その後散歩を終えたタマモ達は横島とエヴァの元に戻ってくるが、ハニワ兵はエヴァと茶々丸にお土産を渡している。

流石にゴーレムに見えるハニワ兵にお土産を貰ったことにエヴァは驚いていたが、もっと驚いていたのは洋服を貰った茶々丸だろう。


「お前はゴーレムに何をさせてるんだ？」

「俺がやった訳じゃないけど、人間並に個性と自由を与えたらこうなっただけだ。　作った奴が命令を聞くだけだとつまらんだろうってな」

洋服をお土産で渡したハニワ兵は茶々丸にもっとオシャレをするべきだと主張すると、タマモやさよはさっそく着てみて欲しいと告げて茶々丸は着替えに一旦室内に戻るがエヴァは茶々丸にオシャレをさせようとするハニワ兵に呆れていた。

ハニワ兵にオシャレを指摘されるガイノイドの光景は非常にシュールだったが、横島宅で一番ファッションに詳しいのはハニワ兵なのだ。

日頃の茶々丸はエヴァ宅に居る時はメイド服のような服を着ているが、基本的に外出時は学校の制服である。

毎朝猫に会いに来る時も当然制服であり、二階の窓から密かに見ていたハニワ兵はもっとオシャレをするべきだと思っていたらしい。


「まあ、気持ちは分からんでもないが……」

なんというかイキイキとしているハニワ兵の姿を見ていると、エヴァは作った者の気持ちを多少なりとも理解はするようだ。

彼女もまた人形使いとしてチャチャゼロやその姉妹なんかを作っているだけに、ロボットのような効率的なだけのモノがつまらないとは思うようである。

まあエヴァからすると何故人型でもないハニワでそれをするのかは全く理解出来ないが。

結局タマモとさよとハニワ兵が楽しそうに騒ぎ、茶々丸とチャチャゼロが巻き込まれる姿を横島とエヴァが見ている光景が、タマモが寝るまでしばらく続くことになる。

そしてタマモが眠くなると、この日はさよが付き添い眠ることになった。

元々幽霊なので睡眠を取ることがなかったさよだが、実は実体化以降は睡眠も可能な身体になっている。

現在のさよは分類的には神魔の端くれであり、横島同様に睡眠が必要ではないが眠ることは可能なのだ。

尤も日頃の生活では横島がタマモと寝ると、さよはハニワ兵と一緒に一晩中ＣＳ放送を見ているのであまり寝ることはなかったが。

ただ横島が遅い日はさよが一緒に寝てあげたりはしていたのである。



「やれやれ静かになったな」

その後タマモとさよが寝ると、横島達は驚くほど静かになっている。

先程からハニワ兵までチャチャゼロに勧められて酒を飲んではいるが、二人はあまり騒ぐこともなく淡々と飲んでいた。

エヴァは静かになって少しホッとしたように一息つくが、彼女は騒がしいのはあまり慣れてないのかもしれない。


「賑やかなのは苦手か？　俺は楽しくって好きなんだけどな」

「私と貴様らは住む世界が違うのだ」

「そういう細かいこと気にするとハゲるぞ。　今はみんな一緒にここにいる。　それだけでいいだろ」

「貴様はもう少し細かいことを気にしろ。　貴様のような生き方は長生きできんぞ」

そのまま静かになってたプールサイドで淡々と酒を飲む横島とエヴァだが、まるで水と油のように価値観が違い意見が食い違っていく。

しかしそれでも決して険悪な雰囲気にはならずに、変わらぬ穏やかな空気が流れて行った。

最終的に横島達は深夜まで飲み続けることになる。