少女達に勉強を教え、夜には木乃香や新堂達とパーティーで披露するスイーツを考える日々が続いていく。

まあ体育祭後のような忙しさがないのでまだ楽だったが、やることが減らないのは相変わらずだった。

さてパーティーと言えば千鶴とあやかに手伝いをお願いした件に関しては、少し残念そうな千鶴ではあったがやはり手伝いは無理だという結論に達して話が頓挫している。

結局あやかが忙しいことが全てであり、千鶴だけが手伝うのはあまり良くないというのがあやかと千鶴の結論らしい。

ただ横島が千鶴をフォローする件は千鶴自身も結構頼りにしており、あやかと共に木乃香と千鶴をフォローしようという方向性で纏まっていた。

横島自身はパーティーはあまり知らないし自信がまるでないと言い切るが、基本的に横島の言動は料理を絡まないといい意味でも悪い意味でも信頼度が低い。

パーティーの経験がないのは確かなのだろうが、恐らくそんなことを感じさせないで飄々と乗り切るだろうというのが木乃香達の考えであった。


「いや~、宮崎さんもなかなか筋がいいね」

そして千鶴達の手伝いが期待出来なくなった横島は、最終的にのどかに手伝いを頼むことになった。

彼女はテスト勉強に各種会議にと結構忙しいのだが、最低限の技術持ちで頼める人が他にいなかったのである。


「そんな、私は木乃香と比べたら全然……」

「いやあの三人は別格だから。 一緒に考えると私達も立場が無くなるんだよ」

そんな訳で横島に頼まれたのどかは新堂達とのスイーツ作りに途中から参加をするが、意外なことに新堂のスタッフ達は彼女を絶賛していた。

身近に木乃香や超や五月が居るのどかは自身の調理技術にあまり自信はなかったのだが、普通の中学生にしてはいいセンスと技術があると絶賛されたのだ。

スタッフ達いわく横島達や新堂や超一味とは比べてはダメだと告げて、一般的に見るとのどかですら中学生としては高いレベルだと教えている。


「うちのオーナーと横島シェフも大概だけど、近衛さんもどっちかと言うとあっち側の人間だからさ」

初日や二日目こそ横島と新堂の独壇場だったが、そのスピードに木乃香は多少遅れながらも着いて行っているのだ。

新堂のスタッフ達は最初こそ木乃香は普通だと思っていたが、三日目くらいから実は木乃香も未熟ながらあっち側の人間だと悟ったらしく常識的なのどかの参加を本当に歓迎していた。


「なるほど……」

正直木乃香より未熟な自分が何故歓迎されるか理解出来なかったのどかだが、常人には着いていけない人が増えたのかと思うとスタッフ達の気持ちを理解してしまう。

きっとこの人達も自分や夕映や明日菜のように振り回されてるのかと思うと、歓迎された理由がわかった気がした。

ただのどかは密かに思う、横島のブレーキ役は夕映と明日菜であり自分には無理だと。

そして横島が本当に暴走しそうになったら、すぐに夕映達を呼ぶことを心に決めたのどかはスタッフ達と交流を深めていく。

実際のどかにはそれ以外に方法はないのだが、自分に出来ないことは出来る人にお願いすればいいとあっさりと考える価値観が実は横島の影響だったことに本人は気付いてない。

彼女もまた横島の影響を少しずつ受けていた。



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