このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

平和な日常~冬~

さて千鶴子が帰ると、横島はこの日の日替わりメニューとしてアメリカンドッグを作っていた。

理由はもちろん横島が自分で食べたかったからである。

若干喫茶店に不釣り合いなアメリカンドッグだが、最近では誰も驚かないし普通に売れていた。


「あれ、今日はアメリカンドッグなんだ」

「食うか? 中身が魚肉と普通のソーセージの二種類あるぞ」

まあ日中は正直主婦などの客層の影響でさほど売れる訳ではなかったが、夕方近くになり学生が集まり出すと売れ行きが伸び始める。

今時アメリカンドッグなんてコンビニでも売ってるので珍しくはないが、横島はそのつど揚げたてを提供していた。

それに中身のソーセージも魚肉と普通のソーセージの二種類用意してるし、トッピングとしてチーズ入りなんてのまで用意している。

食材はごく普通の物だったが、何より揚げたてが一番美味しいのは当然なので評判は上々のようだ。


「こういうの食べると麻帆良祭思い出すわね~」

「そうそう、だいたい一度は屋台とかやるから作ったことあるのよね」

そんな縁日の屋台やコンビニでお馴染みのアメリカンドッグだが、麻帆良の人間は少し印象が違うようで麻帆良祭を思い出すようである。

幼稚園から大学院まで参加する麻帆良祭において軽食は最もポピュラーな出し物であり、特に初等部なんかは一度は必ず軽食の屋台をやるらしい。

従ってアメリカンドッグなんかは、麻帆良生ならば一度は作った経験がある生徒が多いようだ。


「でもマスターが作ったにしては普通ね」

「アメリカンドッグはこのままが一番だろうが」

値段もお手頃でコンビニより若干安い程度のアメリカンドッグは、他人が食べてるとつい食べたくなるなるらしく気軽に頼む少女達が多かった。

中には横島にしては普通のアメリカンドッグだと少しガッカリする客も居るが、横島としては何でもかんでも凝ってる訳ではない。

元々この手のジャンクフードは普通に好きなのだ。



「安いしテスト勉強のおやつには最適よね」

「もう一本貰うアル」

「では拙者も」

その後いつものように学校帰りに店にやって来た木乃香達から一時間ほど遅れると、まき絵・古菲・楓・夕映の四人が少し困った表情で店にやって来ていた。

例によって期末テストの前にやったミニテストの点数が悪かったらしく、彼女達は放課後に居残り勉強をしていたらしい。

店に来てから最初の三十分ほどは真面目にテスト勉強をしていたバカレンジャー組だが、いつの間にか周りの少女達に釣られるようにアメリカンドッグを頬張っている。

ちなみに明日菜は完全にバカレンジャーから脱出したため最近は扱いが微妙に違うらしく、2-Aではバカレンジャーを四人のままにするか新しく加えて五人にするかで随分揉めたらしい。

ただそこに入りそうなメンバーがノリがイマイチなエヴァやサジや刹那なので、結局四人のままになったが本当にどうでもいいことでかなり盛り上がったようだ。


「で、結局俺が教えるのか?」

「マスターをバカレンジャーの司令官にしようって決まったのよ」

「勝手に妙な役職にしないでくれるか?」

そんなバカレンジャー組にいてあまりテンションが高くない夕映を抜いた三人は割とノリノリであり、困った時の横島頼みということで彼女達から横島にはバカレンジャーの司令官という役職に任命されていた。

また妙な噂になるから止めてくれと本気で思う横島と対照的に、三人は赤点阻止を勝手に横島に託してしまい横島は困った表情をしつつのどかに協力してもらい彼女達の勉強を見てやることになる。


27/100ページ
スキ