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平和な日常~冬~

その夜、横島はタマモとさよとハニワ兵を連れてエヴァ宅を訪れていた。

目的は先月にタマモがチャチャゼロに約束した食事会なのだが、伸二の料理修業の影響で今日まで伸びていたのだ。


「お待ちしておりました。 ちょうど向こうも夜になってますのでどうぞ」

エヴァ宅に到着した横島達はさっそく茶々丸にボトル型魔法球の中に案内されるが、さよとタマモは家の中から外に行くことが相変わらず不思議そうである。

冬の風が冷たい麻帆良から年中暖かい魔法球の中に入った横島達は、その暖かさに上着を脱いで住居などがある塔まで歩いていく。

外はすでに夜の十時近いが中も同じような時間であり、時差などで悩まなくても済む。


「今日は魚か?」

塔の方に行くと少しテンションの低いエヴァが横島達を出迎えるが、横島や茶々丸が運んで来た食材を見てほんの僅かだが表情が和らぐ。

この日横島が持参した食材は、マグロ・サーモン・イカなどのお馴染みの魚に加えて今が旬のタラなどもある。

他には茶々丸が事前に用意した野菜や、元々魔法球の中にストックしてある食材なんかを使って料理する予定なのだ。


「季節的に鍋もいいかと思ったんだけど、ここ暖かいんだったな」

「別に構わん」

「そっか、タラは鍋にしようと思ってな。 後は寿司とか天ぷらもやるしな」

持参した食材は茶々丸とハニワ兵が厨房に運んでいくが、横島達は塔の屋上にあるプールサイドで冷たい飲み物で一息つく。

辺りはすっかり暗くなっているが、月や星の明かりで照明がなくても問題ないほど明るい。

まるで常夏の南の島に来たような空気の中で寛いでいた。


「どういう風のふきまわしだ?」

その後タマモとさよとハニワ兵がチャチャゼロと一緒に塔の中を散歩に行くと、プールサイドには横島とエヴァが残される。

エヴァは横島からまた食事を作りに行くからと言われたので素直に受けたが、何か来た訳でもあるのかと少々勘繰っていた。


「どうもこうも別に理由はないけど。 タマモとまた一緒に食事しようって約束しただろ。 先月辺りからずっと楽しみに待ってたんだよ」

何となく理由を探るようなエヴァに横島は少し不思議そうに言葉を返すが、実は横島はタマモの真意を知らなかったりする。

横島とてタマモの行動を全て把握してる訳ではないし、土偶羅ならば真意を知ってるだろうが土偶羅も必要ないことを一々報告しないので横島は本当に何も知らない。


「そうなのか? 私はてっきり茶々丸辺りが……」

横島を探っていたエヴァだが、どうやら本当に何も知らないと分かると少し考えながら意味深なことを呟く。

実のところ少し前から呪いの研究が息詰まり、茶々丸やチャチャゼロが心配していたのをエヴァは理解していた。

どうもエヴァは茶々丸が横島に頼んだのだとばかり思っていたらしい。


「考え過ぎじゃないか? それにタマモが遊びに来てるのはいつものことなんだろ?」

エヴァは何となく察しているが、横島はエヴァの考え過ぎではと思っていた。

タマモが散歩を兼ねてエヴァの家に遊びに来てるのは、天気のいい日はほぼ毎日なのだ。

誰の影響か知らないがみんなでご飯を食べることを楽しみにしてるタマモが、以前の約束を心待ちにしても何の不思議もない。

結局横島もエヴァも考え過ぎかという意見で固まるが、まさかチャチャゼロとタマモが仕組んだとは二人は気付かなかったようだ。



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